コロナが落ち着いているので映画館へ久しぶりに行った。
何か月ぶりだろう。
最下位としては肩の凝らない作品がいいだろうと「そして、バトンは渡された」を近くにショッピングモールにあるシネコンの12:30の回に行く。
「そして、バトンは渡された」
監督 前田哲
出演 永野芽郁 田中圭 石原さとみ 岡田健史
大森南朋 市村正親 稲垣来泉 朝比奈彩
安藤裕子 戸田菜穂 木野花 萩原みのり
ストーリー
泣き虫の小学生みぃたん(稲垣来泉)は実の父親の水戸(大森南朋)が仕事でブラジルに旅立ってしまい、義理の母・梨花(石原さとみ)と日本で2人暮らし。
美しくて自由奔放な梨花だったが、みぃたんには深い愛情を注いでいた。
梨花はみぃたんに精一杯の愛情を注ぎ生活していたが、ある日突然、娘を残して姿を消してしまう。
一方、料理上手な義理の父・森宮さん(田中圭)と2人暮らしをしている高校生の優子(永野芽郁)。
彼女は将来や恋、友だち関係などに悩みながらも一生懸命生きていた。
複雑な生い立ちもあまり気にすることなく、今は卒業式に向けピアノを猛特訓中だった。
ピアノを通じて早瀬君(岡田健史)と知り合うが、早瀬君はピアニストを夢見ていた母親(戸田菜穂)に反発していた。
やがて心を通わせ合う優子と早瀬君だったが・・・
寸評
本当の家族とは愛情に満ち溢れた人たちの結びつきであって、けっして血のつながりで結ばれているものではないと再認識させてくれるホッコリした作品である。
みぃたんは実の母親に死なれて義理の母親と暮していたが、父親とも別れることになって義母に連れられて何人もの父親と暮すことになる。
内容的には辛い話の筈だが、登場人物が皆ポジティブな人たちで、幼いみぃたんも明るく生きているので微笑ましく見ることができるが、そのような作風の為に僕は少々手抜きを感じた。
梨花の登場シーンは、同窓会の会場に現れて男性に囲まれている女性の背後に近付きわざとファスナーを下ろしたと思いきや「背中のファスナー、開いてるわよ」と親切心を装って声をかける場面である、
したたかでずる賢い女性という印象である。
水戸さんと結婚したり、泉ヶ原さんと結婚したリするのは、彼女のしたたかさとも言えるが、ファスナーを下ろしたようなずる賢い面は見えない。
梨花には嫌味な女を感じず、梨花はみぃたんを必死で育てるいい女になってしまっている。
梨花の生きざまとして、そうせざるを得なかった訳が明かされるが、それならもう少し嫌われる女として描かれても良かったような気がする。
石原さとみのキャラはそれを許さなかったとは思うけど・・・。
優子は父親を森宮さんと呼んでいるから実の親子ではないことがすぐわかる。
妻の連れ子で、妻に逃げられたらしい雰囲気でスタートする。
血のつながらない優子を過保護的に育てる田中圭は適役である。
優子は学校ではイジメにあっていて、彼女の言によれば「誰もやりたがらない町内会長を無理やり引き受けさせられた感じ」ということで卒業式でのピアノ演奏を押し付けられている。
嫌がらせを行っていた女生徒が優子の境遇を知って、突如友人に早変わりしてしまう。
彼女たちの関係はそんなに単純なものだったのかと違和感を持った。
父親の作るキャラ弁に辞めてくれるように頼んでいるので、多分学校ではそのキャラ弁をからかわれていたっと思うのだが、それでも父親の弁当を受け入れる心情もよく分からなかった。
同性として嫌われているような優子だが、男性にはモテていたのかもしれない。
野球部の男子と早瀬君との三角関係を期待したけれど、優子の男子生徒との関係は早瀬君い集約されている。
途中で時空を超えて描かれていることに気付かされ、原作を読んでいない僕はそこで初めてバトンの意味が分かった。
鈍感なことである。
回りから攻め落とそうとして親探しを始めた優子と早瀬君だったが、探した親は同意を得るためにどのような役割を果たしたのだろう。
もっと突っ込んで描いて欲しいことは色々あったのだが、最後はホッとして映画館を出ることができたのでハッピーな気分だけは与えてくれた。
母一人、子一人で育った僕には羨ましく思えた家族を描いた映画であった。