道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

トビ

2017年09月29日 | 自然観察
トビは留鳥で、ワシ・タカの仲間では唯一絶滅危惧種でないとか。それはこの鳥が猛禽類らしからず狩が苦手で、屍肉やゴミを餌にしているからだと言われている。食餌の幅が広いことは、、飢えないということで、種の保存性は高い。カラスに近い食性ということだろう。
 
屍肉を漁る生き物は、ハゲタカやハイエナもそうだが、どう見ても姿が美しくなく精悍でもなく、まして高潔にも見えない。造物主は被造物の食性と形態との間に調和を予定したのだろうか?
 
丹後半島の伊根の舟屋を観望するため、漁港近くの桟橋で遊覧船に乗り湾に出た。船が出るとすぐ、数羽のカモメが寄ってきた。乗客たちが、餌のかっぱえびせんを投げ始めると、すぐに仲間が次々と飛来、舞い翔ぶカモメで船の周りがすっぽり覆われるほどになった。そのうちにトビが現れ、カモメの餌を横取りする。双方数十羽が入り乱れ、餌の争奪戦が始まった。
 
トビはカモメと違い、乗客の手元から餌を採る。貪婪そのものだ。カモメやウミネコは体躯の大きいトビに餌を奪われ、徐々に船から離れていった。トビは恣に餌を獲り続けた。
 
乗客は体の小さいカモメの方が贔屓なので、トビにエサを投げなくなり、トビも飽食したのか半島の森に姿を隠して、船の周りは静かになった。
数メートルの距離まで飛来するトビを観察するのは初めての体験だった。
 
常には上昇気流に乗って数100mもの
上空をのんびり遊弋するトビ。子どもの頃からいつも憧れ、羨ましく思って見上げてきた。その頃には角凧やおかめ凧よりもトンビ凧を好んで揚げていたことを憶えている。絵柄が好きだったし、揚げ易くもあった。トビそのものが、相当好きだったに違いない。
 
旅先で目の前に展開されたトビの貪欲な採餌行動には、些かたじろいだ。群れ集まり、人から直接餌を獲るトビは、同じ猛禽仲間の狩上手ハヤブサの孤高・高潔を寸毫も持ち合わせていない。猛禽類と雖も、ピンとキリとでは、別種ほどの違いがあることを知った。
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