「敵」 を見た感想です。
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監督 吉田大
出演 長塚京三 瀧内公美 河合優実 黒沢あすか
中島歩 カトウシンスケ 高畑遊 二瓶鮫一
高橋洋 唯野未歩子 戸田昌宏 松永大輔
松尾諭 松尾貴史
ストーリー
大学教授の職を辞めて10 年、77歳の渡辺儀助。
妻に先立たれた彼は、独りで祖父の代から続く古い日本家屋に住み、丁寧で規則正しい毎日を送っていた。
料理は自分で作り、晩酌を楽しみ、気の置けない友人と酒を楽しんだり、かつての教え子である鷹司靖子に淡い恋愛感情を抱いてみたりしながらも、預貯金があと何年もつかを冷静に計算して、来るべき日に備えて心穏やかに日々を過ごしていた。
しかし、もうやり残したことはないと遺言書を書いたある日、パソコンの画面に“敵がやって来る”と不穏なメッセージが表示された。
これを境に、平和な老後が一変してしまう儀助だったが…。
寸評
後期高齢者となった私には身につまされる話だし、自分に重なる部分も多くあってエピソードごとに頷きながら見ていた。
若い女性と妄想の世界で結ばれようとするところなどは笑ってしまう。
おまけに下着まで汚しているのだから、歳を取っても男ってバカだなあと思う。
しかし時折若い頃に憧れた女性と夢で結ばれることは有ってもおかしくはない。
妻に先立たれて一人になれば、たぶん渡辺儀助さんと同じような生活になるのだろうなと思う。
食事を作り、洗濯をし、掃除をする日常生活だろう。
パソコンに向かって何か記述している姿も想像できる。
友人とたまに飲む機会も持つだろうなとも思う。
若い女性の教え子が訪ねてくるのは羨ましい限りであった。
敵はゆっくりやって来ない、突然やってくると述べているが、果たしてそうだろうか。
僕にとっての第一の敵は「老い」という敵である。
これは、ゆっくり、ゆっくりと気付かれぬようにやってくる。
そして「死」という敵が突如やってくるのだろう。
平凡な日常が、妄想と夢の世界に入っていくところは原作者・筒井康隆の映像化を感じさせた。
食事のシーンが多いのだが、渡辺儀助さんの作る料理がやけに美味しそうに思えた。