道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

羨望

2023年08月03日 | 人文考察

自己の優越を願い、それにこだわる人ほど、自分より優越した存在に強い羨望を抱くものらしい。
優越願望は自己愛に発しているもので、人の向上心の原動力になり、努力の源泉でもある。上昇志向はそれによって支えられている部分が大きいかもしれない。

しかし上には上があるのが世の中、天賦の才能弛まぬ努力があっても、優越願望が満たされることはそんなに多くはないだろう。という自分ではどうにもならない要素が関与する。
3つの要素が揃わないと願望が達成できないとなると、人の心の中には、置き去りにされた願望羨望が累々と溜まる。精神衛生のためには、羨望は成る可く速やかに排除し、溜めない方が良さそうだ。

優越願望の人は、苦心して獲得した自己の優位(社会的・経済的・肉体的)が脅かされると、何らかの不穏な心理に陥り、思ってもみない行動に奔ってしまうことがよく見受けられる。
優越の事実より優越感という意識に重きを置いていると、人は非現実的な不安や惧れに心を支配される。他者を誹謗中傷する心理には、そのような不安や惧れを解消するために起動される情動もあるようだ。

優越感に執着していて願望が満たされない時には、やはり好ましくない心理状況に陥ることもあるだろう。
自己愛に発している優越願望というものは、存外治めるのが難しい内なる敵であるように思う。





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