「後期高齢者医療制度」のからくり(5)
命の叫びを聞け!
東大名誉教授・多田富雄先生は、突然の脳卒中に襲われ、以来、リハビリテーションの甲斐あって、辛うじて人差し指1本でパソコンのキーを押しながら、発信するまでになり、その一つ一つが、命の叫びに聞こえます。
政人(まつりびと)いざ事問わん 老人(おいびと)われ 生き抜く道の ありやなしやと 鶴見和子氏(前上智大学名誉教授)
鶴見先生と親しかった多田先生が、[世界 12月号 岩波書店]の冒頭で紹介した、鶴見先生の短歌です。
11年前に脳梗塞で倒れられ、懸命なリハビリテーションに励みましたが、老健法の改悪によって、180日で打ち切られた、そのときの短歌です。
老健法によって180日でリハビリテーションを打ち切られた鶴見先生と同じ境遇に遭った多田先生、非情にも、75歳になられた、その時に待っていたのが、「老健法」から「後期高齢者医療制度」でした。
12月4日、NHK放映「脳梗塞からの“再生”免疫学者 多田富雄の闘い」をご覧になった方も多いと思いますが、化石にとっても、東大在任中に講演のお願いなどもあって、2度お邪魔した思い出とともに懐かしく視聴しました。
さすがに、病後の先生は痛々しくもうつりましたが、役人の腐敗や、政治家の老人イジメには、毅然とした態度で批判される先生をみて、立派な態度に敬服しました。
冒頭で多田先生が紹介した短歌、「鶴見先生は、直接的には癌が原因で亡くなられたのだが、リハビリ制限が死を早めたことは間違いない」ときっぱり言い放っておられました。