in a schale

シャーレにとじ込めたありふれた日常。

2015.04.11 DIR EN GREY“THE UNSTOPPABLE LIFE” at 前橋市民文化会館

2015-04-12 16:20:26 | ライブレポート




初めて来ました、前橋市民文化会館。階段の踊り場などにステンドグラスがはまっていて、ほんのりクラシカルでした。この日の先行物販は15:00からだったんですが、15:40くらいに覗いてみたらすでに限定Tシャツ、通常Tシャツともにソールドアウトしてました(!)

ツアートラックは正面口ではなく搬入口のほうに停まっており、気がついた人はあまりいなかったかもしれません。わたしもたまたま、ごはん屋さん方面へ行く途中に見つけたという。



ロビーで入場案内をしていたスタッフさんが「ディル アンド グレイまもなく開演します! チケットをお持ちの方は~」と案内していて、ファンの笑いを誘っていました。途中で気がついて「DIR EN GREY」と言い直していましたが、まだまだ一般層には知られていないのか(笑)。

以下、演出ネタバレ等ありますのでご注意を。








ステージはトラスが組まれたシンプルなセット。青いスポットライトに照らされていました。座席は人の頭がかぶらないくらい傾斜がつけられていて、見やすかったです。

18:05ごろ暗転。初めて聴く厳かなSE(今回のツアーから?)とともに楽器陣が登場。

「咀嚼」のイントロが演奏される中、京さんが登場。軽い素材の黒い羽織に、同じく黒いサルエルパンツ(?)でした。帽子はなしで髪色は白金に見えました。遠目からではピンク色は確認できず。

そして歌い出してびっくり。風邪なのか花粉症なのか酷使しすぎなのかは謎ですが、かなり喉の状態が悪い。歌に関しては、これまでのライブでワーストに入るかも…。最初の音は出るものの、次の音がかすれてしまってなかなか声にならない。もちろん高音が出るはずもなく、苦しそうに地声でなんとか通す。「咀嚼」だけで二度ほど給水。ラストまで持つのか?と観ているほうが不安になるほどで、好調のときを100%とすると、30~40%ぐらいというところでしょうか。

「咀嚼」、そして2曲めの「Un deux」は白基調のライティングで映像なし。
「Cause of fickleness」で、70'sアメリカっぽいネオンランプの映像+赤い照明。京さんはお立ち台で腰を左右にくねらせダンス。ちょっとここでほっとしたというか、会場が沸いた気がします。

赤紫色の照明で怪しげに始まったのは「鱗」。イントロからAメロに向かってなめらかに加速していくShinyaさんのドラムがカッコいい。バックには時々ぬめっとした謎の物体のCG映像が投影されました。薫さん&Dieさんの同時ギターソロはライトのみでシンプルな演出。“シャンデリア~”のサビではフロアでヘドバンが起こり、徐々にヒートアップ。

「Midwife」は赤いムービングライトが天井に放たれ、まるでそこから血が滴っているよう。京さんはシャウトのほうが声が出ているかも。Dieさんが淡々と弾く、引っ掻くようなギターフレーズがフックになっていました。

「滴る朦朧」は青とグリーンのライト2色使い。京さんは、アウトロでアドリブを入れ、INWARD SCREAMに流れ込む。真っ赤な照明に照らされながら、「聴こえるか? …聴こえるか?」とつぶやくように問いかけていました。あえてだろうと思うけれど、声がでない現状とリンクしていてドキッとした一場面。

「禍夜想」は前回のツアーでも使用されていた、黒地に色鮮やかな花々が咲く映像。それに黄色いライト→終盤ではさまざまな色に変わり極彩色なステージ。薫さんが下手端で前へ歩み出ていました。
そしてDieさんのピッキングがすごくきれいに見えた「懐春」。たしか原曲者がDieさんですよね。ブルージーなギターソロもキマっていて、そのあとの京さんのシャウトの気迫も異常でした。音源では“ああ~”とメロディをつむぐパートですが、思い切りシャウトしながら床に転がる。ギターと歌のみになるところもいい意味で緊迫。演奏が終わると同時に、マイクをゴツッとお立ち台に落としたたずむ京さん。

そのままガリッ、ガリッとお立ち台の金網にマイクヘッドを擦りつけ、苦しそうな吐息をもらす。ここで追い打ちをかけるように「輪郭」のイントロが始まります。サビがファルセットのため、「こんな喉の状態で京さんは歌えるのか?」と誰もが思ったことでしょう…。でも、それも一瞬のことで拳で観客はエールを送ります。なんだか背筋を伸ばして聴いてしまいました。サビは黄金色の照明で照らされ、フロアもこの日一番明るくなりました。青い星々が爆ぜるような映像も投影され、Dieさんが空を仰ぎながら力強いカッティングを響かせる。

“MINERVA”とつぶやく部分も本当に声が痛々しいほどにかすれかすれ。自分の胸を叩く京さん。その直後にシャウトし、自分の頭を悔しげに叩き、金色のライトが当たった瞬間ーーいつもは「降りてきた」というように感じるのですが、この日はなにかを「呼んだ」ように見えました。切羽詰まっているけれど、なんとかしたい、伝えたいという想いがすごい。俺に力を貸してくれと言わんばかりの姿で、なんだかグッときました。

ドク、ドク、という心音のようなSEが鳴るなか、Toshiyaさんが腕を広げたり胸を叩いたりして会場を煽る。「Phenomenon」では地を這うようなベースを響かせます。薫さんのメインフレーズは少したどたどしかったです。運指がややこしいのかも。対するDieさんのギターはエフェクトがかかっているのもあって音源に忠実な感じでした。青基調のライティングで、映像はモノクロの近代的な建物と階段がメイン。音源だと無機質さが際立つ曲ですが、ライブだとまた違って聴こえました。

「Behind a vacant image」では上手、下手それぞれの壁にオーロラ色の模様が浮かびあがり、天井は水面がゆらめいているような色合いに。序盤とくらべると、京さんはだいぶ声は出るのようになってきたものの、やはりつらそうでした。

「いけるか! いけるか!?」という煽りから「Chain repulsion」へ。観客一丸となって拳を突き上げる。トンネルを走り抜ける映像、馬と人の影絵、あと電車も映し出されていたように思います。書き出してみるとカオス…。薫さんとDieさんはそれぞれ、下手、上手の花道へ。Toshiyaさんも上手へ移動。

「The Inferno」は直訳すると「地獄」ですが、映像は雲に覆われた青みがかった退廃的な城?都市?でした。ここでも京さんが「いけるか?」と煽る。弦楽器陣が参加うする終盤の野太いコーラス部分はやはり盛り上がりますね。

Toshiyaさんがベースを持ち替えたので、次はなんだろう?と思ったら、アンコールで披露かなとふんでいた「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」がここできました。Dieさんが下手の花道へ向かい、薫さんとToshiyaさんは向き合って弾き、熱を撒き散らし本編終了。



アンコールはDieさんにスポットライトが当たり、懐かしいリフが! と言ってもわたしは途中までわからず、“ゆらゆらゆらゆら~”の歌詞で「腐海」だ!と気づいたクチなんですけどね。歌メロ、歌詞は「かすみ」カップリングのオリジナルバージョンでした。とはいえ、やはりキツそうな歌い方だったので、ほかの会場で万全な状態で披露されるとを祈ります。演出は緑色の照明。

Toshiyaさんがマイクスタンドを目の前に配置し、「RED SOIL」。京さんは胸を叩いて煽る。
「もっとお前らの声聴かせてくれ!」と叫んだ「SUSTAIN THE UNTRUTH」で、京さんはずっと着ていた羽織を脱ぎ上半身裸に。そして、上手、下手、それぞれの花道へ行き観客熱狂。「Revelation of mankind」は無修正MVが映し出されました。まばゆい白のストロボがたかれ、会場のテンションが上がる。声が出ない京さんをフォローするようにファンの合唱が響きます。

「生きてるか? 生きてんのか? お前! 後ろ! 生きてるか! そこ!そこ! 生きてるか!? (センターを指さし)あ゛あ゛~! 男!男!男!男―! …女!女ー!」

「今日ちょっと俺、喉死んでるけど…(バンバンと左胸を強く叩きつつ)ここは死んでねえから!」


お決まりのラスト!という煽りはなく、「…いけるか? 死ぬ気でかかってこい!!」という叫びから「羅刹国」になだれ込む。曲中も「かかってこい!」と叫ぶ京さん。私たち観客サイドも無我夢中だったと思います。歌い終えた京さんは床にごろりと転がるようにして倒れる。
でもすぐに起き上がり、お立ち台の上で左胸を叩いたり、何度か頭上で大きく拍手をしたり。そして深々と礼を二度ほどしてステージを去っていきました。

ほかのメンバーはピックやタオルを投げていたのですが、薫さんが上手花道のほうへ走っていって、壁の影に一度隠れてからひょこっと姿を現してピック投げしていたのが微笑ましかったです。


ボロボロではあったけれど、やれるところまでやりきるという精神が見えたライブではありました。数年前だったら京さんはあからさまに自分に怒りをぶつけて、ステージ上のメンバーも観客もピリピリして悪循環になっていたと思うんです。でも、今日の楽器陣は動揺せず、いつも通りのライブをしよう、パフォーマンスでフォローしよう、というように見えました。京さん自身も、ごめんとは言わずとも、自分の喉の状態のことを直接ファンに伝えるという行動に出ていて本当に驚きました。それによって、観客もほっとしたのは確かですし、言葉は悪いですが、100%本領発揮できなかったDIR EN GREYを許すことができた。

こういうのを丸くなったというのかもしれないけれど、ある意味強い信頼関係が築けている証でもあるのかなと思いました。翌週の仙台公演では完全復活していることを祈ります。





【SET LIST】
SE.
01.咀嚼
02.Un duex
03.Cause of fickleness

04.鱗
05.Midwife
06.滴る朦朧

INWARD SCREAM

07.禍夜想
08.懐春
09.輪郭

10.Phenomenon
11.Behind a vacant image
12.Chain repulsion
13.The Inferno
14.激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇

ーENー
15.腐海
16.RED SOIL
17.SUSTAIN THE UNTRUTH
18.Revelation of mankind
19.羅刹国(2011Ver.)

2015.04.05 amber gris × HOLLOWGRAM“This resplendent” at 浦和ナルシス

2015-04-06 05:50:00 | ライブレポート
ちょうど開演間際に雨がポツリポツリと降り出しました。会場はソールドアウトでフロアは後ろまで人、人、人! メンバーの顔が人の隙間からちょこちょこ見えるっていう感じでした。

いつのまにかドリンクカウンターがプチリノベーションされていて、受け取り口が縦に3倍ほど拡張されてました。これでスタッフさんの顔が見えるように。以前は、どうぞ~とスタッフさんの腕がニョキッと伸びてきてドリンクを受け取るという感じだったので、かなり印象良くなりましたね(笑)。


■■■HOLLOWGRAM

先攻はHOLLOWGRAM。個人的には半年くらいぶりかも。これだけ期間が空いたから当たり前かもしれませんが、曲が増えてる!っていうのが第一の感想。『Qualia』の流通盤は試聴だけでスルーしてしまったので、オリジナル盤収録曲しかあまりわからずで。

ライブは穏やかに「シルエット」からスタート。少しくぐもって聴こえるナルシスですが、ryoさんの声はよく通ってやはり格別だなと思いました。浄化される感じがします。バンド全体としては音源の再現率が高い。正確さと臨場感が合わさって、耳だけでも楽しめるライブでした。ライブアルバムとか向いてそうだなと。

3曲ほど演奏したところで、ギタートラブルが起こり、イベントタイトルについてMC。

「解散のことを知らずにamber grisにオファーして。彼らからはそれならぜひ2マンでお願いしたいと言われ、そこで初めて(解散を)知らされて、おいおいおぃぃ…と(苦笑)。“The resplendent”というタイトルの“resplendent”は形容詞で、『きらめく』とか『輝く』という意味。形容詞だから、後ろに名詞がきます。その単語は『情熱』でもいいし、『熱情』でもいいし。『ひきちぎった髪の毛』でもいい(一同笑)。…ダメだよ、社会問題になっちゃう(笑)。なんでもいいので『きらめく』ものを見つけて帰ってください」

「amber grisは想いを込めた曲を持ってきていると思います。僕たちも想いの染み込んだ曲を」と話し、「adolescent」へ。

たぶん英語だけどチクタク?と囁いているように聴こえる怪しげなSEを挟み、「Stand the devil's like」「Preasance Liddell」でブチ上げ。「Preasance~」は比較的ノリやすいリズムなので楽しい。

ryoさんはamber grisのことを「作り手の想いが作品から匂い立つ。芳しく香ってくる」と評していました。
ラストはゴールドの照明で彩られた「Don't cry for the knell」。ryoさんが「笑顔で!」と何度も呼びかけていたのも印象的でした。




■■■amber gris

後攻amber gris。1曲目の「different of stain」で、手鞠さんが歌いだしのタイミングを逃し少しもたるも、すぐに持ち直しました。「Fragile」「Sweet blood pool」と激しめの曲で攻めていきます。

反対に「不浄の樹の下で-Under an impure tree-」「茨の花は罪に咲く」ではしっとりと聴かせる。「茨~」はwayneさんのストロークと手鞠さんの歌のみのセクションもあり、引き込まれてしまいました。歌詞が物語調になっているんですが、身振り手振りを交えて歌う手鞠さんが本当に語り部みたいに見えたんです。“愛しておくれ。そう、僕の代わりに。”という歌詞も、解散ということをふまえて聴くと、amber grisのことを観客に託しているように感じられました。

MCでは少ししんみりしてしまったフロアを和ませるためか、過去の笑い話。

「amber grisのメンバーのうち3人は埼玉出身で、浦和といえば支配下ですよ(一同笑)! こうやって満員の会場を見ると、10代のころ出演したときにスカスカだったことを思い出すなあ。その10代のころ、浦和ナルシスで対バンイベントに出たんですけど、ヴィジュアル系らしからぬ風貌のバンドさんがいたんですね。リハの時間にふと見たら味のりを食べてて!

そのバンドさん、いろんなライブハウスのオーディシを受けて落ちまくっていたらしいんですよ。そんな中での浦和ナルシス出演だったみたい。で、『味のりいいっすね』って話しかけたら、『いります?』って言われて、このバンドすごいな!と。

しかも、ライブで包帯ぐるぐる巻きで墨汁を吐きます、って。スタッフさんには、モニターにだけはかけないでくださいって注意されてたんですけど、思いっきりここ(センターのモニター)にドバッといってて(笑)。スタッフさんにすっごい怒られてましたね。…今、元気かなあ」


このほかに、出番が終わったバンドは次のバンドとバトンタッチする際、「きょういい感じです!」「背の高い外人さんがすっごいノッてた」と、客席のノリの情報交換をしていた、という話をしていました。


この日の手鞠さんは、いつも以上にまっすぐ客席を見て力強く歌っているように見えました。ある種のがむしゃら感があったというか。
「グランギニョル」では「1人にしないでくれ、1人させないから」というつぶやきも。

本編ラスト前には5月にワンマンツアーを行ない5月27日にファイナルというお知らせ。
「変わることなく、といったら違うかもしれないけれど、大切なものを大切な人に届けるライブをしますので」といったことを話していました。そして、新曲をということで、4月15日発売シングル「小さな銀貨を左手に」の中から「Absolute being」を披露。

この「Absolute being」、バラードというわけではないんですが、なんだか切なくて泣けます。Bメロ?の駆けあがっていく歌メロが、手鞠さんの声にぴったりですごく伸びやかに響いていました。“その手は”“その目は”というような歌詞でしたね。この歌メロはサビでもアレンジ違いで使われていました。“CALLING YOU”という言葉も出てきました。
そして歌詞のラストはおそらく、“何よりも美しくあれ”。amber grisのメンバーが自分自身を奮い立たせているようにも見えました。



アンコールがかかる中、ラミさんが1人登場。幕の隙間から顔を出し「アンバーグリスは好きかー!」「ホログラムは好きか―!」「ヴィジュアル系が好きかー! 浦和ナルシスが好きか―!」と煽る。そして「坂井さーん!(ナルシス社長)」とドヤ顔(笑)。

そんなこんなで迎えたアンコールは、HOLLOWGRAMからryoさんと夢時さんも参加。


手鞠「こんな感じで3ギター、1ベース、1ミドリ(ラミさんの髪色が緑だったため)でやります(一同笑)。攸紀さんがあとで一也さんを肩車してco2のホース持ってくるかもしれませんね」
ryo「無敵みたいな(笑)?」
手鞠「そうそう(笑)。でも一也さんは天井にぶつかって頭ずるむけになってるかも」
ryo「グロい(笑)」



手鞠「これが終わったらおいしいお酒を飲んで楽しいことをするので…」
ryo「楽しいこと?」
←確信犯的発言
夢時かkaname「ダメだ(笑)」

手鞠さんがやや噛み気味で「Love in the first.」と聴こえたのですが、「H u m m i n g b a r d ' s」でした。歌いだしは手鞠さんで、“ドーナツ状の煙を吐いた。”という歌詞だったんですが、隣でryoさんが左手で煙を飛ばす動作をしていて、それがなんだか美しかった。ryoさんは途中でシャウトを入れたりして積極的に絡んでいました。

演奏後にryoさんが手鞠さんをがっしりと抱擁。手鞠さん照れつつも笑顔。そんな手鞠さんの左耳にryoさんはなにか伝えているようでした。

ryoさんは人差し指を口に当てて客席を静かにさせてから、マイクを通さずにメッセージを伝えて帰っていったのですが、なんと手鞠さんも同じ動作をして、地声で「ありがとうございました!」と(!)。

手鞠さんがこんなふうに感情的に挨拶をして去っていくのはかなりめずらしかったので、もしかしたら抱擁した際のryoさんの耳打ちはこれをお互いやろうよ、ということだったんですかね? それとも、5月に向けての激励だったのかな? その答えは吟遊詩人同士が知る、ということで。


【SET LIST】
SE.
01.different of stain
02.Fragile
03.Sweet blood pool

04.不浄の樹の下で-Under an impure tree-
05.茨の花は罪に咲く

06.hazy moon luv gaze
07.グランギニョル
08.Looking all the pain

09.Absolute being(新曲)

EN.
10.H u m m i n g b a r d ' s

2015.02.08 amber gris“ONEMAN TOUR FINAL 「fall down the moment」”at 新宿BLAZE

2015-04-05 17:25:00 | ライブレポート
ライブを観たあとに、メモをバーっと打つんですが、あとできれいにまとめて書こうと思っていると結局先延ばしにしてしまう。すると、そのとき感じた興奮や感動とかを忘れてしまうので、やっぱりひと言でも書いておくべきかも、と思う今日この頃です…。そんなわけで、amber grisが解散発表したときのことを今のうちに。



「5月27日、amber grisは解散します。場所は…赤坂BLITZ。ここで最後のお話をしましょう。amber grisは美しい死をもって完成します」

ライブ中にこんな話をしていました。

「“「fall down the moment」”というツアータイトルの通り、喜びも、悲しみも、怒りも、一瞬一瞬を大切にしようと思いながらまわってきました。それと、僕らはいわゆる「歌モノバンド」だと思われているかもしれないけれど、「熱量」を感じてもらいたいなと。暴れる曲は多くないかもしれないけれど、曲のもつ「熱量」を受け止めて、僕らへと返してほしい」

この日のライブは、事前に「発表あり」だと告知されていて、会場に集結したファンはそれぞれ、いろいろな憶測と不安を胸に抱いて見守っていたと思います。そんな中での手鞠さんのこの話はこたえた。悪い予感が的中するのではないかと。

手鞠さんは、以前からバンドの解散のことを「死」と位置づけていたなと思い出す。2014年12月に発売されたミニアルバム『Across the blow』の楽曲の歌詞には、まさに「死」を連想されるフレーズが散りばめられていて、個人的にはそれらも伏線のような気がしていました。

しかし、この日のライブ自体はすばらしく、1曲1曲丁寧に紡ぎ出されていました。仮に、突然解散発表があったとしたら、すぐには理解できなかっただろうなあと思います。事前告知という緩衝材を挟んだのは彼らなりの優しさかもしれないです。

amber grisは、ガツガツと商業的な活動を展開するバンドというよりは、自分たちの好きなことを気ままなペースで行なっていくスタンスに近いと思っていました。だからと言ったら語弊があるかもしれないけれど、細く長く続いていくものだと錯覚してところがあります。永遠などない、というのは、先に死んでいったバンドたちから嫌というほど学んできたはずなんですが。彼らはそのステージでは解散理由を語りませんでした。

手鞠さんは穏やかな表情でステージ端まで歩き、深く一礼して去って行きました。歌詞が、言葉が響いた夜で、終演後もあちこちで悲痛なすすり泣きがやみませんでした。

肯定も否定も今は止めて
穏やかな死がそっと、迎えに来る。(「The sad things」/『Across the blow』収録)




【SET LIST】
殊さんのブログに掲載されています。