北のパラダイス

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TPP交渉マレーシア会合閉幕

2013年07月26日 | TPP問題
【TPP関税分野 進展せず 首席交渉官「端緒についた程度」(07/26 10:17)】

 環太平洋連携協定(TPP)交渉の最大の焦点で、農産品や工業製品などの関税撤廃を議論する市場アクセス分野の交渉はほとんど進展していないことが25日、交渉筋の話で分かった。協定案やそれまでの交渉内容を数百ページにまとめた「テキスト」と呼ばれる文書は、関税品目の定義など基本的確認事項に多くの紙幅を割いており、交渉21分野のうち、関税分野の記述は最も少ない数ページにとどまっているもようだ。

 交渉筋によると、同日閉幕したマレーシア会合まで18回の交渉会合を重ねてきても、関税分野はまだ交渉の進め方すら合意できておらず、具体的協議に入っていない。鶴岡公二首席交渉官は会合後の記者会見で「2国間ないし多国間でどう交渉していくかを含めて、ようやく端緒についた程度だ」と述べた。

<北海道新聞7月26日朝刊掲載【コタキナバル舟崎雅人】>


【TPP、年内妥結を目指す…米・ベトナム首脳】

 オバマ米大統領は25日、ホワイトハウスでベトナムのチュオン・タン・サン国家主席(大統領)と会談した。

 両首脳は、両国や日本などが参加する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉について、年内妥結を目指す方針を改めて確認した。

 会談後の共同記者会見でオバマ大統領は「我々は、年内妥結という野心的な目標に向け全力を尽くす。TPPはアジア太平洋地域や両国に雇用を創出し、投資を増やす」と語った。サン主席も「年内妥結」に意欲を示した。

 両首脳はベトナムと中国の領有権争いが続く南シナ海問題についても協議し、国際法に基づいて平和的に解決する必要性を確認した。

<読売新聞2013年7月26日10時56分【ワシントン=白川義和】>


【感想】

25日に閉幕したTPP交渉マレーシア会合で日本は2日半しか参加できませんでしたが、それでも少し交渉内容と今後の方向性が見えたようです。

北海道新聞の記事によると、農産品や工業製品などの関税撤廃を議論する市場アクセス分野の交渉はほとんど進展していないことが判り、このまま行くと年内妥結は難しそうだという観測が流れているようです。

そういうこともあってか、読売新聞の記事にもあるように、アメリカのオバマ大統領は「我々は、年内妥結という野心的な目標に向け全力を尽くす。TPPはアジア太平洋地域や両国に雇用を創出し、投資を増やす」と語り、ベトナムのサン主席も「年内妥結」に意欲を示しました。

TPP交渉の早期妥結を図り環太平洋地域経済のみならず、東アジア経済、ひいては世界経済を牛耳ろうと目論むアメリカは、TPP参加国の同意を得るために躍起になっています。

日本のメディアも、読売新聞などの推進派と北海道新聞などの反対派が、それぞれ異なる論調で報道しているため、主要メディアの報道にばかり目を向けていると、TPPがあたかも年内に妥結するような錯覚に囚われてしまうので注意が必要です。

北海道新聞の記事にもあるように、鶴岡公二首席交渉官は会合後の記者会見で「2国間ないし多国間でどう交渉していくかを含めてようやく端緒についた程度だ」と述べた、というのが真実だと思います。

TPP交渉が妥結すると、アメリカと日本を中心に世界の約4割の貿易量がTPPに取り込まれると見られていますが、これに対してはヨーロッパや中国が警戒心を高めていて、TPP交渉加盟国とのEPAやFTAなどの交渉を加速度的に進めるのではないか、という観測も流れています。

こうなると、TPP交渉の行くえは単に参加12カ国だけの問題ではなく、ヨーロッパや中国を巻き込んだ世界規模の問題として、今後ますます混迷の度合いを深めて行くことになると思います。

かつてのガット交渉が長い年月かかって結局上手くまとまらなかったように、TPP交渉も同じような轍を踏むのではないかという気がします。

どうしてそうなるのか?
結局は市場原理優先の覇権争いなので、どこかが良ければ、どこかが悪くなるからです。

日本には「三方良し」(「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」)という素晴らしい商法がありますが、TPP交渉にそういう考え方は存在しないんでしょうね。

売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのが良い商売である、という近江商人の精神を日本はTPP交渉の中で活かすべきです。