ツイートから
海の環境への影響は?
最終的な規模の大きさを予測するのは不可能に近く、それに伴う環境への影響は予測不可能です。海洋哺乳類やウミドリは、漂流している油に曝露するリスクが高く、魚も汚染される可能性があります。
現時点でこの事故の影響で死んだ魚は確認されていませんが、魚類や他の海洋生物が、重油が含む有害物質である炭化水素に曝露し、有毒性の影響を受ける恐れがあることに疑いの余地はありません。
海洋哺乳類は原油を体内に取り組むことで腸や肝臓を傷めやすく、影響を受けないことは難しいでしょう。その有毒性は現時点では亜急性もしくは慢性のものとなっていると思われます。油の流出による影響は、その種類、量、経過時間および発生場所によって各々異なってきますが、良い油流出などあるはずもなく、悪影響の種類に多少の差があるだけです。
人への影響は?
重油であるタールボールには、多環芳香族炭化水素(PAHs)などの炭化水素といった有害物質が含まれますので、漂着した油の塊に有害物質が含まれるか調査をする必要があります。
コンデンセートには硫化水素などの有毒成分が含まれており、その揮発により大気汚染が引き起こされます。 さらに、これらの化学物質の燃焼および分解プロセスにおいて、一酸化窒素、二酸化窒素、窒素酸化物、硫黄酸化物などの汚染物質が発生し、人が吸入したり皮膚に触れた場合に有毒となる可能性があります。
油の除去作業にあたる全ての人々は、有毒物質への曝露を防ぐために適切な防護具を装着しなければなりません。危険が伴う作業ですので、訓練を受けていない人々が除去作業に当たることはお勧めしません
影響をおさえるため、いまできることは?
事故の規模やその影響を測るために、視覚的かつ科学的な監視体制を強化する必要があります。そして、流出油が陸地に漂着することを防ぐために、機械による回収法をとることが最優先です。流出油に化学分散剤を用いることは最後の手段で、避けなければなりません。化学分散剤と蒸気による除去作業は、実際には有毒性やその影響を拡大させてしまう傾向があるためです。 海岸を汚染する流出油を除去するためには、機械による回収が最もダメージが低い方法です。
今後汚染は、どの程度広まるの?
実際に流出した油の量が把握できず、正確なデータが欠けているため、影響を判断することは予測不可能です。海上で、流出の影響について、監視を日々続ける必要があります。
ネット上では、英国立海洋学センターのシミュレーションモデルに基づき、ロイター通信が作成したインフォグラフ*4が話題になっています。そのインフォグラフを見ると、3カ月以内に、日本の広範囲の沿岸に油が到達すると伝えています。
重要なポイントは、このモデルは重油やコンデンセートではなく、約6000個の仮想”粒子”がタンカー沈没地点からどのように移動するかを予測したものということです。
恐らく、海に流出するとタールボール(油塊)に細分化される重油の動きに最も近いと言えます。全体として、このモデルはタンカーからの汚染水がどのように動くかを示すもので、実際の汚染のレベルを予測することはできません。
石油は、日本に到達するまでに、分散、蒸発、減成、希釈して薄まることが予想されますが、このことは、同モデルでは考慮に入れられていない、ということを留意する必要があります。