知人の指揮者稲田康先生が常任を務める「オーケストラアジア ジャパン」の定期演奏会が東京の紀尾井ホールで行われました。
◆日本と中国の琵琶がメインの演奏会
前半のプログラムは
・「前奏曲」~古代舞曲によるパラフレーズ
(三木稔)
・心象風景(E.ブラウン)
・箏合奏のためのオデュッセイア(新実徳英)
こういう楽器編成・楽曲を聴くのは初めてだったので大変興味深かったのですが、多彩な音色や奏法に驚きました。いままで自分が持っていた邦楽の楽器のイメージとは全然違って、ダイナミックでスリリング。尺八の表情豊かなソロもあれば8人の箏によるジャズのセッションのような掛け合いも。そして時折現れる西洋音楽の響き(これはこれでかなり難しいのでは?)。新鮮でした。
また(これは音楽とは別ですが)女性奏者の方々がみな明るい色の着物姿なのでステージが華やかでいいです(男性は袴なのでモノクロ 笑)!
後半は
・琵琶協奏曲 「東方剣魂」(劉 文金)
中国琵琶:ジャン・ティン
◆中国琵琶のジャン・ティンさん
・琵琶協奏曲 「祇園精舎」(秋岸 寛久)
琵琶:石田 さえ
◆日本琵琶の石田さえさん
演奏の前に琵琶奏者お二人による「日本の琵琶と中国の琵琶の違い」についてのお話と実演がありましたが、これがとてもわかりやすく面白かった。
・日本の琵琶はバチで弾くが中国の琵琶は爪で弾く(したがってマンドリンのようなトレモロが得意)
・日本の琵琶と中国の琵琶ではフレットの数がかなり違う(中国琵琶は30以上)
・ネック(いちばん上の部分)の曲がり方が違う
ほかにも見た目では胴の部分のカーブなどに違いがあるようでした。琵琶については全くの素人なのでよくわかりませんが。
この2つの協奏曲、同じ「琵琶」を使いながらずいぶんと印象の違う音楽でした。中国琵琶のジャン・ティンさんの演奏した協奏曲は響きや音階などがより中近東・アジアよりの音楽という気がしたのに対し、日本琵琶の石田さえさんが演奏した曲はまさに「日本的」。琵琶の演奏以外に「祇園精舎」の語りも入っていたのでさらにその色合いが濃かったように思います。
アンコールはお二人の琵琶が入って「ふるさと」。これがしみじみとしていい演奏でした。
終演後楽屋にお邪魔して稲田先生にご挨拶。どんなスコアか興味があったので拝見させていただくと、よく見なれたふつうの五線紙に書かれたものでした(中身は変拍子が続いたりして複雑ですが)。でもあの微妙な音程や「間」などはどう表すのでしょう?今度お会いした時にお聞きしたいと思います。
(2015.03.05)