北のパラダイス

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参院選の争点:語らぬ首相

2013年07月14日 | 選挙
昨日(13日)札幌市で安倍首相が街頭演説を行いました。
15分間ほどの演説時間の大半は、経済政策「アベノミクス」のアピールに費やし、最後に教育再生問題を訴えたそうですが、肝心な憲法改正や原発再稼働、TPP交渉などの重要争点については触れずじまいだったそうです。

選挙を前にマイナス要因になる争点にはいっさい言及せず、経済回復など票の獲得に都合の良い話しか触れないというのは、選挙戦としては常套手段でしょうが、真に国民のための政治を目指しているならば、都合の悪い争点についても有権者の理解が得られるように誠意ある説明を行なうべきです。

それをしない、いや、それが出来ないということは、取り組もうとしていることが国民の利益には繋がらないことを、自分達がよく理解しているからではないでしょうか。

今朝の北海道新聞に-「縮小社会」という別の道-という論説が載っていました。
「私たちが進めている道は間違っていないんです。この道しかないんです、皆さん」という安倍首相の一言に対して疑問を呈する論説です。

安倍首相が示す「この道」とは、金融緩和・財政出動・成長戦略の「三本の矢」が示す経済成長をひた走る道です。
日本がかつて1960年代から1980年代にただひたすら走り続け、最後はバブル崩壊を招いた高度経済成長路線の復活です。

私と安倍首相が10代から30代に経験した高度経済成長は、それなりに必然的な理由がありました。
第二次世界大戦で敗戦国となり連合国に無条件降伏した日本は、焼け野原の何もない状態から復興・再建を目指しました。
まさに、日本中が一丸となり豊かになるために突き進んだ時代です。

それを牽引して行ったのは、戦後間もなく誕生した団塊の世代(昭和21年~昭和27年)と言われる人達でした。
高度成長時代は、団塊の世代が社会人として第一線で活躍していた時代とぴったりと符合します。
バブルがはじけた1990年は団塊の世代が40歳前後にさしかかった頃で、ちょうど管理職になる年代で現場の一線から離れ始めた頃でした。

それまでの30年間は現場の第一線で働く沢山のハングリーな団塊の世代が猛烈に働いて日本経済を盛り立てていましたが、バブル崩壊後は我々やその下の年代のわりと豊かさを実感し始めた世代が低成長時代の第一線で働いた時代です。

失われた20年間と言われたバブル崩壊後の日本、確かに高度成長時代のような華やかさはありませんでしたが、少なくても物の豊かさは実感できた時代で、言葉を換えれば「成熟期に入った日本」を私は感じていました。

この「成熟期」は、団塊の世代の40歳前後から60歳前後の時代と符合します。
私は戦後日本の政治・経済・文化・教育・福祉などを形作って来たのは、結局、団塊の世代だったことをかなり以前から実感していますが、現在、60歳を超えた団塊の世代が形作るのはいったい何なのか?ということを考えて政策に反映する必要があると思います。

これからの日本は超高齢社会に移行し、後15年もすれば団塊の世代が全員75歳以上となる老人大国となります。
当然のことながら日本の総人口も減り続けます。
先ほどの「縮小社会」がまさに現実のもとなります。

2008年に京都を拠点とした「縮小社会研究会」という集まりが発足したそうです。
研究会は「原発も経済成長もいらない幸福な社会」を目指しているそうです。
「脱原発は縮小社会の入り口であり再生可能エネルギー利用に可能性を見出す」
「エネルギー消費の拡大と歯止めなき成長からの縮小を図る」

「縮小社会研究会」の考え方は、団塊の世代が高齢世代に移行し、日本全体も人口減少に入った現代にピタリと符合します。
まさに歴史の必然と言っても過言ではありません。

しかし、歴史の必然とも言える「縮小社会への移行」とアベノミクスは符合しません。
逆行していると言っても良いでしょう。
アベノミクスも短期の(見かけの)経済成長にはいくらか寄与するかもしれませんが、それは所詮、「砂上の輪郭」「蜃気楼」「裸の王様」であり、実体の伴わない「絵空事」「架空の世界」「マネーゲーム」だと私は思います。

何度も述べましたが、私と安倍さんは同じ時代を生きて来た人間ですが、こうまで考え方が違うものかと驚きを隠せません。
叶うものなら直接お会いしていろいろ聞いてみたいものです。
真意は何処にあるのか?
この国をどのようにしたいと思っているのか?

無理を通せば道理が引っ込む。
これからの日本は老人が増えて、働き手となる若年層がどんどん減っていく時代です。
沢山の老人を養い面倒見て行くために、「僕達、私達はもっともっと働けと言うんですか?」と言う若い人達の声が聞こえて来ます。

まずは、大企業の内部保留金を若い人たちの賃金アップに回そうじゃありませんか、安倍さん。