定本宋斤句集 新年 2
御題 田家の雪
初 影 田の家の初影とこそ雪に伸ぶ
初 霞 初霞けさに濃きまし魚府の島
初 茜 雛そめて野の大枯れに初茜
御 振 御振りの山邊かすみと霽れにけり
井華水 井華水梅山茶花のかたはらに
年 酒 尾についてつぶやく唄も年酒かな
大福茶 ほど注いで梅のにじみや大福茶
年賀状 年賀状に句もなくなりし彼等なれ
年 禮 くだかけの闇はらうより年の禮
双 六 双六や上がる都の紅霞
崕の霧しらみして井華水 崕(がけ)
蓬 莱 蓬莱とならげて芭蕉座像かな
白 飾 ひつひつと今朝の雪ふる白飾り
門 松 門松や町に城下の名残りあり
繭 玉 正月の夜気繭玉のゆるる哉
手 毬 手毬歌ほのと昔が縁先に
弾始め 弾始めを旅にききゐる茶垣かな
羽子板 羽子板をあぎとの下に抱きけり
凧 野を歸る牛に踏まれて凧の糸
凧の野や旅の湯窓に晴ればれと
◆井華水:中古宮中で立春の日に主水司から天皇に奉じた水
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