巨大台風19号は10月12日(土)から13日にかけ、静岡から東北を通過した。
その時、未経験の豪雨をもたらし、箱根では観測史上初めて一日の降雨量が1000mm前後となった。
(次の値は報道機関により差があり、全容がつかめておらず、16日現在わかっている値で、今後大きく変わる可能性もある。)
結果、10月16日現在で、死者78名、行方不明15名、決壊河川59で決壊箇所は90に上るという。
その中には、千曲川や阿武隈川や多摩川といった巨大河川も含まれる。
山間部の孤立集落等の状態は不明で、いまだに被害状況は拡大しつつあり被害の全容は不明である。
多摩川では都市型の異なったタイプの水害が発生している。
今回の水害で、ほとんどの被災範囲がハザードマップの被害予測と一致していて、改めてハザードマップの重要性と正しさが認識された。
それと同時に、ハザードマップは千年に一度の水害を想定している。
その意味で今回の水害は千年に一度クラスの水害に近いかもしれないが、今後(地球の温暖化で)こうした災害が多発する可能性があると指摘する専門家の意見もある。
日本では過去の巨大水害経験から、防災対策のインフラン整備が進み、情報通信手段も発達し、数十年前以前とは比較にならない程様々な対策が進んでいる。
多分戦前レベルの防災対策であれば、もっと大きな被害を出していたであろう。
対策が進められた現代でも、これだけの被害を出し経済的損失も大きい。
しかし、ハード面ですべてカバーするには資金が必要である。
巨額の税金を投じてのハード面整備には限界があるのではないか。
将来の人口減少の問題も指摘されており、進行する限界集落問題を含め、防災のための投資に対する費用対効果の問題もある。
それより、各個人レベルや施設レベルの防災減災の支援と、防災減災技術の研究開発の補助や支援に予算を使うほうがより効率的ではないか。
被災者支援については国会でも議論されたが、避難者の支援状況はイタリアと比較すると極めて大きな格差がある。
今後、被災者支援と復旧作業を抜本的に強化し、標準化する必要があるのではないか。
特に、巨大災害が予測されるときの都市被災者の受け入れや、広域避難の避難計画と受け入れ態勢の整備は急ぐ必要があるだろう。
現状でも、避難指示が出されても避難所の収容人員は全く不足しているが、この現状をどう改善するのか早急に対策が必要であろう。
同時に、現状の避難所での支援策の改善が必要である。(例えば、体育館や学校への避難の時は、最低限段ボールベッドや断熱シートと毛布を用意する、乳幼児や障碍者弱者対応等・・・)
被災者支援を一元的に管理する組織の創出も必要ではないか。(例えば、普段は少人数の管理組織にしておき、発災時には、行政機関(消防・警察・自衛隊・病院・学校含む)がその中に参加し、協議体を作り情報共有し、一元化した指揮命令系統で効率的に実行する。)
被災者支援及び復旧作業の充実・効率化は、経済対策としても有効と思う。