JTDの小窓

川崎市幸区下平間の鍼灸・手技療法『潤天堂』院長のあれこれなつぶやき

皮膚は「心」を持っていた

2017-08-21 | 書籍
皮膚は「心」を持っていた!という本を読みました。
著者は、6月の全日本鍼灸学会のシンポジウム3「日本鍼灸の特徴である〝触れる〟を科学する」のシンポジストのお一人であった桜美林大学リベラルアーツ学群教授の山口創先生。

マッサージや鍼施術の際患者さんの皮膚に触れることは、皮膚にある4つの触覚受容器の他に、感情と深い関わりのある「C触覚線維」を刺激する。
効果的な触れ方をすることによって、より患者さんのストレスの軽減につながる。
また、「絆ホルモン」とも言われるオキシトシンの分泌を促すとも言われている。これは、「施術される側」だけでなく「する側」にもオキシトシンが出る。相手に対する思いやりや敬意、よくなってほしいという慈愛の気持ちが施術者の心身も共振する。

スタッフを増やし、自分は(経営者として専念し)施術者という立場から一線を引くを方もいらっしゃいますが、自分的には可能な限り「一施術家」としてあり続けたいと思うのは、そういう理由からもあるんだなぁと納得。

最後のページにある一文がまさにそうだと感じました。

「慈愛の心で相手に触れると自分自身も癒されるため、究極は、悩みさえもなくなってしまう。他者の皮膚と自分の皮膚が接触することで、自他の境界を出入りするようになる。これは社会的な自己と呼ばれる自己を身体レベルで呼び覚ますことにつながる。そしてそれは、他者との関係において自分の存在価値を見直すことにもつながるのである。すると今度は、人のために何かすることに喜びを見出すようになっていくのではないだろうか。誰かに触れられ、大切に扱われることで、自分の必要価値を見出し、今度は人のために生きようとする好循環が生まれるのだ。~中略~
仏教でもキリスト教でも、「慈悲」「慈愛」などの言葉で慈しみの心を説いている。相手を思う「慈愛の心」を持つことは、結果的に「自愛の心」につながり、不安や抑うつが減り、自分の心を整えることにつながる。


ご興味のある方はご一読を。



皮膚は「心」を持っていた! 山口創(はじめ)著 青春新書

目次

【第1章】

皮膚は第2の脳だった!?~肌に触れることは、心に触れること~

・怒りっぽいのは「性格」のせいではなかった!?
・皮膚という「露出した脳」
・頭が先か、体が先か。頭・心・体の関係
・皮膚はもっとも原始的な感覚器
・皮膚は〝音〟を聞いている
・耳では聞こえない超音波や低周波音もわかる
・光や色も感知している皮膚
・赤色のユニフォームで勝率が上がる!?
・皮膚はこんなに頭がいい
・目はごまかせても、皮膚はごまかせない
・触覚としての指紋の役割
・皮膚は記憶を宿している
・触れられることからはじまる親子関係
・胎児や赤ちゃんが感じるストレス

【第2章】

感情は「皮膚」でつくられる~イライラ、不安の理由は「肌」にある~

・判断の決め手は理性ではなく皮膚感覚?
・体が温まると、心も温かくなる
・清潔にすることで罪悪感が軽減する
・やわらかいものに触れると、心もやわらかくなる
・世界中の子どもが持っている「ライナスの毛布」
・硬い肌着でストレスホルモンが増加
・赤ちゃんが求めているのは「食べ物」よりも「肌感覚」
・虐待が子どもの肌感覚に与える影響
・「痛いの痛いの飛んでいけ」で痛みが軽くなる理由
・孤独は心だけでなく体にも影響を与える
・紙の本と電子書籍、記憶に残りやすいのは?
・触覚の根っこは「命に触れる」こと
・年を重ねても触覚は衰えない

【第3章】

皮膚で「心を整える」方法があった!~この「触れ方」でポジティブに変わる~

・「触れる機会」が減りつつある現代人
・皮膚が心地よさを感知するメカニズム
・動物にも魚にもある「C触覚線維」
・「心地いい触れ方」の5つのポイント
・こんな触れ方はやってはいけない
・触れることで、言葉以上に思いが伝わる
・「オキシトシン」というもうひとつの癒し
・ストレスを軽くするスキンシップの秘密
・セルフマッサージで心を整える
・マッサージでポジティブな心に変わる
 うつで悩んでいたクライアントが回復
 体の不調だけでなく心も前向きに変化する
 マッサージで過去のトラウマにアプローチ
 母と子のコミュニケーションとしてのマッサージ
・マッサージをしている側にも変化が起こる
・災害、医療、子育て、介護…「触れる」ことの可能性

【第4章】

「触れる力」が心を育てる~脳内物質「オキシトシン」の効果~

・夫婦の絆を強くする脳内物質
・子育て中の妻のイライラはオキシトシンが原因?
・親子の愛情が深まり、子どもの情緒が安定する
・1~2歳の子どもの脳はだっこで育つ
・「触れない育児」が引き起こす悪影響
・自閉症の子は脳のオキシトシンが少ない
・ADHD(注意欠如多動性障害)の子どもも変わるタッチケア
・触れられ方の好みは人それぞれ
・「境界の感覚」を育むことの重要性
・スキンシップが多い子どもは学力が高い
・思春期の子どもの「触れ方」にはコツがある

【第5章】

「皮膚感覚」を活かす人づきあいのヒント~「心」に触れるコミュニケーション~

・触れていなくても、そばにいるだけで心が強くなる
・相手を自分の一部のように感じるスペース
・「距離が近すぎる」というストレス
・添い寝するだけで自律神経が同調する
・病気の人には「付き添う」だけでもプラスの効果が
・「直接会わない」コミュニケーションのデメリット
・触れるだけで、相手に感情が伝わる
・相手のために触れる「慈愛の心」












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