いつも釣果を分けてくれる友人から、セグロイワシを120尾もいただいた。釣って2時間と経たない新鮮魚である。
手開きの刺身で食事を始め、続いて頭とワタをとった魚を卓上電気魚焼器に並べ、焼きたてを生姜醬油で食べた。それでも老人2人では食べきれない。若い者たちは青魚を好まない。残りはマリネにして、毎朝食べることにした。
調理中に妻が、セグロイワシの中に2尾の見慣れない小魚を見つけた。呼ばれて見に行くと、当地で「サッパ」と呼ぶ魚だった。
瀬戸内地方では「ママカリ」の名で通っている魚だが、一般に遠州の釣り人は、ヒイラギ(当地ではネコタ)やネズミゴチ(東京でメゴチ)同様、この魚が釣れても喜ばない。スマホが普及する前は、ほとんどの釣り人が持ち帰らなかったろう。
妻は初めて見たのだが、ママカリと知ってその2尾を下ろし、酢漬けにしてくれた。食べてみると、実に美味しく酒の肴に好適だと思った。
友人にサッパを見つけたと伝えると、海に返してきたはずだが見落としたと云う。いつもはセグロイワシ以外は生きたまま戻して帰ってくるとか?私も昔はサビキ釣りでアジやサバを釣ったことがあったが、サッパはサビキバリから外すと即座に海に戻していた。美味を伝え、食べるから捨てないようお願いした。
一週間後、友人は奥さんと出漁し、前と同じほどのセグロイワシとサッパを30尾ほど釣って来てくれた。早速妻が固いウロコ、頭とワタを徐り酢漬けにする。ご飯と共に食べて、ママカリ(飯借り)の名を、存分に堪能させてもらった。
酒を罷めて半年間、何を食べても、悪友に誘われても、アルコールが欲しくなったことは全くなかったが、この時ばかりは、心底から、愛飲した日本酒が飲みたくなった。
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