in a schale

シャーレにとじ込めたありふれた日常。

2016.04.24 DEZERT“ZEAL LINK TOUR 2016”at 高田馬場AREA

2016-04-29 20:35:56 | ライブレポート


■■■ジン

女性ボーカルバンドのジンのほうが思い浮かんでしまうのですが、ヴィジュアル系バンドのジンです。「ジャパニーズ哀愁ポップ」がテーマらしく、メンバー全員和柄を使った衣装でした。

なんだかみんな同じような線の細い体型で、輪郭もシュッと面長で、メイクも似たような雰囲気だから、髪色とふとしたときの表情くらいでしか見分けがつかなかったです(汗)。ホームページのアー写も見てほしいんですけど、修正で細いのかと思いきや本物も細いんですよ。ドラマーですら女子以上に華奢なの。なんなん。

しいて言うなら上手ギターのLuyさんが、銀髪にサンバイザー、口ピアスで、若いころの雅-miyavi-さんみたいで気になりました。ロボットみたいな動きをしたり、顔芸してたり観ていて飽きない。

楽曲にも和の要素を取り入れているのですが、それがギターのフレーズとかじゃなく、打ち込みばかりなのが気になりました。同期を抜いたら、曲の突出する個性がなくなってしまいそうな。
ただ、3曲目の逆ダイ曲は、ライブの流れを変えるようなフックがあるなと思いました。

ファンが扇子で舞う曲も何曲かありました。猫モチーフの曲は謎だったなー。Rikuさんが黒猫の手袋(ミッキーマウスの手だけはめるやつみたいな)をつけて踊るという。ファンのフリもにゃんにゃんみたいな。曲名知りたい…。

ボーカルのRikuさんは、常にニコニコ笑いながら楽しそうに歌っていました。写真ではキメキメだけど、かわいいキャラなんですね。煽りは「あたまあたまー!」系。

ラストは逆ダイもある激しい感じの曲で、ベースの大蛇(おろち)さんがフロアに降りてきました。3柵あたりまで来て演奏していたんですけど、まわりの一部のバンギャルちゃんは座ったまま観ていて、その絵面がシュールでしたね…。しかも曲の最後までそこにいて、退場時までステージに戻らないという(笑)。



■■■Far East Dizain

くらべてしまうのは大変申し訳ないんですけど、こうして聴くと1バンド目とのスキルの差があからさますぎる。ちゃんとしたバンドだ!!!

FEDは初見だったんですが、Ledaさんの使っていたギターがヘッドレスの8弦で、そのフォルムにまず度肝を抜かれました。ボディシェイプも極限までムダを省きました!みたいなデザインなんです。これ↓



調べてみたらこのタイプのギターはブリッジ側でチューニングするらしい。へ~。

やっぱりLedaさんのギターとSujkさんのドラムが圧倒的ですね。でも、バンド名の通り日本らしささがあったり、歌メロが立っていたりと、メタルメタルしすぎていないからすっと耳に入ってくる。
Ledaさんはシャウトのコーラスもしていました。しかもうまい。イケメンでギター上手くて、歌もできるとか、神様に二物も三物も与えられている人は実在するんですね。

ボーカルのKeitaさんのステージは、CodeRebirth時代に一度観ているんですが、当時より堂々とした太い歌声になった気がします。MCはちょっとたどたどしかったけれど(笑)。トレーニングもしているのか腕の筋肉のつき方がすごい。
銀髪ベースのЯyuさんはヴィジュアルで華を添える。2.5次元。ベースを抱えながらダイナミックに4回転ぐらいしてました。

去年結成されたバンドとは思えないライブだったと思います。ラストの前に演った「I'm a Human Just Like you」は、Wow Wowとみんなでコーラスする曲だったんですけど、高田馬場エリアドーム来日公演みたいな感じでしたもんね。





■■■DEZERT

たぶん一番動員が多かった。

幕の後ろで楽器陣がサウンドチェックしているのが聴こえてきていて、フロアは“まだかな~”といった雰囲気で待っていたんですが、いきなりSORAさんのドラムがドンドコガッシャーーーーン!!と爆音で炸裂(音をかなり増幅させていてホントにびっくりした)。
何事かとステージに視線集中。そのまま幕が開くと、ステージにはSORAさんのみスタンバイしており、ドラムソロからライブスタートでした。髪型のせいもあるかもしれませんが、痩せて輪郭がシュッと引き締まっていた気がします。




ほかのメンバーも姿を現し、SaZさんのスラップから「肋骨少女」。Miyakoさんはホントに髪の毛パープル。カラコンもピンクっぽくて小悪魔風でした。

みーちゃん3連発。







千秋さんのヘアスタイルはそこまでウォーズマンじゃなかったです。姫カットだけど全体的に毛先を散らしてたからかな。ワイン色?っぽいシャツを腕まくりして着ていました。左手首に髪ゴム。

「infection」はSORAさんのツインペダルがお腹に響くくらい効いていて、テンション上がりました。「「追落」」もバスドラが鼓動みたいで良かった。みーちゃんのギターもディレイ深めできれいな感じ。

千秋さんはマイクスタンドを立てて歌っていました。“踏み出す白は今日も汚い”のところは、左手でフワッとなにかをつかむような仕草をしていたんですが、“塗りつぶす黒は今日も混ざらない”のところでは、右手を前に伸ばしてギュッと握りつぶす動作をしていて、対照的に見えました。

あと、ラストサビ前の“さよならを掴む空が遠ざかる”からのパートは全部歌わずハミングしていたり、“言葉が”とか、“追いかけても 追いかけても 君は… ”とか、“追いかけてみても”といったことを断片的に歌ったりしてましたね。
投身自殺を彷彿とさせる歌詞だなとは思っていたのですが、それを遂行する理由は「君」なのかな?とか、もしかして後追いだから「墜落」ではなく「追落」なのかな?とか、新たに気づきがありました。

演奏後、シーンとするフロア。そこへMiyakoさんのストロークが鳴り響き、“もうこれ以上に泣いたって無理だよ”と千秋さんがゆったりと歌を重ねる。サビを1フレーズ歌ったところで、通常のテンポで「「ここにラブソングを」」。アコースティック風のアレンジからいきなりヘドバンが始まったので、ほかのバンドのファンの方が、!!?という反応だったような。

「通路~! 通路~!」とセンターで千秋さんが謎の煽りをして、照明さんに灯りを落としてほしいと指示。真っ暗になるステージとフロア。そのまま「包丁の正しい使い方~実行編~」の演奏が始まり、パッと赤い照明がつく。

このあたりで千秋さんが前髪を掻き上げて一瞬オールバックに。「生きてますかー? 生きてますかー? 生きてますかー! …そうか、生きてんのか」と、ちょっと残念がる素振りから「「不透明人間」」「「教育」」。演奏前にも、声を出すなら出せといった煽りをして、“お前が嫌いさ”と観客に叫ばせていました。

でも千秋さん、声が出ないのか、気分じゃないのか、全体的に曲の後半部分はあまり歌ってなかったですねー。みーちゃんもチラチラ千秋さんを見ていた(ように見えました)。

「「宗教」」は、序盤の譜割や一部歌詞を変えて歌っていました。
“唯一の宗教です”→“僕の宗教です”、“黄緑の声が”“君たちの声が”といった具合。この曲に関しては、なにについての歌詞なのかいまだにまったくわからないんですけど、音楽やシーンに対しての皮肉なのか?説が自分の中で新たに浮上してきている。

“ふたつにして”のところは、2本指を立てて前に突き出して、「ふたつ」を表現してました。曲後半も歌詞通りではなく“ふたつにして”を何度も繰り返し歌っていて狂気。しかも千秋さん、ニヤっと笑うんですよね。SaZさんもヘドバンしながらめちゃくちゃに荒ぶってました。

ズガーンと暗い穴に突き落とされたような状態のまま終演。千秋さんが歌わない箇所があったせいか、若干不安定な印象のあるライブでしたが、ドラムソロ始まりだったり、弾き語りからのバンドインだったりと実験的な要素もあって、もっと観たいなと思わせるライブでもありました。

【SET LIST】
01.肋骨少女
02.「あー。」
03.infection

04.「追落」
05.「ここにラブソングを」
06.包丁の正しい使い方~実行編~

07.「不透明人間」
08.「教育」
09.「宗教」






■■■Kra

3曲だけ観て出ちゃったんですが、さすがの安定感といった印象でした。プロ。たとえ自分の体調管理が万全でなくとも「絶対に楽しませる」という精神でライブをやるんだろうなと感じさせるステージだったんですよね。

ひさびさに聴きましたが、景夕さんの歌唱力もすごかった。ファルセットも、どこから声出てるの?ってくらい自然だしきれいだしで感動しました。





対バンライブ、4バンドがくらいがちょうどいいなぁ。ZEALツアー来月も観る予定でいるんですが、6、7バンドとか体力的にもつんだろうか!

2016.04.23 sukekiyo 二〇一六公演“桜肌、夢締め跡と優越の詩”at 京都劇場

2016-04-28 00:10:59 | ライブレポート
昨年11月の大阪公演以来に観たsukekiyo。
(大阪の感想を書いていないのは、なぜか交通手段を昼バスにしてしまい、スーパー早起き&1時間もバスが遅延したため京都で途中下車して電車でギリギリに大阪入りし、公演の半分は睡魔との戦いで、ラストのSMショーしか記憶がないからです!)
今回も睡魔との戦いだったものの、それなりにちゃんと観ました。


過去に京さんが「後味の悪い映画が好き」という話をなにかの媒体でしていたと思うのですが、今回の公演はそれに近いなと思いました。


京都劇場は駅直結だし、座席はフカフカ、どの席でも観やすいので好きです。


スタンプ。御朱印帳もっていないのでノートに。


開演前アナウンスの際に流れていたBGMが、ちょうど吉川晃司さんの「モニカ」で、そのミスマッチ感に笑ってしまった。

ブザーが鳴り暗転。スクリーンには、映画泥棒を模したスーツ姿のスケキヨさんによる新作情報CMと、文明堂のCMをパロったグッズ売ってるよのCMが流れました。「スケッとさわやか!」とのシュールなキャッチコピー。

そして、詩の朗読とダイジェスト的映像による「前回のあらすじ」。赤いフィルターをかけた海の映像にsukekiyoの文字が重なっていく。東映のオープニング映像みたいでニヤッとしました。



メンバーの立ち位置は、ゆるやかな弧を描くように下手からUTAさん、未架さん、匠さん、YUCHIさんの順。青い照明の逆光の中、いつの間にか定位置についていました。

4人で軽くセッションしてから「hemimetabolism」へ。修道女風の衣装をまとった京さんが登場。足元はローヒールのブーツ。逆光でそのヒールのシルエットが浮かび上がって綺麗でした。
スクリーンには色とりどりの蝶が舞う映像。後半は色を失って蛾のように見えました。

「elisabeth addict」「mama」まで聴いて、未架氏がすごく変化しているように思えました。ドラミングがこれまで以上にしなやか。緩急のつけ方を曲のイメージに合わせているから、つい目を奪われてしまいます。それに、ちょっと痩せてフェイスラインがシャープになったかもしれません。リエント時代のヴィジュアルカムバックも近い?

匠さんもカチカチカチカチ忙しくしているばかりではなくて、楽しむ余裕が出てきたのかなと思いました。顔を上げて、メンバーとアイコンタクトを積極的にしていたのがいいなーと。ピアノを弾くときは映像もちらっと見ていたり。新曲の「anima」のたくみんパートが、まさかの全編ピアノだったので驚きました。この日のセットリスト、匠さんがピアノやアコギを担当する曲が多かった気がします。

UTAさんはその時々の直感的な演奏に見えるけれど、音の始末や間が丁寧。センスがいいからニクい。ところどころ歌詩のワンワードを口ずさんでいるのですが、京さんの放つ言葉を縁取るような感じで、“あっ、こんな歌詩だったのか!”とUTAさんを見て、改めて言葉の意味を認識させられることが多かったです。「mama」の“道化師手を振る 売買”のところで、京さんが下手に行ったのですが、その後ろで“売買”と歌いながら目を見開くUTAさんは強烈でしたが(笑)。

YUCHIさんは、やはり一番パフォーマンスがアグレッシヴで漢! エレキベースを腰に下げながらアップライトベースを弾いている姿がカッコよすぎです。1曲目の「hemimetabolism」から音の気迫がすごかった。
なにかの曲で、ピアノを弾く匠さんと向き合ってベースを弾く場面も。アップライトは弓で弾いたりもしていました。



詩の朗読を挟み、4曲目の「latour」から中盤の「maniera」くらいまで、また夢の世界に飛んでしまっていたので記憶があやふやです…。sukekiyoのライブ、毎回うつらうつらするか眠ってしまう。つまらないんじゃなくて、心地よすぎて。リバーヴのかかったUTAさんのギターとか催眠術…。



「304号室 舌と夜」は、イントロからガラッとアレンジが変わったので、これが新曲かと途中まで勘違いしてしまいました。これまでは第三帝國楽団時代の原曲に近くシンプルだったけれど、作り込まれて音数が多くなり怪しさが増した。

このあと京さんが下手袖にいったん捌けます。
スクリーンには白い階段を登る京さんの足元の映像が映し出され、詩の朗読が重なる。階段を登り切ると、目の前に首吊り縄。縄の輪っかに顎をのせ、ふと体重を預ける。衝撃音とともに暗転、ぷらぷらと揺れる足が映し出される…という流れでした。朗読の最後の詩は“自我の開放へ 『おかえり』”だったかな。
これ、結構精神的にキツかった。グロとか虫とかは平気なんですけど、自死モチーフはつらい。しかも京さん自ら演じるというのが。「開放」とか「転生」のメタファーだとしても、映像がダイレクトだったからなー。


そんな状態だったので、そのあとの匠さんの繊細なピアノソロがレクイエムみたいで苦しかった。最新アー写や「anima」のMVと同じく、花魁?のような姿になった京さんがステージに戻ってからの「focus」も、聴いていてキリキリと締めつけられる印象でした。
でも後半の未架さんのツーバス聴いて高まった! 楽器陣はお互いに合図を送りあって演奏してましたね。UTAさんはうつむいて自分の世界に没頭気味でしたけれど…。

新曲の「anima」は、YouTubeのトレーラーを聴くかぎり、サビの開けたイメージから匠さん原曲かな?と思っていたのですが、中盤の間奏でまさかの変態的展開に。UTAさん原曲かも、と思い始めました。でもメロディーラインのきれいな曲を書くYUCHIさんの可能性も…。わからん。

1サビは淡白な声色で歌う京さんでしたが、2サビはハイトーンボイスになってパワフルでした。京さんのボーカル、全編通して、これまでのsukekiyo公演より深みが増したように感じました。シャウトもなにかに憑依されているような、この世の者じゃないようなジャリっとした声で迫力があったし、語りかけるように歌うところは感情がこもっていて言葉に説得力があった。

たしか「雨上がりの優詩」では、スクリーンに西洋の教会内のような映像が映し出されていました。
「鵠」の“貴方の優しさ? 救いの手は?”を歌いきったところでは、京さんが客席に背を向けて両手を広げて、そこで黄金色のライトが客席まで照らすという神々しささえ感じる演出も。桜の木?も映し出されていました。

「12時20分金輪際」はUTAさん原曲だと思ってます。はずれたら悲しいけど、THE UTAさん節だと思うんですよねー。途中で何拍子になってるのかまったくわかりません(笑)。未架氏は途中ツーバスを踏んでいて、キレキレなのにリズムを保っているのがすごかったです。
京さんがワンフレーズまるまるファルセットで歌う箇所もありました。途中下手で四つん這いになりそのまま数歩徘徊したりも。

京さんのみステージを去り、楽器陣のみで「烏有の空」。しかし、スクリーンには、京さんがバックステージのような通路を通り、真っ白な部屋へ入っていく様子が投影されています。部屋の中には、昨年行なわれた前編のライブで登場したレザーマスクの女王様と、百合の花束を持ち、フルフェイスのラバーマスクを着けたM嬢がいるではあーりませんか!

アンティーク調のソファに京さんがドサッと腰かけると、下半身リップするM嬢。女王様は束ねた赤い縄で京さんの頬を撫でたあと、両手首を縛って腕を上げさせる。目を細めて恍惚の表情を浮かべる京さん。

なんだか文字にすると官能小説みたいですけど(笑)。カメラワークも1カメで寄ったり引いたりと、生々しい感じだったんですよね。M嬢のプリケツも真後ろからアップになりますし。
京さんの演じている(?)人物もやっぱり女性なのかな。

そんな中、楽器陣はステージでスーパープレイを繰り広げているからどっちを観れば~!と大変でした。このときは目玉もう1セットほしかった。

“自分の股で切り開いた未来に 愛を込めて
おやすみ”
との朗読後、赤縄で後手に緊縛された金髪?のドールがステージ天井から宙吊りで降りてきました。真っ暗になったスクリーンに「完」の文字。
そして映画のエンドロールのような映像が流れます。ドールのアップの写真や、手首緊縛写真も差し込まれていました。

これを観ているときは、うわ~後味わるっ!だったり、ポカーン…だったり、怖!だったりな感情が渦巻いてました。実際、会場全体もシーンと静まり返っていました。

最後に最新情報との文字が踊り、「anima」のフルMVがオンエアされました。正直このMV上映で現実に戻ってきた感じ。終演後BGMは「anima」のピアノバージョンでした。



【まとめ】
ストーリーは……つかめたようでつかめないですね(苦笑)。「女」「子供」「禁欲」「開放」「サディストとマゾヒスト」「転生(生まれ変わる)」「愛」「偽り」あたりがキーワードかなぁ。

・修道女→禁欲の象徴。主人公の少女のサディズム(自分を縛っている)

・花魁(遊女)→性の開放の象徴。主人公の少女のマゾヒズム(自分に縛られている)

・修道女は「不思議の国のアリス」でいう白ウサギの役割も担っている。いわゆる案内人。マゾヒストの扉を開放する(こちらが本来の姿?)

・少女は「貴方」に愛されることが、唯一の願い

・それが叶わないことから、生まれ変わりを願い、成就を目指す。「愛されたい」ということが少女にとっての業のようなもので、何度も転生?を繰り返している

・修道女は西洋、花魁は日本。国境も人種も超え、願いに執着している?

・SMショーは「貴方」に愛されないことから行なっている「自分自身の慰め」の表現ではないか(だから全員女性)

・しかし結局願いは叶わず。自分に縛られ雁字搦め、人形のように空っぽのまま宙ぶらりんの少女(最後に吊られていたドール)


かすってもいないかもしれませんが、今思っていることを書き出してみました。半分くらいはこうだったらおもしろいな~って感じです。タイムリープもの、タイムパラドックスものの映画が好きなので…(笑)。
人種、性別、時代を超え、親子となったり、夫婦となったり、敵同士になったりしながら愛の成就のために輪廻転生を繰り返していく『クラウド・アトラス』とか、元は女性だったと語る孤児院出身の青年が、タイムトラベルを重ねて、出生の秘密にたどり着く『プリディスティネーション』とかが、なんとなく近いかなと思いました。


おそらくファーストアルバムの『IMMORTARIS』のころから、前編・後編ライブのだいたいの構想はあったんじゃないかなと思うんですよね~。あまりにも楽曲のひとつひとつが、ハマりすぎている。匠さんがsukekiyoの曲を作り始めたのは、それより5年ほど前だったはずだから、言ってしまえば構想7~8年の超大作ですよホント。
7月には前編・後編を一度に味わえる完全版公演を行なうそうなので、また観られたらいいなーと思います。



【SET LIST】
01. hemimetabolism
02.elisabeth addict
03. mama

04. latour
05. nine melted fiction
06. dunes
07. maniera
08. 304号室 舌と夜

09. focus
10. anima
11. 雨上がりの優詩
12. 鵠
13. 12時20分金輪際

14. 烏有の空

2016.04.16 gibkiy gibkiy gibkiy“1st one-man live “avantgarde barbarian””at 高円寺HIGH

2016-04-19 22:55:43 | ライブレポート

例えるならば、4人の殺し屋によるレクイエム。



ギブキー×3のワンマン観てきました~。ひと言で言うと最高でした・・・。もっと取っつきにくいかと思いきや、空気感はものすごくロックで「静」よりも「動」ですし、THEライブバンド。


ブルーのライトに照らされた薄暗いステージ。サンプリングされたkazumaさんのうめき声をSE代わりに、ふらりとメンバーが登場。定位置についたそのシルエットを観て、

うわ!殺し屋みたい!

と思った。

sakuraさんはドラムのスティック捌きが力強くキレが良くて、ナイフとか鈍器でサクッと殺しそうなイメージ。aieさんはライブ中ずっとガムを噛んでいたんですが、そうやってクチャクチャやりながらニヤッとして拳銃でパン!と一発殺りそう。kazuさんはなるべく血を流さない殺り方で、毒殺とか絞殺とかトリックめいた方法。kazumaさんはそんな3人に指令を与えるボスといったところ。

なに言ってんだ?って感じでしょうが、さらっと人を殺しそうなオーラだったんです・・・。


ライブの途中で気がついたんですが、kazumaさんは顔の左半分を黒く塗っていました。長い髪を振り乱したときにそれが見えて、うわ!怖!!と。漫画だったら絶対“その左眼を見た者は死ぬ”ってやつだわ。黒い塗料はライブが進むにつれて、kazumaさんの左手にも付着していく。

1曲目の「掌る肉」は、sakuraさんがドラムセットではなくステージ下手に座っていました。後方にいたので観えなかったのですが、タブラというインドの打楽器を叩いていた模様。叩いているところちゃんと観たかった~。ただ、民族的なポコポコした音はしっかり聴こえました。

↓このkazuさんのツイートに添えられているドラマーaie写真にタブラが写っています。


sakuraさんがドラムセットに座り、「劇中劇」へ移行するとステージが赤く染まる。ドラマティックに曲を紡いでいく4人を観て、まるで葬送曲のようだなと思いました。殺したのは張本人なのに、その死を悼んでいるような儀式っぽさがあった。

barksのインタビューで、aieさんが「kazumaさんが言っていたのは、「傷で言えば、血だらけでベトベトなものがいい」ということだったんです。その言葉で、なるほど!ってピンと来た」と語っているのですが、このインタビューを読んだとき、わたしはあまり理解ができなかったんですよね。でも、ライブを観たら、たしかに血だらけでベトベトだった。身体を後ろに反らして、両手で握ったマイクを祈るように頭上に掲げるkazumaさんは、瓶に入った血をドバドバと浴びているように見えた。


kazumaさんはパフォーマンスがダイナミックでよく動くんですが、それを間近で目にする最前列のお客さんもスゴイと思った。スタタタッとkazumaさんが目の前にやって来て、サッと目線の高さにしゃがんだと思ったら、ものすごい眼力で「▲*∞〓†%$~~~!!!!」とか叫ぶわけですよ。

たぶん新曲?だったと思うのですが、イントロ中しゃがみ込んでいたkazumaさんが歌入り前に突如スクッッ!と立ち上がったのに驚いて、思わずヒッと叫びそうになってしまった。“I love you”と繰り返す歌詞だったんですが、優しい愛というよりかはドロドロした愛のように思えてなりませんでした。「管」では、三白眼で前を見据えるkazumaさんが“呪 込めて、”と歌うので、ホントに呪い込められた感が・・・†

kazumaさんの語りから始まる「嫋嫋たる対象」や、変拍子炸裂の「箍を外す場合、穴に群れる具合」あたりだったと思うのですが、sakuraさんがハイハットにシャンシャンと鳴る鈴のようなものをつけていました。帰って調べてみたら「ジングル」というものみたい。違ったらゴメンナサイ。


「形の無い、何よりも、愛したのは、お前だけが」は、やっぱり一番好きな曲だなあと思いました。ライブで聴いたら、これは意外と明るい曲なのかもと感じたり。曲後半のだんだんと高揚していくような楽器陣の演奏が最高で、トリップできそうでした。sakuraさんのドラムもこのときが一番派手だったかも。千手観音のように両手を大きく広げつつも、キレのあるショットを繰り出すので引き込まれてしまった。ちなみにコーラスもsakuraさん。

ツアーの福岡公演時の映像がその曲です。



音源で14分もある「蟻は血が重要である」はどんなふうにプレイするんだろう?と思ったら、アドリブを挟みつつ本当に10分以上に渡る演奏でした。
音源で聴くとちょっとクドいんですが(スミマセン)、ライブで聴くと緊迫した空気感がスリリングで楽しかった。kazumaさんもブレイク~キメのときにドラムセットのほうを向いて、フロントメンバー全員がsakuraさんの元に集まるようなフォーメーションだったんですが、それがまるで一騎打ちのようで。kazumaさんは声を楽器として使っているようにも見えました。

この曲ではsakuraさんがバンマス的雰囲気なのですが、aieさんはブレイクのときに、弦をこすってノイズを出して、sakuraさんを微妙に煽っているような(笑)。反対にkazuさんはタイミングを逃さぬよう集中している感じでした。

歌モノパートに入ったときに後方のギャラリー席から黒い風船が降ってきたのには、ちょっと笑ってしまった。風船というと、どうしてもポップなイメージがあって。

自分を含めファンの年齢層が高めなので、記念に持ち帰る人は少なく、終演後フロアや出口前の通路に取り残される黒風船・・・。


でも30代後半~40代のおじさまたちが、「風船降らせましょう」なんて会話をしたんだと想像するとたまりませんね(?)


ラストは「脳内に」。じっとりとしているけれど、広がりのあるサビでふっと解放された感覚になりました。アウトロでaieさんがギターのストラップを外してエフェクターを強めにかけ、しゃがんでいたkazumaさんに手渡す場面もありました。

手拍子による無言のアンコールがかかったんですが、「本日の公演は以上をもって~」のアナウンスがあり終了。あたたかい拍手に包まれて終演。

棒立ちで観ている人も入れば、曲に合わせて体を動かしたり、手を挙げたりしている人もいるのでわりと自由な雰囲気もいいなーと思いました。また観たい。



2016.03.21 HOLLOWGRAM×STEREO.C.K Coupling Tour “HOROSCOPES 2016” at 新宿LOFT

2016-04-09 16:05:57 | ライブレポート
この日はHOLLOWGRAMとSTEREO.C.Kのカップリングツアーのファイナル公演を観てきました。





ユアナさんのお誕生日だったんですね、おめでとうございます!




■■■HOLLOWGRAM

何回か観ているのにヘンな例えですけど、絵画みたいなライブだな~と思いました。
と、このブログの下書きに書いていたのですが、この間ryoさんがgibkiy gibkiy gibkiyのツアーの感想を「呼吸する絵画のようだった」とツイートしていて、ちょっとしたシンクロにおお…となりました。

でもHOLLOWGRAMに対して個人的に思ったのは、その絵の背景を知れば(曲を聴き込めば)楽しめそうだけれど、そうでないと難解な感じがする、ということなんですよね。

ファーストミニアルバムの『Quallia』しか持っていないせいもあるのですが、セットリスト前半の流れは難しかったなあ、と。ピカソの良さがわからない、みたいな感覚。
ライブ中盤でポエトリーリーディング音源が流れ、そこからはわりとキャッチーなミドルナンバーが続き、そこでやっと「いい曲だなー」「印象的なメロディだなー」とライブに入り込んでいけた。パッと見でもとっつきやすいフェルメールっぽい。なんだそりゃ。

『Quallia』からはラストに「Don't cry for the knell」「Preasance Liddeli」の2曲が披露されました。縦ノリのアッパーチューンである「Preasance~」を、ライブ中盤の起爆剤としてではなく、シメにもってくるというのに驚いた!

激しいバンドか、聴かせるバンドかと問われたら、今のHOLLOWGRAMは前者だと思いました。ryoさんもなんだか人間らしくあった。いや元から人間なんですけど、立ち居振る舞いは優美ながら世界観にとらわれすぎていなくて、自然体で、純粋に楽しそうだった。

持っていたステッキを銃のようにかまえたり、ハンドマイクと合わせてマイクスタンドのように見せたり、時に蛇のように客席を睨んで圧倒させたりと、魔界の人!みたいに魅せるところは魅せるんですが、ふとした瞬間の雰囲気はずいぶんやわらかいというか。なんだかいろいろと、ある種の意外性を感じたステージでした。




■■■STEREO.C.K

今年初めて観るステレオさん。演奏に隙がなくてカッコ良かった。LOFT似合うな~と。
亜門さんのドラムに重みというか、パワー感がプラスされていたように感じました。上半身に筋肉がついて、少しガッチリしたようにも見えた。

瀬音さんは頻繁に人差し指を舐めてました(笑)。「生温いんだよ!」と叫んで、ステージ上手端までするするっと移動してフロアを煽っていたのも熱かったです。あと、「in secret」~「Station」の少し昭和歌謡チックなドロッとした流れが印象的でした。「Station」ではいつも瀬音さんが化粧をする女性のパフォーマンスをするのですが、この日は指でファンデーション(?)をつけるような仕草が荒々しくてトチ狂っていた!

「Fly」を披露する前には「ステレオの中で唯一、『光』のある歌詞の曲です」といった話もしていました。“嘘に傷ついた誕生日”の歌詞のところで瀬音さんがユアナさんの肩をポンポンと軽く叩いて、ユアナさんがハッ!とした顔を向けていたのがハイライト。




アンコールではHOLLOWGRAMチームも登場。ユアナさんがお誕生日ということで、イチゴののったホールケーキが運びこまれ、ryoさんの先導で「Happy Birthday to You」を合唱。
ユアナさん、歌が終わると当時に赤いロウソクをババババっと抜き去り、客席にケーキを投げ込む素振りを見せ(ひるむ上手フロア!)、そのあと顔からケーキにかぶりついてました。飛び散るイチゴと生クリーム! 口まわりにクリームがついたままドヤ顔のユアナさん…さすがです。

そして「Psychopath Circus」「残響」を、ryoさん、瀬音さんのツインボーカルで披露。コラボシングル「GLIMMERING」はボーカルチェンジで収録されているので、ツインで聴けるのはライブならではでした。
「Psychopath Circus」はryoさんが先行で歌っていて、1フレーズ歌い終えて瀬音さんにバトンタッチする際に、「Sena…!」と囁くように言っていたのが、さりげなくてカッコ良かった。大人の余裕。

「残響」で盛り上がり、終演…かと思いきや、鳴り止まないアンコール。まぶたに目玉、頬に渦巻きマークなど落書きメイクを施された一也さんが出てきて、締めの挨拶(といってもホワホワした感じ笑)をしたものの、フロアは一致団結でアンコールをかける。若干悪ノリ。
てか一也さんの声、高いんですね。落書きのようなメイクをしているから、腹話術人形みたいでした(笑)。

ここでkazuさんが長髪を手ぐしで梳かしながら登場。女子かな?

kazu:一也に締めてもらおうと思って出したのに! もうやる曲ないからさー。(止まないアンコールに対し)普段そんなことしないじゃん(笑)!

でも、結局フロアの声が勝って、ほかのメンバーも登場。亜門さんが黒いタンクトップ姿で出てきて、アイドルばりに歓声を受けてました。
もう1曲だけ演ってくれることになり、沸き立つフロアに向けてryoさんが一言。

ryo:きみたち、っょぃ!(一同爆笑)


披露されたのは、この日3回めとなる「残響」。たしか攸紀さんもボーカルをとっていたかな?
最後にryoさんが「HOROSCOPESでした!」と、ひとつのバンドだと言わんばかりの粋な挨拶をして幕を閉じました。




このツアーでリリースされた2バンドのコラボシングル「GLIMMERING」も購入して聴いたのですが、瀬音さんの歌うHOLLOWGRAMの「Don't cry for the knell」が良かった。あーそうだ、こういうシャウトなしのキレイな曲、得意でしたよね!!!みたいな。
“何気ない仕草で~”の力を抜いた自然体な歌いまわしとか、少しトラちゃん時代を彷彿とさせるんですよ。Sel'mのバラード「オリエンタルリリー」がすごく好きだったんですけど、それに近い印象でした。

これを聴いて、それまで思っていたモヤッと感が晴れた部分もあった。完全に個人の感覚ですが、瀬音さんって、闇か光かで言うと、光の人だと思うんですよね。繊細なところもあって、一見闇っぽいんだけど、陽のオーラをもっているというか。
STEREO.C.Kの瀬音にもようやく慣れてきたけれど、こういう優しい曲を歌うのも似合うんだよなぁ~とハッとさせられました。


ryoさんの歌うSTEREO.C.K「Psychopath Circus」はTHE妖艶。かつコーラスでアレンジも加えられていて、曲をモノにしている印象でした。“メリーゴーランド”というワードをここまで妖艶に歌えるのはryoさんだからこそだろう…。