新・臨床検査の光と影

人の命を測る臨床検査に光を!

ノロウイルス・緊急対策ー続々ー

2006-12-23 19:02:40 | 健康・病気

 ノロウイルス、何度でも罹患

 はしかや天然痘などは、一度罹患すると、体内に免疫ができて、二度と罹らない仕組みができるのですが、ノロウイルス感染症の場合はどうなのか?といった質問のメール等、いくつか寄せられていますので、お答えしてみます。

 質問の一つは、生牡蠣や二枚貝などを食べていないのに、なぜ罹るのか?

 いま、もっとも凄い勢いで感染が拡大しているのは、直接生牡蠣など二枚貝によるものではなく、患者が嘔吐した、吐瀉物の始末といいますか、処理が不完全・不適切なために、床や絨毯にへばりついた吐瀉物、これには天文学的な数のウイルスが混じっていて、これが乾燥して埃状態になって一緒に舞い上がり、それが人の口に入り、腸に行って一気に増殖し、発症します。

 吐物は、腸から胃に逆流して、吐きだされるので、大量のウイルスが付着しています。

 赤ちゃんの糞便も、病人のオムツも、ウイルスの巣である腸管を通ってくるので、吐物と同様です。

 もう一つの質問は、ノロウイルス感染症の免疫に関することです。

 充分な免疫ができるためには、抗体が作られなくてはなりません。その抗体を作るためには、充分な抗原(細菌やウイルス)が必要になります。

 ノロウイルスに感染すると、腸管内で免疫グロブリン、IgAという蛋白が作られます。

 しかし、ノロウイルス感染症は、ノロウイルスが数個か10個程度で感染し発症するといわれていますので、充分な抗体(IgA)を作るだけの抗原が不足して、抗体も僅かしか作られません。

 そのために、免疫を獲得することができないので、理論的には、何度でも罹患することになります。

 もう一つの質問はワクチンはなぜできないのか?です。

 ワクチンを大量に作るには、ノロウイルスをたくさん増殖しなくてはなりませんが、プラントで大量に増殖する方法が、残念ながら、まだ確立していないのが現状です。

 いま、この連鎖的感染を食い止めないと、大変な新年を迎えることになりそうです。

 医療関係者、とくに感染防御の専門家である、臨床検査技師の方々、現役であろうとOB・OGであろうと、あらゆる方法・手段を駆使して、感染防御の啓発に努めて頂きたいと思います。

 


ノロウイルス・緊急対策ー続ー

2006-12-23 09:20:49 | 健康・病気

 朝日新聞社説でも

 21日にアップしました、ノロウイルスの件について、次亜塩素酸ナトリウムの扱いで、注意を喚起したいことがあって、補追します。

 次亜塩素酸ナトリウムと、酸性の洗剤などを、併用したり、うっかり混ぜ合わせたりすると、有毒なガスが発生して危険ですので、浴室やトイレの消毒や掃除に気をつけてください。

 とくに塩酸やお酢などの混用で死亡事故も起こっています。

 翌日(22日付)の朝日新聞社説、“ノロウイルス「感染力の強さに警戒を」”をご覧ください。

 ほとんど同様な記事になっていますので、ちょいとビックリしました。