かつて当ブログで「タンニン鉄」についてご案内した。
このタンニン鉄、土壌中の微生物を活性化し、植物の健康に対して有効に働くらしく、今では老生の植物栽培の切り札となっている。鉢植えが弱った時など、カンフルのように使っている。
先日、さるユーチューバー氏が、貴重な実験を公開してくれた。それは、タンニン鉄は2価鉄なのか3価鉄かという実験で、ウーロン茶・緑茶・紅茶・コーヒーをそれぞれ同量の湯で抽出したカップに、スチールウール片を等時間漬け置いて、2価鉄と3価鉄の検査キットを使って調べ、比較するものだった。
結果は紅茶でつくったタンニン鉄液の2価鉄の値が最も高く、次はコーヒーだった。全ての資料で、3価鉄は検出しなかった。
ヘム鉄というものは、人体において非ヘム鉄の5倍ほど吸収率が高いという。また、人体が非ヘム鉄を吸収するには、胃液やビタミンCにより還元されるヘム鉄に変化する必要があるという。
紅茶・コーヒーに含まれるタンニンと3価鉄が反応したタンニン鉄は2価鉄で、当然に植物ばかりか人体も吸収するだろう。
だとすると、鉄分の多い野菜などに含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCや胃液の還元作用ばかりでなく、食事の際に飲む紅茶やお茶、コーヒーと反応することでヘム鉄に変わり、腸内微生物の働きで吸収されているのではないか?
教科書的には、タンニンは鉄の吸収を阻害するといわれている。これは単に試験管内での反応を観察しただけの結論で、未だ腸内微生物の働きが視野になかった時代の知識ではないか?
あれだけ紅茶を嗜好するイギリス人やロシア人、コーヒー好きのアメリカ人、そして日本茶を毎食飲んでいる日本人が、国民病的に貧血症を発しないで済んで来たのは、タンニン鉄というものと腸内微生物の作用が貢献していたからだと考えられないか?
私たちは、非ヘム鉄を胃ばかりでなく、腸内でもヘム鉄に変えて吸収する仕組みをもっているのではないか?
お茶やコーヒーが古くから人類に好まれて来たという事実は、単にカフェインの効能ばかりでなく、腸内微生物が鉄の吸収に寄与していたことに大きな
要因があったかもしれない。
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