富山きのこクラブの皆様
細矢さんを囲んでの観察会は、有峰の交通事情が悪いために、南砺市利賀に場所を変更して行われました。夕方から雨の予報、石川きのこ会員を含めて参加は19名でした。 今回の観察場所は利賀地区坂上、私は初めてここを訪れました。
晴天続きのため、乾燥状態でしたが「オオッツ!」という細矢さんの挑発的な発声に会員が駆け寄ります。
カシノアシナガキクイムシに冒されたミズナラが伐採処分されており、至る所で枯死した木が無残な姿を晒しておりました。
より湿った環境を求めて、南砺市指定天然記念物の「坂上の大桂」の近辺に移動しました。
Hymenoscyphus(ビョウタケ目)桂の樹下では色々な子嚢菌が観察されました。
ミズナラの伐採跡地にアラゲコベニチャワンタケの仲間が群生しておりました。同じ場所に2種類の発生が確認され、センセーションを巻き起こしました。
ピロネマキン科(Pyronema?)
上の種よりもオレンジ色が薄く毛がない。
蕎麦の里で昼食後(随分と待たされましたが…蕎麦は美味しい)、同定会となりました。
Hymenoscyphus(ビョウタケ目) このタイプで柄の付け根が黒くなっている場合には注意が必要。基質中にストロマ(子座)を有する菌核菌の可能性がある由。ニセキンカクアカビョウタケが「ビョウタケ」から「キンカク」へ移ったのは好例。
前出の2種…焼け跡のような環境(直射日光が当たる乾燥状態)に出てくるカロチノイドを作る科だそうです。
Diatrype(黒い方:ホスト)、Cosmospora(赤い方)
前出の黄色いヤツ:Hymenoscyphus(ビョウタケ目)
シロヒナノチャワンタケ[Lachnum virgineum (Batsch.: Fr.) Karsten]+Mollisia 大桂の樹下で発見!このほかヒナノチャワンタケも観察されました。
Enthormophthora(Erynia?) これは非常に珍しい接合菌だそうで、虫の回りを菌糸が覆っている様子が…イラストで説明されて初めて理解できました。見付ける方も見つける方ですが同定する方も同定する方ですよね。
午後3時過ぎ、北陸も入梅したのかぽつぽつと雨が降り出しまして、今回の観察会はお開きとなりました。 小さな小さな子嚢菌の世界にすっかり驚かされてしまいました。ルーペは必携ですよ。どうやって断面の切片を作るのか?実体顕微鏡での作業になるのでしょうかネ?
細矢先生、ありがとうございました。面白い世界を垣間見ることができました。
ちなみに顕微鏡講座で観察した…こいつは?
Mollisia
菌糸が座布団の様に広がっている様子だそうです。
シロヒナノチャワンタケ
[Lachnum virgineum (Batsch.: Fr.) Karsten]
立山寺でチンした冬中夏草は…
オオセミタケ[Cordyceps heteropoda Y. Kobayasi] 床尾さんからご教授いただきました。こいつはホストが浅いので割りと簡単に掘り出すことができるのだそうです。
富山きのこクラブの皆様
木や葉っぱばかりの写真で済みませんでした。美しい子嚢菌の世界は…ご自分でご覧くださいね。
昨日の講演のスライドの一部を掲載します。
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