早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

定本宋斤句集 冬 5

2019-02-10 | 永尾宋斤の句集:宋斤 思い出の記・定本宋斤句集



定本宋斤句集 冬 5

風邪    川舟の焚く火が寒し風邪ごもり
      我かげの壁に伸びしは風の神
野施行   野施行淵川すぎて行く燈かな
寒玉子   寒玉子ただ一呑みに吸へといふ
寒紅    寒紅やいっしょに包むみすや針
冬の燈   冬の燈に向いて正しき菊の顔
      冬の燈はみなが見てより頬にぬくし
神農祭   神農祭久し往かざる船場かな
宗鑑忌   宗鑑忌幾夜の庵の尼ケ崎
       久々知廣満寺の近松忌に参りて
近松忌   夜は寺に浄瑠璃ありて近松忌
翁忌    陶像の古びかろかり翁の日
水鳥    水鳥にかくれてやりぬ治水の碑
      水鳥のみなが陸つて落ち葉ふむ
笹子    俗住みて寺内干すもの笹子啼く
      笹鳴くや墨の巾なるほそ硯
凍鶴    凍鶴の嘴がぬけ羽を惜しむけり
梟     梟やはるか燈を出す由戸あり
       青有居に小憩句座
      障子外に人の聲する梟哉
寒鴉    寒鴉雪の彼方に歩み去る
冬の鵙   病むものを罵り去れり冬の鵙
冬の蝿   少年の頬をあましと冬の蝿

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