こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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トイレにいきたい。

2010-03-19 23:58:25 | 訪問看護、緩和ケア
どんな病気になっても、どうしても自分でしたい事。
それはトイレじゃないかと・・

尿に関しては、それでもまだ妥協できるかもしれませんが、便はトイレでしたいですよね。

第一、寝ていて「う○こ」は出るものじゃないでしょう?

重力に逆らって排せつをするのは、辛いですね。

排尿だって、なかなか出ません。
昔、「おむつで寝ておしっこをする」という体験をしてみましたが、やはり出ませんでした。
去年、直腸の手術をしたあとも、ベットの上で尿器を当てられましたが、どんなに頑張ってもどうしても尿器に排尿する事が出来ず、最後には導尿をお願いしました。

まして力む事もできないので、寝たままでの排便は、本当に難しいと思います。

療養中の患者さんも、認知症がすすんでいたり、寝たきりの方以外は、排せつへのこだわりはとても強いものです。

意識がはっきりしていればなおのこと、トイレには行きたい、身体は辛いで、苦しむ方がたくさんいらっしゃいますね。

以前見学した、横浜市民病院の緩和ケア病棟は、そういう思いを尊重して、室内のトイレの境をアコーデオンカーテンにしてあって、ベットごと横ずけできるようになっていました。

昔O先生も、患者さんがトイレに行く事が支えならば、ベットをトイレそばに異動させましょうと言ってましたが・・

ですから、訪問の時に衰弱が進んでいても、どうしてもトイレに行きたい人を、むりやりベット上でさせる事は極力避けています。

(人にお手伝いをゆだねられるまで、待つ事も必要なので。)

ベット上で浣腸まではしても、結局トイレ行きたい思いが強いほどうまく出ませんので、そういうときは、なるべくトイレに連れて行きます。
そしてトイレでたっぷり出たときの解放感は、何よりの薬になりますよね。

(和式トイレも、すっぽり被せて洋式トイレに簡単に変身させるものも、福祉用具で買えますから、和式の人も座ってすることができます)。

訪問看護の仕事の内容で、実は一番多いのが、排便コントロールかもしれません。
できる事なら自然に出したいし、食生活に注意したり、おなかの調子を整えるお薬を飲んだりしてもらったりしますが、病状が進み、体力が落ちてくるとそれが困難になってきます。
これって、なかなか人に言えない苦しさで、食事量の低下も、ひどい便秘のせいだったりすることがあります。

ですから、私たちもバックの底には、そっと浣腸とゴム手袋は忍ばせてあるんですよ。
いよいよ辛くなって、ヘルプが出たときには、即対応できるように。

ただし、寝たきりの年寄りや認知の方に関しては、自分で訴える事が出来ないので、必ず直腸内を確認します。

よく、初回訪問で「便は出ていますか?」と聞くと、「毎日ちょこちょこと出ています」とか、「おしりふくたびに便がついています。」という答えが返ってきます。
ほとんどの場合、直腸の中は便でパンパン、ひどい時には肛門が膨らんでいると言う事もあります。便は直腸にたまっているのに、腹圧がかれられず、上から押し出された分だけちびちびと出るのです。
そのために、いつもお尻は便が附着していたり、モゾモゾとしたり、場合によっては自分でお尻をいじって便だらけになったりするんです。

この場合は、主治医との連携がとれていれば、速やかに浣腸を使ったり摘便をしたりします。
そして、てんこ盛りの便を前に、ご家族もびっくりということで排便コントロールが始まります。
普段はきれいさっぱり、看護師さんが来た時はたっぷり排便。

それがご家族にも本人にも楽だったりします。