早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和九年四月 第十七巻四号 近詠 俳句

2021-08-06 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和九年四月 第十七巻四号 近詠 俳句 

近詠

  播州那波 (三句)
春風の入江浅波島二つ

はじめての土地に春寒む海渡舟

波のどか岬の裏は室津かな

  播磨造船所初見
春曇る船渠に船を見舞いけり

大船の塗替へられて春陰す

  愛国丸船中
春晝や彩たゝまれて萬國旗

  那波より赤穂へ
山の外に海を忘れず峠春
  
小嶺越え来て赤穂の町に梅の花

町春やうみへひろが峡どころ

浅野藩菩提寺花岳寺(二句)
春寒むの案内僧なり香を焚く

義士の像に子葉をさがす春夕

  大石内蔵助址
風光る大石が門と聞くからに

松亭々雲に早春赤穂城

蝶飛んで暮色そめたる麓かな

いま流行る何やら音頭野は霞

一室や黄梅咲いて几

雨かすか降ってなよなよ菜種花

かげろうのみだれて虻を追いにけり

芦の芽にたぐひするもの競ひけり

春宵のますぐのみちに杜くろし

猫の戀鉢に芽の春きたりけり

  建武中興六百年記念(三月十三日)
建武むかし今日と咲くなる櫻ばな

  大阪萩の寺に子規の萩の句碑建設成る(昭和九年三月十八日)
句碑建ちし刈萩芽萩明るくに

おぼろ夜の松いにしへに高きかな


昭和九年三月十八日 早春社主宰永尾宋斤で建立された大阪豊中 萩の寺の子規の句碑
ほろほろと石にこぼれる萩の露

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