早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

定本宋斤句集 冬 3

2019-01-19 | 永尾宋斤の句集:宋斤 思い出の記・定本宋斤句集




定本宋斤句集 冬 3

寒風    寒風や野奥の障子ほの燈る
北風    籠の鶸貧食しては北風に怖づ
虎落笛   虎落笛思ひ出すこと旅にあり
冬野    莖青きものこそ冬の野はぬくし
枯原    枯原の石に母なり乳飲ます
氷柱    大氷柱まどうに添水米を搗く
寒の水   寒の水龍の口より練り落つる
凍     凍つる夜や葛湯の匙を舌に受く
      友の死を聞く再ならず冬夜の燈
      蝋涙の手にこゞりけり瀧の宮
         能楽、室生重英の藤戸を観る
      凍つさまに藤戸の母が泣き跼み
         庚申昆布はその夜誰れ彼れに頒ち與へて福ありと即ち
         夜こんぶをよろこぶに通わせての意なり
火桶    夜ろこんぶ火桶まどひの爪割きに
      窮鳥を眼に弄び火桶かな
炭     聞ゆるは苅田に炭を切れるなり
炭團    灰剥いて朝の炭團を劬はりぬ


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