東京都美術館で開催中の「新印象派 光と色のドラマ」を観てきました。
◆シニャック 「髪を結う女」
いわゆる「点描技法」で活躍したスーラやシニャックら「新印象派」の流れをたどる展覧会です。
◆入口のロゴがいい感じ
「点描画」というと、「絵の具を混ぜないで細かく点で置いていく」→「目の中で色が混ざる」くらいの知識しかなかったのですが(笑)、この展示を観て、なぜこのような技法が生まれ、そして次にどこへいったのか、ということがよくわかりました。久々に「なるほど~」感のある展覧会でした。
モネなど印象派の画家たちは、すでに絵の具をできるだけパレットで混ぜない(濁って暗くなるから)で筆のタッチを生かしながらキャンバスに置いていく、「筆触分割」という技法を使っていたわけですが、これは「理論で」というよりも「感覚的に」やっていたようです。
◆モネ 「税関吏の小屋・荒れた海」
それを科学的な色彩理論に基づいて追及して行ったのがスーラたちの「新印象派」というわけですが、この「科学的な理論」についての展示(色相環や補色を使って解説された当時の理論書や図版)がなかなか面白かった。どういう色を組み合わせてどこにどういうバランスでどういう向きで置いていくかということを一生懸命研究していたんですね。
◆美術の授業にも出てくる色相環
特にスーラとシニャックが実際に使っていたパレットの展示は必見!
シニャックは几帳面に絵の具を分けていて「こだわる男」のようです(笑)
さて、説明ばかりになってもいけないので、以下気に入った作品の紹介を。
まずはスーラ。
◆スーラ 「セーヌ川、クールヴヴォワにて」
なんともいえない空気感があります。
◆スーラ 「グランドジャット島の日曜日の午後」の習作(習作といってもこれだけで大変そう)
◆完成作 「グランドジャット島の日曜日の午後」(展示はされていません)
ところでこのスーラの作品にはともに犬がいます。スーラはきっと犬好きだったのでは?そんな気がします。自分も犬好きなので。
◆スーラ 「ポール=アン=ベッサンの外港、満潮」
この作品、なんと額縁まで点描で塗られています!
続いてシニャックほか。
◆シニャック 「サン=ブリアックの海、ラ・ガルド・ゲラン岬」
実物は非常に「光」を感じさせる明るい絵で点描も緻密です。
◆ピエ 「雪のサン=ミシェル・デギーユ聖堂」
雪景色好き(笑)にはたまりません。寒いけれどどこか温かさを感じます。
さて、ベルギーやオランダなどにも広がった新印象派ですが、しだいに点が「モザイク」のように大きくなったり、色が自由になったりと変化していきます。
◆シニャック 「マルセイユ、釣船」
シニャックはどんどん変わっていきますね。
◆マティス 「日傘の女性」
ここでマチスが登場。点描だけど色がマティス!
◆マティス 「ラ・ムラード」
おお、まさにマティス。なるほど、こうやってフォービズムにつながっていくわけか(ちょっととばし過ぎか。。。)
予想していたよりもかなり面白く「勉強」になった展覧会でした。
ただ、「1時間半くらいあれば観られるだろう」と思っていたのに、まだ半分も行かないうちに「もうすぐ閉館で~す」と案内が流れて後半やや急ぎ足になってしまいました。
たぶん、「1回作品を見る→近づいて点を見る→今度は離れて見る→もう一度最初に戻って見る」ということをやっていたからだと思います。
いつもより時間を多めに取って行かれることをお勧めします。
◆出口に飾られていたレゴブロックによる作品
(2015.03.05)