奥三河の千枚田に水が張られ、棚田のあちこちが光っている。一見のどかな山里の晩春の光景だが、この棚田の下には、100年前の災害の痕跡が埋れている。
明治37年7月10日、豪雨が数日間続く中、棚田の上手の山から流れ出る沢を倒木が堰き止めた。沢は湛水して決壊、土石流が棚田と山麓の集落を呑み込んだ。家屋10戸、死者11人の大災害だった。
崩壊の跡地に再び棚田を築くまでの、被災集落の人々の労苦は想像を絶するものがあったことだろう。
棚田上端部の真上にあたる稜線に、鞍掛山(882m)山頂があり、カタクリの自生地として広く知られている。この時季になると、紅紫の花々が落葉樹の林床を点々と彩る。此処のカタクリの花は、格別に美しい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます