ドッグフード原材料シリーズ、今回はイタリアのフード、フォルツァディエチです。
予告から時間がかかってしまって恐縮です。
「イタリアのお魚フードなんだって!」
このブランドは療法食と魚を使ったフードでよく知られていますが
ここでは一般フードのデイリーフォルツァ を取り上げます。
先日、EU圏ではフィッシュミールにエトキシキンなど合成酸化防止剤は使用されているか?というテーマで
記事を書きましたが(こちら)それはこのフードの原材料を見ていたからです。
原材料の一番最初に書かれているのが魚粉=いわゆるフィッシュミールですね。
原産国イタリアのウェブサイトを英語に自動翻訳して見てみましたら、そちらでもフィッシュミールとなっていたので
単純に乾燥させた魚ではなく、高温で加熱乾燥して粉に挽いたフィッシュミールで間違いありません。
何の魚か日本語サイトでは書かれていませんが、イタリア語ではアンチョビ(イワシ)と書かれていました。
イワシは養殖魚ではないので、酸化防止剤の入った餌も食べていないし、
大型魚ではないので水銀のリスクも低く、理想的な食材です。
2番目のエンドウ豆タンパク、そして4番目のエンドウ豆デンプン、どちらもエンドウ豆から抽出したものですね。
エンドウ豆そのものを使うのではなく、粉状になったタンパク質とデンプンはドライフードでは
製品を型作るツナギの役目も果たします。また薄皮など食物繊維が取り除かれることで
消化吸収も良くなります。
他の製品では日本語で米と書かれていても英語の表記を見るとブリュワーズライスという
割れたり欠けたりした屑米が使われていることが多いのですが、フォルツァディエチの場合
イタリア語でも米、英語ではグラウンドライス(挽いた米)と記載されているので屑米ではありません。
(アメリカの表記では割れた米と挽いた米は区別して書かないといけないのです。)
米はグルテンも含まないし、犬にとっては比較的消化しやすい炭水化物です。
その次の魚油、フィッシュオイル ですね。先日の酸化防止剤の記事でも書きましたが
フィッシュミールは酸化を抑えるために、脂肪分をかなり抜いています。
ですから必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸を摂取するために、こうして魚油が添加されています。
ビール酵母はビールを製造する時に発酵過程のために使われる酵母なのでこの名が付いています。
ビタミンB群や必須アミノ酸が豊富で、プロバイオティクスとしての効果も期待できます。
ビートパルプはビート(砂糖大根)から砂糖を作る際に搾った後の残りの繊維です。
水溶性と不溶性両方の食物繊維を含みます。
この次に添加されているミネラル類が記載されているのですが、
ミネラルやビタミンなどの添加物は通常は原材料一覧のもっと後の方に来ますね。
これはアメリカやカナダの「原材料は重量ベースで多く使用されているものから順番に記載する」という
規定に従うとそのようになるからで、AAFCOを基準にする日本のフードも同様です。
アメリカやカナダのメーカーは厳格にこの規定に沿って表記しています。
EU圏ではこの規定が違っているようで、イギリスやドイツのフードの原材料を読んでいくのは
毎回かなり苦労しています😅 食材と添加物が完全に分かれて表記されていたり、ハーブは食材扱いではなかったり。
(欧州ペットフード工業会連合の規定については、近いうちにきちんと調べて書くようにします)
私の場合、アメリカ基準が染み付いてしまっているので、この「微妙に順番が変わる」というのに
非常〜に違和感があるのですが、一応知っておかれると良いかと思います。
話を原材料に戻します。
BioMOS(乾燥酵母)というのは製品名です。BioMOSという動物向けの酵母が製品として販売されており
それが使用されているんですね。この製品はサッカロマイセスセレビシエという酵母が使われています。
舌を噛みそうな名前ですが、日本酒を製造する発酵過程で使われるのと同じ種類の酵母だそうです。
ビール酵母と同じく、ビタミン類やアミノ酸を含み、整腸作用も期待できるものです。
フラクトオリゴ糖は多糖類の一種ですが、水溶性食物繊維として分類されます。
胃腸で消化されず、腸内細菌(プロバイオティクス)のエサとなるため、腸内環境を整える作用があります。
いわゆるプレバイオティクスと呼ばれるものですね。
その次にビタミン類が記載されているのも、上に書いたミネラル類と同じ事情です。
それにしてもこのビタミン類の表記、けっこう雑で分かりにくいですね😅
それにしてもこのビタミン類の表記、けっこう雑で分かりにくいですね😅
これより後はハーブ類になります。一般的にイメージされるハーブとはちょっと違うものですが
どれも薬効のある植物なので、私は個人的にはフードに入っていると使いにくいなと思うものです。
ビタミンやミネラルが豊富で抗酸化作用が強いものです。
パイナップルの茎と表記されていますが茎と言うよりも芯ですね。果実を輪切りにした時の穴にあった部分です。
ブロメラインを筆頭に酵素を多く含み、消化吸収を助けます。ブロメラインには抗炎症作用もあります。
ザクロは抗酸化物質であるポリフェノールを多く含みます。
タネ部分はオレイン酸やリノレン酸などの脂肪酸も多く含みます。
馬肉は生の肉が使われているので、水分量が多く、実質のタンパク質源はエンドウ豆タンパクも
かなりの割合を占めている可能性もあります。
イタリアには馬肉を食べる文化があるので、このように馬肉ベースのフードも市販されているんですね。
フォルツァはアメリカでも販売されていますが、馬肉フードは販売されていません。
アメリカ人にとって馬を食べるというのは、感覚的に犬を食べるのとほぼ同じなんですね。
感情的は部分とは別に「食べる文化」があるかないかは重要な点です。
食べる文化があるところには、、検疫、品質管理などがシステムとして整っているからです。
フードとは別の話になりますが、手作り食などに馬肉を取り寄せるという方も多いと思います。
その時、馬肉を食べる文化のある国かどうかをチェックすることをお勧めします。
カナダ、フランス、イタリア、ドイツなどは馬肉食文化があります。
もうひとつ、これもドッグフードでは珍しいポークベースです。
ポークはエンドウ豆ではなくポテトが使われています。
この部分以外は、やはりフィッシュと同じです。
ポークが生の肉なのでホース同様に、実質のタンパク源として動物性はどのくらいの割合か
ちょっと不明な点はあります。
「それで?いいフードなの?」
全体的に見て、動物性タンパク質が単一で、豆類もエンドウ豆のみという点で、シンプルで安心な感じはします。
特にアレルギーなどがある場合には管理しやすいのはありがたいですね。
他の原材料も米や酵母を例に取っても吟味されている感じで良心的だと思います。
ただ、このフードから動物性タンパク質がどのくらい摂れるのかな?とちょっと不明な点と
ハーブ類が多く使用されているので、事情が許せば他のフードとローテーションが良いかと思います。
デイリーフォルツァ だとタンパク源以外はほぼ同じなので、別のブランドが良いですね。