なるべくわかりやすく!コロナウイルスの事(号外32の前に)~首相「早ければ、年内ワクチン接種」!?これは酷い発言です!!
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安倍首相が6月14日(日)にとんでもない発言をするものだから、
32号(東京の感染拡大が止まらないのは、そう悪くない)の前に号外を書かざる得ない気持ちになりました、
◆早ければ年内にワクチン接種を開始!?
首相のとんでもない発言とは(14日のインターネット番組での発言)、
世界的に先陣を切る米バイオ企業モデルナのワクチンについて「すごく早ければ、年末ぐらいには接種できるようになるかもしれない」と期待感を示した。
(毎日新聞6月15日)
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結論から書くと、これは現状を踏まえた正しい推察ではありません、
厚労省も即座に打ち消しています、
「首相が言う『年末』は海外での生産時期の目安であり、国内で接種できる時期ではない」
厚労省の説明は現状に忠実です、
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COVID-19のワクチンは最速で(幸運に何度も恵まれて)、年内に生産が始まる僅かな可能性があります、
大阪府の吉村知事も相当前のめりで、6月17日に大阪大+アンジェスのワクチン開発の進捗動向について発表、
こちらも「年内20万人分生産可能」と威勢は良いですが、、、
接種については2021年春~秋の実用化、と冷静なコメントをされています、
これが正確な表現です、
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新薬・ワクチンの開発動向については、詳しく書くとすごく長くなるので、独酌酔言的にワープさせていただきます、
『新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ【COVID-19】』(6月12日UPDATE)
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◆首相はなぜ、このような発言をしたのか?
安倍首相がなぜこのような発言をしたのか?
このサイトの主旨には馴染みませんが、話の流れ上、書きます、
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考えられる可能性は、、、
① 単なる勘違い、理解不足
この可能性もあります、どうも、首相はこういう精緻で論理的な議論に対する理解力が足らないように思います
② 意図的に嘘をついた、威勢よくバルーンを上げたかったから
これも、いままで何度となく繰り返されてきたことなので有ってもおかしくない、首相は緻密で丁寧な政策よりも、分かりやすい新しい大きなうねりが生まれるイベントプロモーションが好きです、多くは書きませんが、、、残念、、、
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いずれにせよ、『すごく早ければ』という言い訳はあるにせよ、『年内にワクチン接種の可能性』などと云う戯言を1国のリーダーが発言すべきではないと思います、
コロナ禍に関しては、分からないことが多いです、たしかに年内に接種が始まるかもしれません、
でもね、一国のトップとしては、なるべく正確、もしくは確度の高い情報を、国家のリーダーの見識を以って発言すべしと考えます、
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◆実際には、ワクチン開発はどうなっているんだ?
たしかに、現在のワクチン開発が従来の常識を打ち破るスピードで進んでいるのは事実です、
これまで、ワクチン開発には10~15年程掛かるのが当たり前と考えられてきたようです、
でも、今回は開発を1年~2年程度まで短縮、全世界接種完了(70~80%目途)まで含めて、3年~5年程度に短縮してしまおうと、世界中の研究者が挑戦しています、
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これは、コロナウイルス感染の終焉が世界共通の目前の課題だからです、
各国は資金を潤沢に準備しています(開発ステップは変わらないけども、手順と準備がお金でスムーズになります)、
各国は(安全性確保以外の)多くの障壁を低くしています(お堅い日本の厚労省も)、
そしてなにより、当面の世界最大のビジネスチャンスだからです、
それでも、年内に日本国内で接種が始まる可能性は、、、0.001%くらいしかないように感じます、
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◆ワクチンレースの先頭集団は第Ⅲ相臨床試験へ
レースの先頭集団、“オックスフォード+アストラゼネカ”と“米モデルナ
社”は7月からブラジルで臨床実験第Ⅲ相(最終なヒトによる試験)に入ります、
たしかに物凄いスピード感、でも、国内で年内接種というのは、やはりちょっと難しい、、、
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なぜか?は書き切れないので(ここでも独酌酔言的ワープ!お許しを)、他のサイトにお任せします、
現状の新薬、およびワクチンの進捗状況と問題点はこちらは詳しいです ⇒
『新型コロナウイルスのワクチンは、本当に早期量産できるのか? 加速する研究開発と、いくつもの不確定要素』
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◆もうひとつの危惧、「交渉している」と云うが
首相は各国とワクチン供与の交渉をしている、と発言していますが、これも怪しいです、
いや、もちろん接触はしていると思いますが、それは交渉と云うより“保険”“商談”ではないでしょうか?
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理由は、、、
① ワクチンは自国民から接種する
どの国が開発に成功したとしても、自国民優先です、まずは自国の国民から接種します
なので、他国開発のワクチンがいきなり日本で接種されるとは考えにくい
ただし、中国だけはどう出るか分からないと考えます(後述)
② 各国は保険を掛け合う
ワクチンは各国で開発中であり、どれが当たるか?まだ分からない
現在、中国、英国、米国がレースをリードしていますが、誰が先頭でゴールテープを切るかはまだ分からない、
さらに、ワクチンが出来上がっても抗体の強さや効力の期間など、出来栄え点はいろいろあります、必ずしも早く出来上がったから、良いワクチンとは限らないのです、
そこで各国とも保険を掛け合うと思います、
仮に自国のワクチンが不良だったり遅かったりした時は助けてね、その代わり、うちが先に上手く出来たら少し分けてあげるから、という保険です、
これはどの国でも考えるし、交渉は行うと考えます、
③ ワクチンは高価なビジネス材料
仮に、他国のワクチンを無理やり自国に引っ張って来ようとすると、それは高価なワクチンになってしまうと容易に想像できます、ワクチンもビジネスです、
各国が(特に我が国の首相がお得意の)金銭外交を行うと、世界中でワクチンが高騰、発展途上国への接種が停滞するという事態も起こりかねません、
ここは世界的視点で公正なワクチン接種拡大を目指すべき状況です、
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ただし、中国がどう出るか?
マスク外交同様、中国国内の接種完了前(なにせ人口14億人)に“ワクチン外交”を展開する可能性は大です、
背に腹は代えられないし、自国開発が難しい国々はこの中国の優しい申し出に応じるのでしょう、これも仕方ない、しかし、その先の未来は、、、
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やはり、世界的視野を持って、世界が一丸となって持続可能な世界を作ることを前提にワクチン接種も行われるべきです、
そういう意味ではWHOの役割は大きく、米中の対立はワクチン接種に置いても大きな障害になりそうです、
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こんな背景の中で、少しワクチンの話をした、という程度なんでしょう、首相のお話は、
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◆ワクチンは世界を変えることができる(良くも悪くも)
首相の14日の発言は勇ましく、日本国民に希望を与えるように聞こえますが、
残念ながら、ワクチン議論の本質を何も咀嚼していない、情けないほど貧相な発言です、
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今は感染拡大防止が最大のテーマであることに間違いありません、
でも、、、
いざ、ワクチン完成が近づいて来たら(今までの各国国内対応の問題だったのが)、
一気にこれからの地球全体を見据えなければならない、新しいテーマを提示します、
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『ワクチンをどのように利用していくのが、この地球にとって望ましいのか?』
国家間の覇権争いの武器ではなく、国内の政争の具にすることなく、貧困問題・人種的宗教的問題を拡大することなく、地球上のヒトが(なるべく)等しく救われる、ワクチン接種のあり方、
一国のリーダーはこの辺りから、自らの展望を展開して欲しいと切に願います、
そういう話をリーダーの口から聞きたいです、
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けっして、大枚をはたいて、他国からワクチンを強引に買い付けるようなことはしないでくださいね、
それを自慢げに報告したりしたらダメですよ、
ワタシがお金で日本国民を救いました!
そんなのがお好きだから、心配です、首相、
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