老いが進むに従って、幼少期の好物が懐かしくなっている。
そのひとつが、真夏の味覚のマクワウリ。メロンの仲間だが、より淡白な、甘味の少ない、独特のほのかな香りのある果実である。
マクワウリ(真桑瓜)は、旧くから栽培されていた作物で、日本では縄文時代の遺跡から種が見つかるらしい。南アジア原産の、マスクメロンなどと近縁の仲間とか。
真桑とは、岐阜県南部の地名で、江戸時代にはここが主産地だったことから、マクワウリの名が広まったという。当地ではこのマクワウリをキンコウリと呼んでいた。
キンコウリはスイカと共に、昭和の海水浴での定番の食べ物だった。
ふたつに割って海水でサッとタネとワタを洗い、均等に切り分けて食べると、海水の塩味で爽やかな香りとほのかな甘味が湧き立った。
ハネジューメロンやプリンスメロンが作出される以前には、マクワウリは最もポピュラーなメロンだった。
老生は夏になると、この懐かしい昭和のメロン、マクワウリが、堪らなく恋しくなる。
今は需要がほとんどないから、栽培する農家も少なく、地元のスーパーにこれ売る店はない。
無いと欲しくなるのが人の常、老生は例によって掛川「道の駅」まで出張り、キンコウリを見つけて欣喜雀躍、有るだけを購入した。レジで変なお爺さんと思われたかもしれない。一瞬「キンコウリフェチ」が頭を掠めた。
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