道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

一人っ子政策

2019年03月23日 | 随想

私ごとで恐縮だが、兄弟姉妹をもたずに育った。大人ばかりに囲まれて育ったためか、我儘でこまっちゃくれた子どもだったに違いない。近所に遊び仲間は沢山居たが、家庭内に同胞が居ない生活というものは、やはり自然の理に適っていない環境にあったと思う。

動物の世界を見てもわかるが、自然界の基本は、複数の仔を同時に育てる。母親の乳房を共有し、一緒に遊んで競争しながら成長する。何らかの事情で親兄弟から離れた野性動物の仔を人間が飼育すると、野生に適応できなくなってしまうらしい。成長して野に戻す前に、相当のトレーニングを施さなければならなくなるそうだ。大人に囲まれて成長すると、

①早熟になる②大人の顔色を読むことに長け、大人の意を汲むのが速い③揣摩憶測癖が身につく④万事に鷹揚で競争心に欠ける

瑕瑾ばかりのようだが、個性に吸収されるから是非の問題ではない。

中国は1979年に国家が産児制限を国民に強制し、一人っ子政策を施行した。その結果、少子化により人口構成が偏り、急激な高齢下と労働人口の減少に直面した。2015年からこの制限は廃止され、第二子の出産が認められるようになっているが、夫婦の出産に制限をかけているのは変わらない。儒教の精神は、個人の幸福には意を用いない。

40代以下の働き盛りの中国人全員が、前記一人っ子の特徴をもっているとすると、中国社会は、他国とかなり異なる特性をもった社会であろうかと想像される。一人っ子政策の影響は、今後数代にわたって国民にも国家にも影響を及ぼし続けるだろう。

国の政治的目的で、産児をコントロールすることは、あってはならないことだと思うが、わが国でも戦争中には「産めよ殖やせよ」のスローガンが罷り通った時代があった。兵力増強のための国家による出産奨励という作為、これほど非人間的なものはない。軍国主義に限らず、全体主義、共産主義は、必然的に作為に追われる。自己崩壊する所以だろう。

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