海軍少尉 川越 勇命
昭和20年4月14日 朝鮮延海にて戦死 宮崎県東諸懸郡本荘町出身 36歳
紀子さんへ
紀子さんは小さくてよく分からないかも知れないが、父さんは海軍軍人として天皇陛下様の御為、悦んで死ねます。
父さんはこんな嬉しい事はありません。
父さんは何時も忙しい体で、紀子を可愛がる事も出来ませんでしたが、ゆるして下さい。
之から父さんはいなくても、一番良いお母様やオヂイ様オバア様方の教えを良く聞いて立派な人になって下さい。
さうして大きく成ったら、お母様にたくさん孝行をして下さいね。
貴女方はお父さんの子として、決して恥しくない人になって下さいね。お願ひします。そして、お母様達と靖国神社に会いに来てください。
お父さんは九段のお社でお待ちして居ます。
お会ひしたらお約束のお土産を上げませうね。
紀子達には、良いお母様が居ます。
さびしがらず立派な強い日本人になって下さい。
お父さんは何時も貴女達をお守りします。
御幸福を祈ります。御機嫌宜しく。
父ちゃんより
昭和20年4月14日 朝鮮延海にて戦死 宮崎県東諸懸郡本荘町出身 36歳
紀子さんへ
紀子さんは小さくてよく分からないかも知れないが、父さんは海軍軍人として天皇陛下様の御為、悦んで死ねます。
父さんはこんな嬉しい事はありません。
父さんは何時も忙しい体で、紀子を可愛がる事も出来ませんでしたが、ゆるして下さい。
之から父さんはいなくても、一番良いお母様やオヂイ様オバア様方の教えを良く聞いて立派な人になって下さい。
さうして大きく成ったら、お母様にたくさん孝行をして下さいね。
貴女方はお父さんの子として、決して恥しくない人になって下さいね。お願ひします。そして、お母様達と靖国神社に会いに来てください。
お父さんは九段のお社でお待ちして居ます。
お会ひしたらお約束のお土産を上げませうね。
紀子達には、良いお母様が居ます。
さびしがらず立派な強い日本人になって下さい。
お父さんは何時も貴女達をお守りします。
御幸福を祈ります。御機嫌宜しく。
父ちゃんより
海軍少佐・矢野徹郎命・昭和19年12月7日・比島方面にて戦死・愛媛県越智郡津倉村出身 25歳
お便り有難う。お元気何よりです。愚生相変わらずにて大空を翔けて居ます。
早いものです。1年余の歳月が流れました。
大祭も近づく頃!肌寒い風の吹く頃は、常に駅伝のことを思います。
日一日と風がつめたくなるに従って、練習も苦しくなって行った。
山田は実に懐かしい土地です。一木一草、思い出ないものはありません。
宮川、御幸みち、塚山の下宿生活、山寮の思出、古市時代、親しき友。
友の姿を偲びつつ、弛みがちなる心を引締めてゆく。大空を翔ける心、既に何人かの屍を乗り越えて来た。
日々訓練は生命がけであります。訓練が生命がけであるだけに、戦友との結びは兄弟以上のものがあります。学生時代の様な子供の遊びの域を脱し、最早大人の時代へ遷らせます。
吾々の生活…飛行機に乗ったとき、全てを忘れることです。ここに他と異なる吾々の神聖さがあります。
今日は雨で飛行場のエンドがかすんでみえる。はるかに石の鳥居が寂として立っている。
昨日迄立ってゐた幟もとりはらわれた。秋祭りも終わった。
秋祭り 幟はためき 虚空高し
秋の空!なんと大きな心。大空に向かって深い呼吸をしてごらん。
身も心も清々しく、己の心も大空の様な偉大さをわきたたせる。
急上昇するとき、淡雲がぐぐっと顔前にせまる。
操縦稈を右にとる。大きな円を画いて吾が飛行機はもとの姿勢にかへる。
なんとすばらしい生活ではありませんか。
醜の御盾(しこのみたて)
吾も亦 この鎮宮に 祀れん日もあらんかと 宮造りしみじみ拝す 五尺の身 ありとあらゆる 力もて 尽くしまつらん 醜の御盾は
お便り有難う。お元気何よりです。愚生相変わらずにて大空を翔けて居ます。
早いものです。1年余の歳月が流れました。
大祭も近づく頃!肌寒い風の吹く頃は、常に駅伝のことを思います。
日一日と風がつめたくなるに従って、練習も苦しくなって行った。
山田は実に懐かしい土地です。一木一草、思い出ないものはありません。
宮川、御幸みち、塚山の下宿生活、山寮の思出、古市時代、親しき友。
友の姿を偲びつつ、弛みがちなる心を引締めてゆく。大空を翔ける心、既に何人かの屍を乗り越えて来た。
日々訓練は生命がけであります。訓練が生命がけであるだけに、戦友との結びは兄弟以上のものがあります。学生時代の様な子供の遊びの域を脱し、最早大人の時代へ遷らせます。
吾々の生活…飛行機に乗ったとき、全てを忘れることです。ここに他と異なる吾々の神聖さがあります。
今日は雨で飛行場のエンドがかすんでみえる。はるかに石の鳥居が寂として立っている。
昨日迄立ってゐた幟もとりはらわれた。秋祭りも終わった。
秋祭り 幟はためき 虚空高し
秋の空!なんと大きな心。大空に向かって深い呼吸をしてごらん。
身も心も清々しく、己の心も大空の様な偉大さをわきたたせる。
急上昇するとき、淡雲がぐぐっと顔前にせまる。
操縦稈を右にとる。大きな円を画いて吾が飛行機はもとの姿勢にかへる。
なんとすばらしい生活ではありませんか。
醜の御盾(しこのみたて)
吾も亦 この鎮宮に 祀れん日もあらんかと 宮造りしみじみ拝す 五尺の身 ありとあらゆる 力もて 尽くしまつらん 醜の御盾は