早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句 「早春」大正十五年三月第一巻二号

2020-05-02 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句 「早春」大正十五年三月第一巻二号

   水ぎわの雪のとけたる藻枯れ哉
   裏納屋に梯子かくれば霞あり
   畑みちに塔外れたるかすみ哉
   囀にかすみ濃くなりうすくなり

丙寅吟行 明石より舞子まで
 蛸壺にあたる冬日に立ちどまり
 橋の下ぎっしり船や正月す
 大なみのそれの霞に白帆かな
 冬の海を一重に川も浪たつる
 北風吹いて松の果なる倡家なる
 みかん船つきゐる風の松の内
 鳥追いにからかふ舟の若衆哉
 鳥追のうしろに波のひたひたと
 風の波聞いて彳む小春哉
 照りかげる蔦の細道かれ草に
 山茶花や石畳行く歩のひゞき
 正月や堀にかけたる何小宮
 寒ければ呆うけてあるく五人哉
 公園の入口小池春の波
 城あとや此処は風なく笹啼けり
 落ちのこる落葉石崖より落つる
 酒の客か歌留多の客か火桶だく
 枯草のつきしマントをまた著るや
 敷石にふりかえり見る冬の海
 寺やしろ一つつゞきに庭の枯れ
 草はげてゐて家裏なる塚寒し
 塚も冬家並窪地の松の下
 廣前や一木二木の梅のかげ
 梅さむしむかし明石の驛家あと
 冬枯れのなかの芒は風もてり

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