早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十八年五月 第三十五巻五号 近詠 俳句

2023-10-24 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十八年五月 第三十五巻五号 近詠 俳句

    近詠
蝶しろし海明けてくる松のそら

ちる花の遠くはろかにゆく涼し

春かすみ大地いづくも銃後なる

睡蓮の水をはじけて生ひきたり

背戸川に帆舟めづらし朝つばめ

食ふべてはむらさきを積む蜆穀

母子草崖になそえの流し屋根

巴してコップの底の蝌蚪ふたつ

友去りしあとの春夜のよき勞れ

配給やかますごまみれ鯛一尾

筍を噛みつゝ今年花を見ず

   竹之浦吉崎懐舊
蓮如忌へ鹿島の茂り舟に擦る

病みながら行く春の句座約しけり

芝能や葉ざくらをちる夕日の班

   大家雁山氏を誄す
瑞穂の地かたき守りて今朝の春

初富士をさしゆく草の戸の煙

初明かり稲舟軒にふかふかと

初鴉田舟々々の雪白に

藁塚にぬくもり凧をあげにけり

   歌留多
かるたの夜母屋の闇に生まれしとぞ

かるたの戸自轉車雪に委せある

   逝く春
高き木の匂ひ咲くあり春の逝く

行く春と思ひ仰きつ星満天

朝きよく公園の径春のゆく

蝶ひらひら街一筋を春果つる

   猿蓑 宝塚植物園
花人のそれならで句座雨のよし

彩管のありて居籠る春の雨

猿蓑の猿に蓑なし春の雨















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