定本宋斤句集 春 1
立 春 栗鼠せはし春の立ちしと樹に告ぐる
春 分 春分や百合根に萌えて台所
三朝にて
早 春 雪の中早春ひゞく三朝川
早春の寒さは水に梅の枝
如 月 如月や雲漏る日すぢすだれして
三 月 三月ある日蝶空をゆくかぎりゆく
三月や散らぬ櫟の枯れ景色
春浅し からたちはなほ春浅し濠の水
魚棚に魚族見て佇つ春浅き
高野山吟
春 寒 春寒し土のあらびに夕ごゝろ
花岳寺
春寒むの案内僧なり香を焚く
春 干鰈軒につられて春のもの
吉野神宮
春高し山平らに踏む日の真砂
志賀にて
みちの端に座をする草も志賀の春
みの虫の空春となりあけぼのゝ
止々呂美の櫟の枯れが散る春歟
磯村や春は空から山端月
一茶の墓は小林家の一基中に併葬せられありてその傍に近時見仰ぐる立派な一茶の墓を
建立せられあるも却つて故人にふさわしからず
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