北のパラダイス

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参院選の争点:総理大臣が立憲主義からの離脱を表明しても問題にならない国

2013年07月09日 | 選挙
ニュース・コメンタリー (2013年07月06日)から転載

 参議院選挙の公示を目前に控えた7月3日、9党党首による討論会が日本記者クラブで開かれた。翌日の新聞各紙やテレビのニュースでは、「アベノミクスを巡り与野党党首が論戦」などといった暢気な見出しが躍っていたが、党首討論の中で最も重要な発言に触れていたメディアはほとんど見当たらなかった。

 それは憲法の位置づけに関する安倍首相の発言だった。

 福島社民党党首から「私は憲法は国家権力を縛るものだと思っています。立憲主義です。総理はこれに同意をされますか。もし同意をされるとすれば、自民党の憲法改正案はこれに則ったものでしょうか」と問われた安倍首相は、「まず、立憲主義については、『憲法というのは権力を縛るものだ』と、確かにそういう側面があります。しかし、いわば全て権力を縛るものであるという考え方としては、王権の時代、専制主義的な政府に対する憲法という考え方であってですね、今は民主主義の国家であります。その民主主義の国家である以上ですね、同時に、権力を縛るものであると同時に国の姿についてそれを書き込んでいくものなのだろうと私達は考えております」と答えたのだ。

 これは安倍首相の元で自民党が提唱している憲法改正案が、憲法の性格そのものを過去の、そして今日の世界の民主主義国家のそれとは明らかに異なるものに変質させようとしていることを、首相自らが認めた発言だった。
 ましてや、民主主義の時代だからこそ立憲主義なのだ。王権、専政時代に政府を縛る目的で憲法が存在したというような話は、歴史上終ぞ聞いたことがない。

 日本は立憲主義から離脱しようとしている。それを内閣総理大臣自らが、公の場で明言した。しかし、この発言を問題視するメディアは一つも見当たらなかった。
 党首討論はトータルで2時間にも及ぶ。これを最初から最後まで傍聴できる人は少ない。大半の市民は、その内容をニュース報道を通じて知る。
 しかし、その肝心のメディアがこの問題を全く報じなければ、そのような発言があったことすら、ほとんどの日本人は知る機会を奪われてしまう。

 どうやら今の日本は、一国の総理が立憲主義からの離脱を表明しても、それがさして問題視されない国に成り下がってしまったようだ。あるいは、これは「アベちゃんは憲法が何たるかを理解できてないんだね」で済まされてしまっているのかもしれない。「原則論に そんなに目くじらを立てなくてもいいのではないか」と言う人もいるかもしれない。
 しかし、今、われわれがこの問題をこうして自由に告発したり批判したりできるのも、今月21日に民主的な選挙が行われるのも、いずれも今の憲法がわれわれにそれを保障しているからではないのか。
 これから衆参両院で過半数を得る可能性が高いと言われる政党の党首にして内閣総理大臣が、その憲法の性格を変えることを公言していることの意味を、そこまで軽視していて、本当に大丈夫なのか。われわれはあまりにも民主主義を舐めていないか。

 石破茂幹事長や船田元憲法改革推進本部代表代行らは、改正される憲法に政府が国民に命令するような条文や道徳的規範が書き込まれたからといって、政府がそのようなことを要求する法律を作って国民にそれを強制するつもりはないと説明し、義務規定や道徳規定への理解を求める。もしかすると石破氏や船田氏は本当にそのつもりなのかもしれない。
 しかし、憲法に義務規定が書き込まれれば、むしろ政府はその義務を果たさない人を罰する 法律を作ることが求められると考えるのが立憲主義の立場だ。憲法に書かれていることを 政府が実行しないことは憲法違反になってしまうし、そこで違憲訴訟を起こされたら勝てない。
 更に言えば、仮に石破、船田両氏はそのような良識を持ち合わせていたとしても、他の議員はどうだ。自民党の次に政権に就く政党はどうだ。政権は変わっても憲法は残る。自民党はそこまで考えた上で、今の改憲草案を推しているのか。

 総理大臣が民主憲法の性格を根本から変えることを宣言してもまったく問題にならない日本の現状を、今日のNコメではあえて問題にしたい。


【感想】

憲法は国家権力に歯止めをかけて個人の人権を保障するものです。いわゆる立憲主義です。
そして、ここでいう国家権力とは、民主主義の国であれば国民の多数派によって創り出されたものです。
したがって、国民の多数派に歯止めをかけて、少数派の人権を保障することが憲法の目的だということになります。

憲法第96条:「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」

自民党は、各議院の総議員の半数以上の賛成で憲法改正の発議を行えるように、憲法第96条を改悪しようとしています。
これは、多数派に対する歯止めのハードルを下げるものであり、明らかに立憲主義に反するものです。

しかも、96条改悪の先には、9条を改悪して国防軍を創設し徴兵制度を行使しようとしている訳ですから、明らかに個人の人権保障をないがしろにした憲法違反と言わざるを得ません。

民主主義は多数決で物事を決定するのが基本ルールですが、多数決で決められた事が全て正しいとは限りません。
今回の選挙で自民党が圧勝し、それに追従する公明党や維新の会などが合わせて過半数を占めてしまうと、多数決の論理で次々に個人の人権保障をないがしろにするような事が決められて行くでしょう。

立憲主義は、そのような国家権力による多数決の論理から国民の基本的人権を守る事ですから、その盾となる日本国憲法の改正条項に手を付け改正のハードルを下げようとすることなど、とうてい許す事はできません。

もし、96条が改悪されてしまったら、自民党の都合のいいように日本国憲法そのものが変えられてしまうでしょう。
これはまさしく、独裁国家のやる事です。

安倍氏は民主主義なんだから憲法も自由に書き変えていいんだみたいな発言をしましたが、一国の首相がこのような発言をするとは、驚き以上に鳥肌の立つような、いや、身の毛もよだつような、まさに立憲主義から離脱し独裁国家になる事を宣言したようなものです。

強い日本を取り戻す!?
いったい、いつの時代の日本を取り戻そうとしているんだろう??
国防軍を創設し、徴兵制度を行使して、いつでも他国と戦争できるようにする。
それはまさしく、明治・大正・昭和と続いた軍事独裁国家の復活!!
そして、その行きつく先は...まさに歴史は繰り返す。

そんなアホな、と平和ボケした大多数の日本人は信じようとしないだろうが、私にはそれが見える!!

そうなる前に皆さん、さっさと日本から離脱しましょうね!!
そして、みんなが安心して暮らせるような平和な立憲主義国家を作りましょうね!!