Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

高けりゃ良いってもんでもないです。

2011-05-17 | Blues
 ある年ミラノの中心から少し離れた店で、日本人と話すのは初めてと言われながら一通り商品を見せてもらうと、そこのシャツはB.Dとホリゾンタルだけでした。
理由はよく憶えていませんが、他であまり扱ってないからとか、それがうちのスタイルだからとか言っていたかも知れません。
レジの脇には訪れて来た同業者の名刺が貼られ、特にドイツのものが多かったように思います。



その頃、彼らの着ていたスーツやジャケットのゴージは意外に下がっていて、ホリゾンタルとの相性が今ひとつに見えました。
逆取材を受けて色々感想を聞かれるので、つい思った事を口にしてしまい、下がり気味のゴージとホリゾンタルはバランスとしてどうかと言うと、そんなこと言われたことないと返って来ました。
想定内の言葉で言い争うような話でもありませんので、細かい物を買って帰りました。
数年後、店の前を通り過ぎようとすると、日本の雑誌の取材等ですっかり日本人慣れしたのか、スタッフが片言の日本語で呼びかけてきます。
折角なので久しぶりに一通り見せてもらうと、重衣料ではラ・ヴェラ・サルトリア・ナポレターナとか南のメーカーでゴージ高めの製品など、品揃えは多少変わっていました。

かといって今回の画像のように極端にゴージが高く見えるのは、決して良くありません。
頭の大きさに応じた肩幅の確保による体型補正効果と同じく、仕立て服が普通だった時代には、ゴージの高さも本来着る人の身長により按配されていたそうです。
見上げるほど長身の人がゴージの高い物を着ると、反り返ったように見え、高身長を助長して大巨人になってしまいます。
ですから身長190cmくらいのゲーリー・クーパーのワードローブは、175cmほどのアステアのものより理論上ゴージが下がっていたと思われます。「Dressing the Man」等でご確認いただけるでしょう。

店のオーナーの写真が見つからないので、こんな感じという画像を作ってみましたが、シャツの衿型はもっと水平だったので、極端にいうと衿からゴージが垂直に繋がるイメージでした。




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