https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180129-00005959-bunshun-int 抜粋
中国全土で深刻な大気汚染問題を引き起こしているPM2.5は都市部のみでなく、田舎の野菜生産地までをも覆い尽くしていたのである。
川の汚染は上流にある製紙工場が原因
緑色に変色した川。紙屑やビニール袋、空き缶などの生活ゴミも浮かび上がっている。
車から降りた瞬間に、腐敗した臭いが鼻をついた。ゴミに交じって油も浮き上がっている水面から、川底はとうてい見ることができない。おまけに、ゴミの臭いに誘われて、あたりには無数のハエが飛び回っている。車に戻っても十数匹が入り込んできて、追い払うのに苦労するくらいの夥しい数だ。
「ドブ川」と呼ぶにふさわしい、汚染された川が、いくつもの細い支流に分かれ、この巨大野菜生産基地の間を入り組んで流れているのである。
ドブ川から道一本隔てたビニールハウスで作業をしていた一家に話を聞いた。トマト、きゅうりなどを育てているという。
収穫量は半分に減ったよ。収入もね。3年前に汚水の処理場ができたけど、見ての通り、まったく効果はないよ。工場では1000メートルの穴を掘って、そこに汚水を流すような取り組みもやっているらしいが、本当のところは我々住民にはまったくわからない。こうして土はどんどん汚れていく。この先の不安はぬぐえない。
さらに上流に向けて車を走らせると、もうもうと煙をあげる煙突が見えてきた。レアアースの加工工場だ。すぐ隣には防水材の工場。さらにその奥には、農民たちが口にしていた巨大な製紙工場がそびえたっていた。
工場地帯を進むごとに徐々に靄が濃くなっていく。目が刺すように痛み、むっとした臭いが立ち込める。記者が北京で体感してきたPM2.5の比ではなかった。小一時間、外にいるだけで吐き気を催すくらいなのだ。しかし、住民たちは何食わぬ顔で、マスクなしで暮らしている。
そして、工場の脇を流れる川を見下ろせば、先ほどビニールハウス群のそばで見た川よりはるかに黒ずんだ汚水が垂れ流されているのだ。
別の地元民によると、「ここの人たちは肝臓が肥大化する病気になっている。30~40代のガンも多い」という。