五木寛之氏の「元気」というエッセイ本を読んだ。
五木氏は、色々な角度から元気の元となった気などの話を進め、元気の源、元気の重要性を説く。
最後には、「暗愁」という言葉をモチーフに、戦後の豊かさの中で、暗さ、悲しみ、悩み、といった人々がマイナスと思う、しかし、人間の生活にとっては重要な感情を根こそぎ無視し、葬った日本人の生き方に疑問を投げかける。それが現在の自殺大国になった遠因ではないかと。
相変わらず親鸞や道教、禅などや、私の信奉する日蓮大聖人も例に挙げたりしながら、元気と取り組む五木氏。禅宗の世界では、禅をやり過ぎると、禅病、いわゆるノイローゼの症状に悩むようになるとこの著書にあった。禅天魔とは良く言ったもので、最も精神を落ち着けようとするのに、かえって心身の状態を悪くするのではたまったものではない。
一時の、一服の清涼剤となったエッセイであった。