ドッグフード原材料シリーズ、前回のオネストキッチンに続いて乾燥したフードを
水で戻して与えるタイプのグランマルーシーズです。
「南カリフォルニアで作ってるフードなんだって〜」
そうです。南カリフォルニアの海沿いの街の小規模メーカーのフードです。
アメリカでは、ちょっとこだわりのセレクトペットショップまたはオンラインで売られています。
製品の種類が多いので、本国アメリカのウェブサイトで一番最初に出ているこれを取り上げます。
全体的にシンプルでベーシックな感じのレシピです。
チキン、ジャガイモ、亜麻、ニンジン、セロリ、リンゴ、ブルーベリー、クランベリー
ニンニク、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ナイアシン、キレート化鉄、
炭酸カルシウム、リン、キレート化亜鉛、リボフラビン、硝酸チアミン、塩化カリウム、
キレート化マンガン、キレート化銅、塩化マグネシウム、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン(ビタミンB12)
チキンは生のもの(ミールは使われていない)だけが原材料として使われています。人間の食用のものだそうです。
チキンは加熱された後マイナス65度でフリーズドライ処理されています。
高温で長時間焼いたりしていないのでアミノ酸の損失もほとんど無いと思います。
ジャガイモ、この製品はグレインフリーなので炭水化物源として使用されています。
ジャガイモのデンプンは犬には少し消化しにくいのですが、消化しきれなかったデンプンは
犬の腸内で不溶性食物繊維のような働きをします。
このジャガイモを含めて全ての野菜と果物もマイナス65度でフリーズドライ処理されています。
亜麻、フラックスシードのことですね。大型のゴマのような種子です。
オメガ3脂肪酸の一種であるアルファリノレン酸を多く含みますが、犬はアルファリノレン酸を
体内でうまく活用できない個体が多いので、この製品を食べさせている場合は
オメガ3脂肪酸を摂取するためにフィッシュオイルなどを摂った方が良いと思います。
抗酸化物質であるリグナン、不溶性および水溶性の食物繊維が豊富です。
ニンジン βカロチン豊富なお馴染みの野菜です。
βカロチンは代表的な抗酸化物質の1つであり、体内でビタミンAに変換され、
皮膚や粘膜の健康を保つ、免疫機構を正常に保つなどの働きがあります。
セロリはカリウムとβカロチンが豊富な野菜です。食物繊維も豊富ですね。
リンゴはビタミンC、カリウム、水溶性および不溶性の食物繊維が豊富です。
リンゴが使われているドッグフードは多いですが、加熱するとビタミンCは失われるので
フリーズドライのこの製品はビタミンCの損失は少ないですね。
ブルーベリー、濃い青い色はアントシアニンという抗酸化物質で目の血管や神経細胞を保護する作用があると言われています。
ビタミンEや食物繊維も豊富に含み、健康効果の高さからスーパーフードと呼ばれます。
クランベリー、ビタミンCを豊富に含みます。鮮やかな赤色は抗酸化物質のポリフェノールです。
食物繊維やミネラルも豊富な果物です。
ニンニク、疲労回復や血行を良くする働き、強い殺菌作用を持ちます。
ニンニクは玉ねぎ同様に犬にはNGだと言われますが、玉ねぎよりは貧血や溶血を起こす作用が弱く
少量であれば健康メリットの方が大きいという理由で犬用のフードやサプリメントに使われることも少なくありません。
しかし許容量には個体差があるので、ニンニクの入ったフードを食べさせる場合は良く観察して
おかしいと思ったら摂取をやめて病院で診てもらいましょう。
その後に続いているのはビタミンとミネラル類ですね。
このフードはAAFCO基準を満たした総合栄養食ですので、必要なビタミンミネラル類は全て含まれています。
ミネラル類は吸収しやすいキレート加工が施されています。
シンプルなレシピでハーブ類やプロバイオティクスなどが含まれていないので
足し算がしやすく使いやすいフードだと思います。
他の種類でも総合栄養食の他に、お腹を下した時などの応急処置用に白米と単一の肉または魚のみのフリーズドライ、
野菜や果物とビタミンミネラル類だけのフリーズドライで肉や魚のみを自分で加えるタイプなど
使い勝手の良さそうなラインアップが揃っています。
ニコニヤの腎臓の問題がなかったら私も買ってみていたと思います。
アメリカにお住いの方にはお勧めのフードです。
「ちょっと待って。日本にお住いの方にはどうなの?」
結論から言うと日本にお住いの方にはお勧めはしません。
製品自体は良いものだし、メーカーも小規模な独立系できちんとしています。
でも日本に輸入している代理店が信頼できない。
そもそも代理店の名前が見つからないんですよ。
ブランドの独立したウェブサイトも無いし、販売店に配布されている説明文も
オリジナルの英語の文章の一部を翻訳しただけなので、不十分で日本語もやや微妙。
説明が不十分な部分を販売店が適当に補って間違ったことを堂々と書いているサイトもあるし
とにかく輸入して販売店に卸しただけという印象です。情報の管理がなっていない。
製品情報の管理ができてないのは、品質管理についても不安を感じさせます。
いくつかの販売サイトで「賞味期限がたいへん短いものが届いた」というレビューも目にしました。
あくまでも推測ですが、やっぱり輸送や保管などの管理に不安を感じさせます。
せっかく良い製品ですが、上記がお勧めできない理由です。
このドッグフードシリーズを書き始めてから、たくさんのリクエストをいただいて
皆さん本当に熱心にご愛犬のために良いフードを探していらっしゃるんだなと感じます。
ただ、こうして色々なフードを見て来て、知名度の低い輸入フードは製品そのものは良いものでも
日本に輸入している代理店があまりにもレベルが低いと感じることが結構な割合であります。
小規模なメーカーが作っている輸入プレミアムフードを購入しようと思われる場合、
少なくともそのブランドの独自ウェブサイトがあり、代理店の名前と問い合わせ先が明記されていることを確認してください。
アマゾンや楽天で扱っているから安心というものではありません。
個人的に正直な感想を言えば、フードジプシーが高じてどんどんマイナーフード沼にハマるより
グリーンドッグやPOCHIなど、実績と管理がきちんとしている会社で扱っているフードの中から
選ぶのが失敗が少ないように思います。
本国の小規模メーカーがこだわって作ったであろうフードがいい加減な売られ方をしているのを見ると
本当に腹立たしく悲しい気持ちになってしまいます。