こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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緊急当番をどうするか。

2010-03-02 23:31:46 | 訪問看護、緩和ケア
どこの訪問看護ステーションでも、頭が痛いのが緊急当番です。
24時間連絡対応、やりたいけれど電話を持つ人が現れないステーションもあります。
管理者一人で緊急電話を持っているところもあります。
うちみたいに、常勤だけで持っているところもありますが・・・

でも、さすがに月の半分を緊急電話当番で拘束されるのは限界にきました。
ここ数年は、ターミナルや重症度の高い患者さんが急増したこともあり、緊急電話の回数はかなり増え、緊急出動やエンゼルケアのための出動もかなり多いのが現状です。

そこで、今回非常勤のスタッフにも、相談してみました。

当初話は錯綜し、ちょっと険悪なムードにもなりかけましたが、そこはうちのスタッフ。
出来る限りの協力をしてもらえる事になりました。

みんなで話し合った結果、緊急1番が常勤、2番が非常勤で回すことに・・・

今日も、実際どうするのかとか、これからのステーションの方向性とかを、腹を割って話し合うことが出来て、なんだか明るい未来が見えてきました。

そのため、これから初めて緊急電話を持つスタッフが、安心して持てるようにいろいろと調整しなければなりません。

実際、緊急電話が鳴らないような、また出動しなくて済むような患者さんへのアプローチを普段からしておくことが一番大事になってきます。
スタッフ一人ひとりが、意識的に患者さんの不安を軽減したり、レスキューの確認をしたり、ある程度の解決が御家族でもできるような指導をしておく事が大切だと再確認しました。

これは大至急訪問したほうがよいのか、様子を見ていいケースなのか?
救急要請するべきなのか、緊急訪問で間に合うのか?
急変時の対応方法は?
普段から患者さんと担当がよく話し合い、緊急カードに新しい情報をきちんと更新する。
そういう積み重ねが、お互いの負担を軽くするのだと思います。

またターミナルの方で、まだレスキューの指示が出ていないうちに、痛みや呼吸困難などが出る事があります。

こういう場合は、患者さんの持っている薬で、とりあえずしのぐことができる事もあります。
たとえば、レスキューが無くても、定時薬でコンチンやピーガードなどの麻薬のお薬を飲んでいれば、現在飲んでいる内服のミリ数も確認して主治医に相談をすると、定時薬から換算してレスキューに使うこともできます。(病院と違って、すぐにはそろわないので)
定時薬の麻薬は徐放性で、そのままだと吸収が遅いので、麻薬換算してたとえば半分量とか
3分の一量とかを潰して飲んで頂くとか。

今日も、初回訪問で伺った患者さんが、水を誤嚥していて呼吸困難の状態でした。
癌により左肺はエアが入らない状態での誤飲は、窒息状態に等しく、SPO2も70%前後でした。
頚動脈は怒脹し、血圧も70代と危険な状態でしたが、体位ドレナージを行いながら、軽く呼吸の補助を行いました。O2はMAXまで増量。
頂いているレスキューを確認したら、鎮静剤と抗痙攣剤の座薬はあるものの、呼吸苦にはオプソの処方でした。
でも、今誤飲して苦しんでいる方にオプソを飲ませるのは無理。
電話でI先生に報告をしたら、オプソ5mg注腸して下さい。とのこと。
そうか、その手があったかと、ピストンで5mg(2.5cc)を吸って、直腸から注入しました。
エア入りのある方の肺を上に、不規則な呼吸に合わせて補助をしていると、かなりの痰が出ました。
やがて、呼吸回数も落ち着き、肺にエアが入るようになると、SPO2も90パーセントまで回復。患者さんは眠りに入っていました。
夕方、スタッフが訪問すると、そのまま落ち着いた状態で眠られていたとのこと。
その間に、レスキューのアンペック坐も出していただけたので、今回は切り抜ける事が出来ました。
とはいえ、避ける事の出来ないお別れは、すぐそこまでやってきていることに変わりはないのですが・・・。

在宅には在宅の裏技を使いつつ、少しでも苦痛のないようにしてあげたい。
(うちにステーションではターミナルのかたの80%は、ご自宅でのお看取りなので)

こんな指示をくれる先生ばかりではないと思いますが、出来る限り考えて、臨機応変に対応することは、実際やってみて体得していくものなのだと思います。

うちのスタッフは、みんな患者さんへの情熱もあついし、いい仕事ができるので、きっとこれから緊急対応でも活躍してくれると思います。