てんちゃんのビックリ箱

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オーケストラ・アンサンブル金沢 第47回名古屋定期公演

2023-09-24 13:29:56 | 音楽会


公演名:オーケストラ・アンサンブル金沢 第47回名古屋定期公演
公演日時:2023年09月22日(金) 開場 18 : 15 開演 19 : 00
場所:三井住友海上しらかわホール
出演:指揮者:広上淳一
   オーケストラ:オーケストラ・アンサンブル金沢
   ゲスト:葵(AOI)トリオ
        ピアノ:秋元孝介 
       ヴァイオリン:小川響子
        チェロ:伊東裕

惹句:ミュンヘン国際コンクールの覇者、葵トリオ登場。広上淳一のシチェドリン「カルメン」

演奏曲
 ベートーヴェン ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲 ハ⻑調 作品56
 ビゼー(シチェドリン編) カルメン組曲


1.はじめに

 指揮者の広上さんは、京響時代からずっと注目していた。それが私の好きだった井上道義さんの後を継ぎ、アンサンブル金沢を引き連れて名古屋で演奏するということで、是非にと聴きに行くことにした。演奏曲も知らないもので興味があった。金沢の定期演奏会直後ということで演奏にも期待した。

 会場のしらかわホールは、三井住友海上が、維持する資金が尽きたとの事で、来春には閉鎖の計画があるホール。音響のいいホールなので惜しいと思いつつ最近の状況を見ておこうとおもった。

 席は予約の時にわりと空いていたので、どこにするかと考えたが広上さんが横を向いた時にまともに顔の見える2階の席にした。
 会場につくと当日券席の販売が在り、また会場にはいってみると、真正面はさすがに埋まっていたが周辺に空席が多く寂しい想いがした。


2.ピアノ、ベートーヴェン ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲 ハ⻑調 作品56

 こういったトリオに対する協奏曲は、初めて聴いた。
 ピアノ、ヴァイオリン、チェロをぶつからせて、オーケストラで旨く包んでいくのかとイメージしていたら、全然違った。
 3つの楽器が室内楽のように調和してきれいに対話している空間の背景を、オーケストラが作っていて、3つの楽器から生まれる雰囲気を全体に優しく拡げたり、逆に外から3つの楽器にそっと刺激して、新しい展開を促している感じだった。
 トリオはアンサンブルだけでなくそれぞれのソロ部分は凄い実力を発揮していた。紹介を見るとやはりそれぞれがソロ活動を実施していて、評価が高い人達だった。私は特にピアノの人が気に入った。
 トリオのアンコールは、やはりベートーヴェンの3重奏曲第6番3楽章で、協奏曲と似た曲調だったが、オーケストラが包んでいない生々しい活力を感じた。このトリオは覚えておこうと思った。それとともに、こういったトリオの人達は、現状がいつまで続くのだろうかとおもった。

3.ビゼー(シチェドリン編) カルメン組曲

 この編曲も初めての曲。マイヤ・プリセツカヤがカルメンをバレエとして踊りたいと、最終的に自分の夫のシチェドリンに頼み、彼がビゼーの曲の見せ場の場面を組合わせて編曲したもの。
 楽器編成が面白く、弦楽器とたくさんの打楽器の編成で、管楽器はいない。弦楽器のまわりをぐるりと大げさな打楽器や小ぶりの打楽器が囲んでいて、担当6名のうちティンパニ担当以外は複数の打楽器を担当して、演奏中は各楽器の前へとうろつきまわっている。
 フラメンコは拍手という打楽器があるが、ウエットな弦楽器をドライな打楽器で取り囲んでスペインの赤い土の乾燥地帯を作っているかのようだった。曲も打楽器群に対してのオーケストラとの協奏曲といった感じで、とてもユニークで面白かった。この編曲は現代的で素晴しい。
 
 この曲でどんなふうにマイヤ・プリセツカヤが踊っているか興味があってyoutubeを探すと映像があった。
  https://www.youtube.com/watch?v=2Vt7e0ARvtU
 この初演では性的描写に問題ありとして、その後の上演禁止となり、ショスタコビッチが掛け合って解除してもらったとのことだが、さもありなんとおもった。バレエは現代的で、群舞はウエストサイドストーリーに似ている部分があった。
 パーカッションはこの演奏会のほうがはるかに生きていた。

 アンコールはパーカッション部隊が、掛け声と身体を叩いての演奏で面白かった。
 またオケとしてのアンコールは、パーカッションのないビゼーそのもののカルメンの闘牛士の所で、滑らかで重厚な演奏でありこちらも良かった。


4.おわりに

 今回の演奏会は選曲がユニークで、前半の葵トリオ、後半のパーカッション部隊の演奏が
素晴しかった。そしてアンサンブル金沢も、井上さんの時と同様に素晴しく、今後広沢さんがどの様に音を拡げていくか楽しみである。
 今回の真横の席は、一部手前のほうは見にくくなるが、向こう半分のオケの部隊の指揮者を見る表情、広沢さんがこちらを向いた時の表情がよくわかった。そしてパーカッション部隊の各種の打楽器をほぼちゃんとみることが出来、どの楽器がどの様に演奏してどんな音がでるかよくわかった。
 広沢三のメガネが譜面台にあり、出入りの時は眼鏡を掛けていないが指揮している時は掛けていることもわかった。
 いろいろ発見の多い演奏会だった。
 帰りの聴衆は皆楽しそうでよかったが、この音響のいい演奏会場がなくなるのは残念である。

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