鹿児島県奄美市と環境省、奄美建設業協会(村上慎一郎会長)などは23日、奄美市住用町の市道で特定外来生物のつる性植物ツルヒヨドリの駆除作業を合同で行った。今年夏の奄美・沖縄の世界自然遺産登録に向けた取り組みの一環。関係者約80人が参加し、トラック6台分の計約1・9トンを取り除いた。 ツルヒヨドリは南北アメリカ原産。11~12月に約3ミリの白い花が集まって咲き、綿毛を持つ種を多量に付ける。他の植物を覆いながら生育して枯らし、生態系に影響を及ぼす。国内では1984年に沖縄県で見つかり急速に分布域を拡大。奄美大島では20年ほど前に侵入が確認された。 駆除作業には奄美市と環境省奄美野生生物保護センター、建設関係3団体の18事業所が参加。同センターの後藤雅文離島希少種保全専門官がツルヒヨドリの特徴や駆除の注意点を説明した。 作業を行ったのは、同市住用町戸玉の市道山間市線沿いの2カ所、計約50メートルの区間。参加者らは道路沿いの樹木などに絡みついて生い茂ったツルヒヨドリを手作業で取り除き、駆除後は名瀬クリーンセンターに持ち込んで焼却処分した。 後藤専門官は「世界自然遺産の価値を守るために、外来種対策は重要。地元市町村や民間団体の力を借りて防除ができるのはありがたい。今後も連携して取り組みを進めたい」と話した。
佐賀平野・約200メートルの水路が一面緑 駆除に悪戦苦闘
佐賀県にある佐賀平野には、「クリーク」と呼ばれる人工的な水路が縦横無尽に流れています。そこにもこの水草が。 滋賀県立琵琶湖博物館 専門学芸員 中井克樹さん: 特定外来生物に指定されていまして、非常にやっかいな植物だなって 水陸両生であるということ、そして分身の術で増えるということ。放っておくとものすごく色々と環境を変える位の影響が出てしまう この植物を見つけたら要注意ということをね 全国的にきっちりと、顔写真ならぬ花写真付きで指名手配的に知らしめることも大事なんじゃないかなと 佐賀平野をドローンで見てみると、住宅地から田畑へ続く、幅14メートル程の水路が端から端まで水草がぎっしり。約200メートルに及んで、広がっていました。 周辺で農作業をしていた人に話を聞くとー 農作業をしていた人: 水路が埋まっちゃってね。水通りが悪くなっちゃうよな、草のいる時ね。 いくら撤去してもね、いたちごっこじゃ。少し残ってると、またばーっと広がる。お手上げ状態 また、今まさに訪れている大雨の季節には、命の危険が迫る可能性もあるといいます。 水路近くの住民: (大雨の時は)そこら辺に黒くなってますよね。 そこら辺まで水来るんですわ。ちょうどここら辺まで来るんですわ。だからこれがばーっとあっちの水門の方に流れていっちゃう、水門が詰まる、水がはけない、そしたら俺たちアップアップだなって言うのはありますね 水門を塞ぐほどの量になるね、なるかもね、だからちょっと心配は心配 実際に、水路に設けられた樋門と呼ばれる排水施設を見ると、水草が樋門を塞ぐような形で生い茂っていました。 さらに、水中をのぞいてみると、茎や葉が入り乱れる状態になり、水の流れも悪くなっていました。 この詰まりによって、大雨が降ると、水路から水があふれる恐れがあるというのです。 佐賀市は、2013年から毎年、除去作業を行っていますが、繁殖力が強く、根絶への効果的な方法は見つかっていません。
“爆発的繁殖力”オオバナミズキンバイ 沼を高速で拡大
「地球上最悪の侵略的植物」と呼ばれる水草だけでなく、千葉県の手賀沼では、別の脅威にもさらされていました。 千葉県水質保全課 在原潤副課長: オオバナミズキンバイはだいぶ後に入ってきたんですが、一気に繁殖域を広げているというような感じでこの2種類になってから全体の繁殖域がどんどん増えている状況ですね 手賀沼で見ている限りではナガエツルノゲイトウよりもオオバナミズキンバイの方が繁殖の拡大スピードが早いように感じます 特定外来生物に指定されている「オオバナミズキンバイ」。 条件によっては、茎の断片や1枚の葉からも根を出して広がる繁殖力。その影響は、手賀沼だけに留まらず、周辺に危険が及ぶ可能性があるといいます。 千葉県水質保全課 在原潤副課長: 排水機場のポンプが絡みついて、大雨が降って洪水が起きそうな時に排水ができなかったりすると、それは大きな水害を起こしてしまったり、そういった大きな被害が起こる前に、やはり事前にですね、大規模に刈り取っていかないと。 この2年間の間に約1.7倍に面積が広がっていることが確認されていますので。 昨年度今年度と1億円を超える予算をかけてこの駆除を実施してます 2019年、台風による被害が相次いだ千葉県。新たな災害を防ぐため大きな予算をかけて県が駆除を進めています。 根絶が難しい特定外来生物の水草、抜本的な対策は見つからないままの対策が続いています
コメントから
所謂アクアリウムブームで幾多の水草(或いは水陸両用的植物)が無造作に輸入された結果ですね。ミズヒマワリやウォーターマッシュルームなども散見されます。私の地元は、ウォーターマッシュルームを田んぼで見掛けます。アヌビアスやレースプラント等のように繁殖の難しいのも有れば、こんな特定外来種になるようなものも...輸入業者にも認可制度と罰則を設けないとダメだな...
「地球最悪の侵略的植物」“ナガエツルノゲイトウ” 繁殖力の脅威 (fnn.jp)
一面に、芝生のように緑色が広がっています。
池を管理する住民組織役員 岡本賢三さん:
こんなにたくさん生えてるし、これ何とかしないといけないなと
ナガエツルノゲイトウの専門家 丸井英幹さん:
知る限りでは、(国内で)はるかに、これに及ぶ植物はないと思います
池を覆う、この植物は南米原産の多年生の植物「ナガエツルノゲイトウ」。その最大の特徴は「繁殖力」で、今、各地で繁殖が確認されています。駆除が追いつかないほど事態は悪化していました。
“ナガエツルノゲイトウ”駆除追いつかず…農作物に被害も
ナガエツルノゲイトウの専門家 丸井英幹さん:
目の前一本だけでも(簡単に)駆除ができない。根が深く、
末端まできれいに抜かないとほんの根っこが2ミリ残ったら再生する
水辺だけでなく、陸地や海でも育ち、引き抜いても土の中深くまで伸びる根っこがわずかでも残ると、そこからまた生えてくるというのです。
この池で「ナガエツルノゲイトウ」が確認されたのは去年の11月ごろ。数も少なく大半は枯れた状態だったいいますが、今年4月になると、池の6割が覆われた状態に。
池を管理する住民組織役員 岡本賢三さん:
私今農業やってるんですけども、これは畑に広がると、作物ができなくなりますよね。
ということは生活ができないということになりますんで、いま、抑えないと
ナガエツルノゲイトウの専門家 丸井英幹さん:
僕が見た限りでは(根っこの長さ)50㎝までは潜っているのは確認してます
全長は5メートルくらい行くと思います
水中ではどんな状態なのか。池の水中撮影を試みました。
一面に広がる緑の下には、水面から出ている部分よりもさらに長く、放射状に広がる根が広がっています。そして、それらの根が絡まりあい一つの塊に、水中では異様な光景が広がっていました。この「ナガエツルノゲイトウ」、駆除をするためにはハードルがあるといいます。
駆除した水草を運搬する過程で落ちた根や茎の一部からも繁殖する危険性があるため、完全に撤去することが難しいというのです。そこで今年4月、住民らと専門家は排水口付近のおよそ100平方メートルを光を遮るシートで覆い、光合成を妨げて駆除する方法を実行。
しかし、7日、池を取材すると
遮光シートで覆った範囲では「ナガエツルノゲイトウ」が順調に腐敗し、駆除できていた。しかし、遮光シート範囲外の「ナガエツルノゲイトウ」は冬の寒さで節ごとに茎が断片化し爆発的にその数を増やし、水面を覆っていったというのです。
池を管理する住民組織役員 岡本賢三さん:
ちょっと、実はここに割り箸にリボンをつけていただいて
多分この周辺で草刈りをしてたとか、そういったものが飛んで、
入ったんだと思いますけどもね
池周辺の畑や草むらにまで広がっていたのです。
繁殖している場所を調べると、池の周り半径50メートルほどの範囲だけでも、
30カ所以上に及んでいました。
ナガエツルノゲイトウの専門家 丸井英幹さん:
人が使った道具とか車とか、農機具にくっついたものが農地から農地へどんどん広がっていくことはありますね
Q完全に駆除できた場所はあるのか?
ナガエツルノゲイトウの専門家 丸井英幹さん:
国内ではまだありません
もともとは南米の植物で観葉植物としても使われてたそうです。
知らずに池に捨ててしまったり、農機具や車などに付着し増殖を繰り返しているのかもしれません。すさまじい繁殖力を持つ『ナガエツルノゲイトウ』を一発で完全に駆除することは難しく、厳しい戦いが続くことになります。