抗がん剤の候補物質発見 ミャンマー産の植物から(共同通信) - Yahoo!ニュース
ミャンマーで採取されたキョウチクトウ科の植物から、多発性骨髄腫という血液のがんの薬になる可能性がある物質を見つけたと、名古屋市立大や高知県立牧野植物園などのチームが15日までに、オンライン科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。 多発性骨髄腫の細胞内では、生命活動に必要なタンパク質の不良品が大量にできている。だが細胞は「小胞体ストレス応答」という修理・分解システムを活発に働かせ、不良品の蓄積を回避しながらしぶとく生き延び、増殖しているという。 チームは、この不良品処理システムの働きを抑えがん細胞を死に導く物質を探索、植物の茎にある成分を特定した。
抗がん作用期待できる成分、植物の茎から発見 高知の植物園(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
高知県立牧野植物園は9日、名古屋市立大学の研究グループと共同で、キョウチクトウ科の植物の茎から抗がん作用が期待できる成分を発見したと発表した。川原信夫園長は「園が保有する植物資源が研究に貢献できたことは大きな意義がある」と喜んでいる。 共同研究したのは、植物園の水上元・前園長と、名古屋市大大学院薬学研究科の林秀敏教授らで構成するグループ。市大は細胞で起きている、異常なたんぱく質を除去して正常化させる「小胞体ストレス応答」に着目した。この作用が過剰に起きると糖尿病やがんの原因になることが分かっており、抑える物質を探していた。 植物由来で作用を抑える物質を探すため、植物園は作成・保存していた約700種類の植物のエキスを提供した。実験の結果、ミャンマーで採取したキョウチクトウ科の植物の茎から抽出した「ペリプロシン」という成分が有効であることを発見した。 ペリプロシンは、心不全の治療に使われる「強心配糖体」という化合物と同じ構造を持つことが判明。チームはペリプロシンを含む強心配糖体を、血液がんの一種である多発性骨髄種の細胞に試したところ、がん細胞の増殖を抑える効果が世界で初めて確認された。成果は5月、論文として海外科学雑誌に発表された。 具体的な創薬には今後10年単位で時間がかかる見通し。研究チームの一員である植物園の松野倫代研究員(薬学)は「心不全治療に使う物質ががんにも有効だとはだれも考えなかったこと。今回の成果は、従来より副作用の少ない抗がん剤につながる可能性がある」と画期的な創薬に期待している。 植物園は約2000種類の植物のエキスを保管しており、今後も研究活動、商品や機能性食品開発に協力したい考えだ。川原園長は「特に高知や四国というポイントで協力し、県民に成果を還元したい」と話している。 植物園と名古屋市大は2016年から協力関係にあり、今年3月に正式に連携協定を結んだ。今回が連携の成果の第一弾となる
高知県立牧野植物園保管の植物から抗がん剤に期待の成分(テレビ高知) - Yahoo!ニュース
名古屋の大学と共同研究を進めている高知県立牧野植物園は、園が保管している東南アジアの国、ミャンマーの植物の中から、「抗がん剤として期待できる成分が見つかった」と発表しました。今後、研究をもとに、副作用の少ない新たな抗がん剤の開発が期待されます。 県立牧野植物園は、植物を有効に活用するため愛知県の名古屋市立大学と共同研究を行っていて、きょう研究の成果が発表されました。この中で、キョウチクトウ科の植物に含まれる成分=「ぺリプロシン」が、抗がん剤として効果が期待できることがわかりました。 細胞の中でたんぱく質が異常に生産されると、糖尿病やがんなど様々な病気の原因になりますが、研究によりますと、「ぺリプロシン」は細胞内たんぱく質の異常な生産を防ぐ働きがあるということです。「ぺリプロシン」は、東南アジアのミャンマーに自生するキョウチクトウ科の植物=「ぺリプロカ カロフィラ」の茎に含まれているといいます。正常な細胞への影響は少ないため、抗がん剤として開発されれば、副作用が従来より軽減されることが期待されています。 牧野植物園では2000年から、資源保護などを目的にミャンマーで植物の調査を行っていて、現地政府機関の協力のもと植物を高知に持ち帰り、保管しています。2014年からは薬の研究などを行う名古屋市立大学と共同研究を行っていて、植物園はミャンマーで採取した植物の抽出液700種類を大学に提供し続ける中で、今回の発見に 至ったということです。 「我々の持っている植物資源がすごく重要な役割を果たしたということがある。それがすごく我々にとっては大きな点。今後も(研究の)母体になっている植物資源の重要性をアピールしていきたい」(牧野植物園 川原信夫 園長) 植物園は今年3月に名古屋市立大学と連携協定を結び、これまで以上に互いの研究データを活用できたことなども、今回の発見に至った1つの要因だといいます。 「植物園での研究活動には限度がある。今回のように私たちが素材を提供し4段階のステップを経て今回の成果を得られた。このことは本当に嬉しく思う」(牧野植物園 松野倫代 研究員) 植物園では今後、新薬開発の研究とともに、県内企業との商品開発などにも力を入れていきたいとしています。