森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

日記:自分自身で感じるNew M1

2011年06月19日 13時05分39秒 | 日記
岡山の講義を終え,
土曜日,ホテルの窓を閉めようとしたら,
思わず,思いっきりしまってしまい,
その瞬間きき手の親指を挟んでしまった.
爪の中がみるみる内出血.
それどころか,血がぼたぼたと・・・これはやばいと思い,
応急処置を施し,
講演会場の兵庫医療大学へ.
兵庫医療大学では旧友の香川先生と村上先生としゃべり,
大丈夫,大丈夫といいながら講演へ.
運動麻痺の神経科学でしたが,
その前の運動制御・発現をの神経科学を理解していないと,
運動麻痺へは進めないと思い,
基本的なことを話し始め,
少しよくばり,運動学習も入れてしまえば,
時間が超過して,大幅にずれこみそうになり,
軌道修正し,運動麻痺に関する神経科学の新しい知見を取り入れ,
話しました.
その主体はNew M1のことでしたが,
痙性麻痺を考える意味での
フィードバック抑制とフォードフォワード抑制の違いについて話し,
普遍的なものはフィードフォワード抑制であることを生理学から話し,
末梢の刺激は一過性のものであり,
いかにシナプス前抑制である軸索軸索シナプスを形成していくか,
脳の機能から話しました.

途中,右手の親指から激痛がはしり,
冷や汗だらだらで
自分の注意を操作できない状況におちいり,
やむなく5分間の休憩をとらせていただきました.
講演を終え,本当は村上先生の講演を聞きたかったのですが,
痛みがひかないために,
近くの神戸市中央病院へ.
救急外来で診察を受けると,
右手の母指が骨折していることが判明!
爪の中からはまだ血が出ており,
5時間ほど経過しているがこれはやばい・・ことから.
爪の上から針をさし,血液を抜いてもらいました.
本当はとても痛いことでしたが,
もう知覚がなくなっており,
何も感じない状態でした.
X線をみると,
骨膜がはがれており,それが痛みをつくっていると
自分の手を客観視しました.
それと,注意の操作でよく講演をしたとも思いました・・・

知覚と運動,まさに究極の選択であれば,
知覚の回復を望むところでした.

しかし,母指が使えないのはADLに支障がでます.
持論のNewM1の母指機能を自分で確認できました.
手の器用さは利き手の母指にあり.

そのあと,講演を終えた村上先生と合流し,
香川先生,奥山先生を含めて,
昔話,今後の展開を笑いながら懇親しました.
生涯初めてアルコールなしの懇親会でした.
しかし,ノンアルコールビールはプラセボ効果があるようです.
酔ったような気分です.

・・・しかし,ぐるぐる巻きされ,副木を当てられた指からはまだ出血しており,
包帯が血に染まった瞬間は...やばいと思い,この日3回目.
23時前にはホテルに帰りました.
不健康になってはじめて人間は健康を本気で意識するのです.

さて,明日より欧州臨床神経生理学会での発表のため,
イタリア・ローマに旅立ちます.
ゆびの痛みをとらないと,荷物の運搬など,
さまざまなものに影響します.
ボタンもとめられないし,髪もうまくあらえない.
いかに両手協調動作が人間の行為にとっては重要で,
補足運動野を愛してしまうのです.

というわけで,明日より1週間,
ローマにいってきます.
同僚の松尾先生,冷水先生,前岡先生とです.
骨折旅が始まります.


うちの大学のWCPT組である,
田平先生,今北先生,福本先生,瓜谷先生,松本先生は
一足先にアムステルダムに出発しました.

しかし,タイピングに時間がかかる.
知らないうちに母指を動かし,知覚を変化させ,
痛みを起こしてしまう.
痛みは面白いものなり.