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ノロウイルス・緊急対策

2006-12-21 15:52:38 | 健康・病気

 ノロウイルスの性質

 ノロウイルス感染症に関する質問の書き込みがあったので、臨床検査技師として、分かる範囲でお答えします。

年末が、ノロウイルス伝播のピークになることが予想されています。

 ノロウイルスは、経口感染で、感染力が強いのと、二次感染を惹き起こして伝播が拡大します。

 そして、口から腸に達して、小腸で一気に増殖します。

 感染して発症するまでを、潜伏期間といいますが、およそ1日か2日です。

 主な症状は、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、発熱はそれほど高くないようです。

 こんな症状が2日~3日続いて、多くは後遺症もなく治っていきます。

 感染しても発病しない人もいますし、風邪のような症状で済んでしまう人もいます。

 しかし、幼児、高齢者、体力の衰えている人、免疫力の低くなった病人、病気に対する抵抗力のない人などは、重症化する危険があります。

 怖いのは、発病による脱水症状です。単に水分がなくなるだけでなく、代謝に不可欠なナトリウムやカリウムなどの電解質が、嘔吐によって摂取できなくなったり、下痢によって、吸収を阻まれて不足してくることによって、危険な状態になることです。

 「やられた」と思ったら、かかりつけの医師に電話するなり、近くの病院に電話を入れて、できるだけ早く医師の診察を受け、対症療法の、電解質の入った輸液、いわゆる点滴を受けることがいいと思います。

 また、ノロウイルスに有効な抗ウイルス剤などはありません。

 ノロウイルスによる発病かどうかは、遺伝学的な検査法で確める方法はありますが、保険の対象ではなく、自己負担でおよそ1万8千円くらいかかります。

 多くは、検査の結果がでるまでに治ってしまいます。

 感染防止の対策は?

 どこの何から感染するのか? 「牡蠣による食中毒」と教わってきましたが、毎年発生するノロウイルスによる食中毒は、牡蠣が原因と特定されたのは僅か15%くらいで、必ずしも、すべてが牡蠣や二枚貝からの感染ではありません。

 いったん伝播が拡大しますと、その感染ルートは多様化してきます。

 とくに多いのは、人から人への感染です。

 中でも多いのは、発病者が吐いた、いわゆる吐瀉物の処理が不完全で、乾燥した吐瀉物が乾燥して、ウイルスと一緒に舞い上がり、人の口に達することによる感染です。

 なにしろ吐瀉物は、十二指腸などで増殖したウイルスが、嘔吐で胃に入り込み、さらに吐き出されるから、ウイルスは、とてつもなく満載状態になっています。

 赤ちゃんの糞便やオムツの処理も同様、ウイルスの塊り、と思ってもいいほどです。

 これらは、塩素系家庭消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)の原液に15分以上浸して殺菌する必要があります。

 始末するにも、デスポザブルの手袋を使いましょう。使った手袋などは、まとめてビニール袋に入れて、焼却処分など、完全に処分しましょう。

 ドアのノブヤや取っ手などは、50~70%のプロパノールなどが有効とされています。

 生ものを調理した包丁や俎板などは、200倍に希釈した、塩素系家庭消毒液に浸け置きしたり、この液で床を拭いたり、また、糞便などは40倍希釈液に浸けてから始末します。

 生野菜は、流水で注ぎ洗いをし、食品はできるだけ、加熱処理したものをたべるよう気をつけましょう。

 こうして、他への伝播と連鎖を止めることです。 

 ウガイと手洗い励行

 外出から帰宅したら、家族と接触する前に、入念なウガイと、石鹸液などで、少なくとも3分以上は指先、手のひらや甲、手首などをこすり、蛇口の流水で、洗い流すことです。 

  電車のつり革、エスカレーターの手すり、紙幣や硬貨、この時期は、至るところにウイルスが付着していると考えた方がいいです。

 ですから、食事前には必ず、もう一度、手洗いをする習慣をつけましょう。

 このウイルスは消毒用アルコールには強い抵抗力があって、効き目はありません。

 消毒用ペーパータオルなども同様、効果はありません。

 熱湯消毒は、85℃で1分以上加熱すれば、完全に死滅します。

 症状がなくなって、完全に治ったと思っても発病して1週間や10日は、糞便にウイルスがで続けます。 

 詳しくは、市区町村の役所・役場の衛生課や、所轄の保健所に尋ねると、教えてくれます。

 健康で、元気に新しい年を迎えたいと思います。