思惟石

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バークリー『毒入りチョコレート事件』元祖・推理合戦!

2020-03-11 13:52:55 | 日記
アントニイ・バークリー『毒入りチョコレート事件』。
1929年の作品。

パズラー小説の名作古典です。
多重推理モノとも言うのかな?
ひとつの事件に対して、6つの推理が披露されるという、
すごい構成。
よくこんなに多角的に推理したもんだ。

とある「犯罪研究会」のメンバー6名が
ロンドンで起きた未解決事件に対して
毎夜、それぞれの推理を披露するというもの。

たまーに、ロンドンの街中の描写が挿入されますが、
ほぼほぼ「犯罪研究会」が倶楽部(?)かどっかに集まり
6名で推理披露を展開しています。

ちょっと『黒後家蜘蛛の会』っぽい雰囲気ですかね。
あちらはヘンリーひとりが探偵役ですが、
『毒入りチョコレート事件』はメンバー全員が探偵ということで
構成はまったく違いますが。

で、6夜に渡って新説が上書きされていく、という。
夜な夜な集って論じ合うというのがもう、
古き良きロンドンの有閑階級だなあって感じですね。良いですね。
うらやましいわ。

最初の検事や劇作家は、まあ、導入の盛り上げ役というか、
その推理はないだろう的なものだけど、
徐々に「なるほど!」「納得!」レベルの推理が出て、
さらにそれをひっくり返してもう一度納得させる推理が出て…と、
すごい趣向です。
おもしろかった!
こういうの、好きなんですよねえ。
(初期の西澤保彦みたいな感じ。タック!)

この作品は、1925年に発表された短編『偶然の審判』が元々あって、
それを4年後に長編化したものだそうです。
20世紀初頭のロンドンの、上流階級の
人間関係や恋愛模様などの描写も、おもしろい。
なんだかんだでゴシップってみんな好きだし、
どんなに隠そうとしてもバレバレなんだなあ、とか。

バークリーは寡作の人(というか数冊書いて筆を絶ってしまったらしい)で、
アントニイ・バークリー名義で2冊、
フランシス・アイルズ名義で2冊が発表されているだけのようです。
もったいないなあ。
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ダン・ブラウン『インフェルノ』良い大衆娯楽

2020-03-03 20:52:37 | 日記
『ダヴィンチ・コード』でバカ売れした
<ロバート・ラングドン>シリーズの第4作。
『ロスト・シンボル』の次。

やっぱり売れるんでしょうね、このシリーズ。
初版は文庫上下巻なんですが、私が読んだのは上中下巻に分かれており、
さっきのシーンを読み返したいんだが!!!
通勤読書人だから持ち歩いてない!!!おらぁ!!!!
ってなります。

まあ、一冊にまとめられても困るページ数でもあるんだが。

内容は……読んでると楽しい。

謎解きのリレーが、本当にお上手なんです。
これは何だ?となって、ラングドンが歴史学的に学びになる考察して、
次のコマに進んで、次の謎が出て、、、という。
映画的に映えるリレーが、本当にお上手!

上中下、読んでいて、まあ、飽きないです。

いちゃもんつけるなら、最後はどうなんだ…。

なんですが、映画的にはスリリングでおもしろいんじゃないでしょうか。
美術史は、楽しいですよね。
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