思惟石

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【読書メモ】2016年1月 ② おそロシア…

2022-03-10 17:07:12 | 【読書メモ】2016年
<読書メモ 2016年1月 ②>
カッコ内は、2022年現在の補足コメントです。


『チャイルド44』トム・ロブ・スミス
ソビエトって寒い。絶望しかない。共産主義怖い。
とはいえ、この小説は面白かった!
これがデビュー作(しかも28歳の作品)ってすごい!
恋愛とかアクションとかミステリーとか、
いろいろてんこ盛りなのに、
とにかく寒々しい恐怖というか。
どこにも逃げられない社会の狂気というか。
すごい絶望感。
雪国だからかなあ。心底、凍える。
プロローグの飢餓から絶望、さらに20年後の本編で
社会になんら希望が増えてない!という感じが、もう、怖い。
「ソ連に犯罪は存在しない」って建前が正義なのが怖い。
モデルになった連続殺人が1980年代(近い!!)ってのが、
何よりも怖いけど。
ほんと怖いなソ連!

(今まさにニュースで騒がれているロシア。
 この小説はソ連の時代だけど、
 本質的にはあまり変わってないのかなあ。
 私が呑気に生きている日本の、現代の、すぐ隣で、
 戦争が起きているというこの現実は
 小説よりも、よほど恐ろしいと思う)
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【読書メモ】2016年1月 ① 藤田宜永

2022-03-08 15:17:40 | 【読書メモ】2016年
<読書メモ 2016年1月 ①>
カッコ内は、2022年現在の補足コメントです。

『左腕の猫』藤田宜永(よしなが)

藤田嗣治(つぐはる)って文章も書いてたのか~!と思ったよ。
薄々、違うって気づいていたけど。
表紙も明らかに意識してるタッチの猫のイラストだし。
ずるいよな!

で、早々に読むのやめるかと思いきや、おもしろかった。
50代のおっさんの恋愛短編集なのだけど、共感してしまったり、
そういうものかなと学習してしまったり。
若いころだったらさっぱりわからなくて、
やはり途中で読むのをやめてしまったのだろうか。
歳をとったということか。
とにかく、面白く読了した。

(勝手に勘違いして、勝手に怒って、すみませんです。
 藤田宜永(よしなが)氏は小池真理子さんの夫で
 直木賞作家夫婦だそうで。

 とはいえ、若い頃にフランスに住んでいたというし、
 この『左腕の猫』は猫が登場する恋愛短編集。
 表紙のタッチも合いまって、ちょっと、寄せてないか…?
 と勘ぐりたくもなる。

 内容は、大人の恋愛短編。
 黄昏流星群っぽさがある笑
 が、中年の機微もあって、おもしろく読めます。)
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『蛇の言葉を話した男』エストニア御伽噺

2022-03-07 15:13:16 | 日記
『蛇の言葉を話した男』
アンドルス・キヴィラフク
関口涼子:訳

エストニアのおとぎ話のような物語。
かなり分厚いんですが、
強烈なキャラクターや、ヘンテコエピソードが
次から次へと出てくるので
あっという間に読めました。

かつては森に住み「蛇の言葉」を話していたエストニアの人々。
キリスト教圏から来た騎士や聖職者から文明を得る代わりに、
森から離れ、街をつくるようになった時代。

主人公は“蛇の言葉”を話す「最後の男」、森に住む「最後の男」。
エストニアの古い時代の、あらゆる価値の「最後」を
背負うこととなった「ぼく」の物語。

幼少期のサラマンドル探し、森の不思議な風習、
蛇の言葉の習得、蛇の親友、蛇穴での冬眠
思春期まるだしの小っ恥ずかしい恋、
毒の牙を持ち人骨の翼で空を飛ぶクレイジー祖父との旅。
おもしろかった〜。

単なる自然礼賛ではないのが良かったと思う。
森の風習にしがみつき、いんちき精霊術を操る老人がいたり。
単純に懐古主義してないところが、いい。

ラストが、冒頭の一行に繋がっているのも良い感じ。
かつてミヒャエル・エンデを読んだ大人のファンタジーというか。
いや、誰が読んでも良いんだよ!良い!
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『幻夏』太田愛

2022-03-04 13:28:04 | 日記
『幻夏』太田愛

作者の小説2作目。
『犯罪者』の主人公トリオが今回も活躍します。

今回のテーマは冤罪と、日本の警察と司法制度について、かな。
一作目も凄いけど、こちらも凄い!凄いわ〜!おもしろい!!

相馬の幼なじみの尚(なお)が今回の裏主人公のような存在で。
彼の一家は冤罪に翻弄され、社会的に弱い立場にあるのですが、
それでも心の強さみたいなものがあって、
だからこそ悲劇的になったのかな、と思います。
悲しい。

尚も拓もお母さんも幸せになるべき人たちだったのに。
刑事と裁判官と弁護士のあいつらを、ぶん殴りたいです!

作者はこういう人物造形がほんとうにうまいよなあ。

主人公トリオのキャラも際立っていて、
これはもう実写化するしかないのではなかろうか。
鑓水は誰だろう。うーん、玉木宏?もっと若い?
アロハが似合うオジサンがいいな。
相馬刑事は鈴木亮平とかちびノリダーとか、
うーん、あまりドラマ観ないから、思い浮かばないよ…。
(がんばって考えても無駄なのにがんばってしまった)

というか、小説の賞獲りを考えると、トリオシリーズで続けるよりも
ノンシリーズで書いた方が良さげだけど、
(と、一作目の解説でも書かれていたな)
作者も彼らに愛着があるのかな。
私もすでに愛着しかないけど。

そしてこのシリーズはあと一冊刊行されています。
やったー!
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『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』今村翔吾

2022-03-03 11:22:34 | 日記
『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』今村翔吾

明和年間の火消しの物語。
作者は2017年にこの作品でデビューし、
シリーズもので11巻まで出ているみたいです。
執筆ペースがすごいな笑

貧乏藩のお抱え火消し組の人情物語。
この時代の実在人物、長谷川平蔵や田沼意次も出てきます。

一度、火消しを引退したお頭・松永源吾が主人公で
元力士やら元軽業師のイケメンやら赤毛の元学者やら
魅力的な仲間たちにスポットを当てながら
「ぼろ鳶組」と源吾の再生を描きます。

ザ・時代物!って感じの構成ですね!
あらすじを読んで期待した通りの内容となっています。

もうちょっとクセが強くても良い気もしないでもないですが。
水戸黄門も金さんもテレビから消えて久しい今、
こういう時代ものシリーズは
緑茶と甘味とともに読むのに良いですよね。しみじみ。

やばいやばい、優雅な御隠居のような気持ちになってしまった。

それはさておき、この作者の名前、どこかで見たなと思ったら、
直木賞ではないですか。
デビューは早くなかったみたいですが、
その後の展開は早いな、すごい。
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