早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和六年二月 第十巻二号 近詠

2021-06-03 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和六年二月 第十巻二号 近詠

   近詠
松過ぎしばかりに寒のぬくさ哉

野を帰る牛に踏まれて凧の糸

寒紅やいっしょに包むみすや針

寒凪や漁人のすその潮しづく

牡蠣船の屋根に一鉢万年青かな

跳ね炭に事なかりけり縫ひ上がり

天井に天神花や堀炬燵

みのむしの空春となりあけぼのの

椿照る窓に娘と弟と

手くさりの茂りに霞二月かな

地圖と照らす島の集まり東風の風

橋南の小辻に二月禮者かな

春寒むの星の夜店に聖書賣る

春泥にたてばタクシーにかこまれて

早春の丘に新舊華表かな



家でする丸刈り頭秋の水

掌に蓑蟲と圓ら赤き實と

   早春社新年初句會
初かすみ日の方よりぞ水迅し

お隣の雪葉牡丹にゆるみけり

   早春社富士紡例會
冬はれをきらめく遠き鷗かな

冬晴れや舟つゞき去り水の皺

住むさまや茶の花垣にもの干して

   早春社上町倶楽部例會
杉の枝雪をこぼすに鴛鴦の沓

窓を消す雪のおぼろやクリスマス

   早春社尼崎例會
茶の花や見料取って庵の番

茶の花や一祠置かれで石の上

餅花の梢がのぞく二階かな

   早春社櫻宮例會
冬至空雨降りたれば雲のなし

水面にあそぶ眼や日向ぼこ


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