こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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どうどうめぐりの・・・

2010-03-26 23:59:37 | 訪問看護、緩和ケア
重度の慢性疾患で、合併症から重度の感染症に至った患者さん。
もう退院は難しいだろうと思っていましたが、無事に帰宅されることになりました。

退院は、みなさん結構突然に決まるようで、この二日で3人の患者さんの退院が決まりました。
3人とも、かなりの重症で入院されたので、今度の退院は体力的にもかなり低下している事が予測され、みんなであわてて日程調整に追われました。

療養が長くなるにつれ、いろいろな問題が噴出してきます。
患者さんを支えるためには、家族も支えなくてはなりません。
患者さんの希望に沿いながら、家族の希望もかなえることが出来れば一番いいのですが、そんなにうまくいく事ばかりではないのが在宅です。

一生懸命、添おうとすればするほど、八方ふさがりになってしまう事もありますし、私たちが考える解決策が受け入れられるとも限りません。
じゃあ、どうするか。
腹を決めるか、選択するかしかないのに、それすらできない場合はどうするのか。

『患者さんは家にいたい。好き勝手にしていたい。好き勝手にしてると死ぬかもしれない。でも死にたくない。
家族は、介護に限界。好き勝手なので腹が立つ。もうヒステリー状況。でも入院はさせたくない。でも言う事を聴けないし、我がままなので怒鳴ってしまう。あやまられるとかわいそう。家に置きたい。でも辛い。子供にまであたってしまう。でも、子供には介護する姿を見せたい。』


どうどうめぐり。

まあ、いろいろ提案しました。
小規模多機能でのお泊まりや、いろいろなかけひきの方法から、お互いがどこで譲歩できるかなどなど・・あらゆる方向から、ケアマネさんと一緒に話し合いましたが、2時間半近くかかっても、この訴えは一つも譲歩出来ることなく、どれ一つ欠けることも歩み寄る事もできないまま話を終わりにしました。

在宅療養をされているみなさんの多くが、迷いながらも選択し、一つ取ったら一つ我慢したり、ちょっと誰かに委ねたり・・
だから、やさしくなれるし、感謝もできるんですが、全部を望んで何一つ残らない状況にはまりこんでしまった場合は、さすがに言葉をなくします。

これも、本人たちが選んだ道なのだと思うと、実はそうではなく「選べないし、どれも捨てられない。」そして助けてコールを受けて話し合っても、どうどうめぐり。

結局、流れに任せるしかないのだと、こちらが腹をくくるしかないみたいです。

援助と一言でいうけれど、なんでもかんでも受け入れる事が思いに添う事でもないし、こちらの価値観があまりにかけ離れていたりすると、どうしていいのか悩んでしまいます。

よくあるケースでは、「助けて!辛い!」といいつつ、解決策などを検討すると「うるさい。ほっといて。」「何かしてくれとたのんだ覚えはない。」と返ってきたりして、要するにウンウンと聴いているだけ、それが一番満足だったりする事があります。

表面的に求めている事と、実は裏腹に求めている事が違う事あったりで、援助者のプロとして向き合っていくのは、本当に難しいなと思います。

こういう場合、病状の重さが問題ではなくて、長年の家族関係であたったり、双方のパーソナリティーから起因することもあるので、どこまで介入してもいいのかは、悩むところです。