日時 : 2018.05.17 18:45~
場所 : 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
プログラム
・ウォルトン ヨハネスバーグ祝典序曲
・ヴォーン・ウィリアムズ あげひばり (ヴァイオリン 三浦文彰)
・グリーグ ピアノ協奏曲 (ピアノ 辻井伸行)
<アンコール ショパン 別れの曲>
・ショスタコーヴィチ 交響曲 第5番
<アンコール ラフマニノフ:ここは美しい場所>
指揮者: ヴァシリー・ペトレンコ
オーケストラ: ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
惹句:ペトレンコ旋風 再び
2大スターがソリストに登場(辻井伸行、三浦文彰)
1年に1回ぐらいは贅沢でもいいよねっていうことで、高い席しか残っていなかったこのコンサートに行くことにした。
今回の席はチェロの方のかなり前のほう。ソリストを聴くのだからと、後ろのほうより前のほうを選んだ。後で気づいたが、辻井さんの顔がピアノに隠れて半分も見えない。当然管楽器も見えない。でもチェロおよびベースの音圧がすごく、コンサートマスターの細かい仕草や表情もよく見える。何よりソリストの音量は文句なしに素晴らしい。
ポツポツ・・そしてドヤドヤと、オケのメンバー登場。みんな背が高い。そして西洋人ばかり。コンサートマスターは女性だった、ということでコンサートミストレス、今後コンミスと呼びます。この人も背も横幅も大きな、貫禄のある人。全体に平均年齢はやや高め。
1.ヨハネスバーグ祝典序曲
揃って音合わせをしたところで、ペトレンコさん登場。若くってスマート・・かっこいい。これは女性にもてるでしょう。きれいな礼をして、指揮台に立つとスパッと棒を振り序曲が始まった。
非常にまとまりのいいアンサンブル。一流のオケは本当に自然にいい音を出す。そしてペトレンコさんの指揮、ほぼ背筋を伸ばし、立ち姿勢が本当にきれいで品がある。
弦および管が滑らかで、打楽器が楽しくリズムを刻む、オケおよび指揮者の実力を見せる演奏だった。
2.あげひばり
指揮者とともに、三浦さん登場。周りと比較すると少年のよう。
演奏が始まる。非常に澄んだ伸びやかな音。確かに草原の上でひばりが、自在に飛んでいる姿をイメージする。途中の管楽器との対話が面白い。コンミスがとても優しい母親のような顔で、彼を見守っている。それがオケ全体の雰囲気で、非常にきれいな音の宝物を、全体で優しく包んでいるようだった。
3.ピアノ協奏曲
三浦さんが退場後、オケの雰囲気ががらりと変わる。
そして辻井さんが、指揮者とともに登場。より小さく横幅は大きい。ペトレンコさんにくっついて登場する姿は、子供のようだった。インターネットでは見ているが実際は今回が初めて。
そして演奏開始。辻井さん独特の首を振り、間奏では身体を前後に振る演奏法。始まったとたん、なにか今まで聴いていた協奏曲と違うと思った。辻井さんは全盲だから、指揮者がフっとかハっとか、息遣いで意思伝達するそうだが、オケとピアノはとてもぴったりだった。通常はソロは時々指揮を見るのだが、それは無理。練習段階で合わせているのだろうが、私が感じたのは、オケの緊張とまたアンサンブルへの挑戦の楽しみ。そして辻井さんの身体の動き自身が指揮の一部で、特にコンミスがじっと見て状況を把握している。指揮者は彼を見る位置にはないので、彼女から全体への指令が出ているのだろう。
なにか辻井さんとオケが、ジャズのセッションをやっているという感じだった。
演奏はとても素敵で、第一楽章が終わった後、私の配偶者が、「この幸せな時間も、もうそんなにないのね。」とため息をついて言いました。なお、第一楽章の終了時に拍手があったが、私もしました。聴衆の状況を感じることができない彼に、聴衆の気持ちを伝えるべきだと思ったから。
今まで聴いたこの曲の演奏では、ピアニストは美しさを表現しようとしていてそれで気持ちよかったのだけれども、辻井さんの場合には美しさの中にバロックのようながっちりした骨格を感じたこと。それがオケとの協力で、私にとって新しいグリーグのイメージになった。
4.<アンコール ショパン 別れの曲>
これは、ああインターネットやレコードで聴く辻井さんのショパンという感じだった。やはりとても素晴らしい。演奏に引き込まれてしまう。
でも、今回協奏曲の素晴らしい化学反応を聴いたことで、ぜひまたそちらを聴きたいと思った。辻井さん1人の演奏は安定しているが、協奏曲はたぶん失敗のリスクも大きい。でも両者がうまくかみ合えば、とんでもないものが生まれる。
今回一人の演奏とともに協奏曲も聴くことができて幸せと思った。
5.ショスタコーヴィチ 交響曲 第5番
この曲は、有名なテーマの所を局所的にしか聴いていなかったので、こんなにいろんなものを詰め込んだ曲だと思っていなかった。抒情性から行進曲まで いろんな思い入れを組み込むことができる。でも基本的にに20世紀の曲だから大胆なハモリ方もする。
指揮者もオケの各パートもとても面白く、実力を発揮できる楽しみがあるのだろう。私自身はとても勇壮なマーチの部分がやはり耳に残り、とても元気になった。
6.アンコール 略。
今回は、やはり欧州のランクの高いオーケストラの実力のすごさを感じた。そして辻井伸行という、「奇跡の存在」。 これはナマの演奏に出会わなければ、理解できない。
場所 : 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
プログラム
・ウォルトン ヨハネスバーグ祝典序曲
・ヴォーン・ウィリアムズ あげひばり (ヴァイオリン 三浦文彰)
・グリーグ ピアノ協奏曲 (ピアノ 辻井伸行)
<アンコール ショパン 別れの曲>
・ショスタコーヴィチ 交響曲 第5番
<アンコール ラフマニノフ:ここは美しい場所>
指揮者: ヴァシリー・ペトレンコ
オーケストラ: ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
惹句:ペトレンコ旋風 再び
2大スターがソリストに登場(辻井伸行、三浦文彰)
1年に1回ぐらいは贅沢でもいいよねっていうことで、高い席しか残っていなかったこのコンサートに行くことにした。
今回の席はチェロの方のかなり前のほう。ソリストを聴くのだからと、後ろのほうより前のほうを選んだ。後で気づいたが、辻井さんの顔がピアノに隠れて半分も見えない。当然管楽器も見えない。でもチェロおよびベースの音圧がすごく、コンサートマスターの細かい仕草や表情もよく見える。何よりソリストの音量は文句なしに素晴らしい。
ポツポツ・・そしてドヤドヤと、オケのメンバー登場。みんな背が高い。そして西洋人ばかり。コンサートマスターは女性だった、ということでコンサートミストレス、今後コンミスと呼びます。この人も背も横幅も大きな、貫禄のある人。全体に平均年齢はやや高め。
1.ヨハネスバーグ祝典序曲
揃って音合わせをしたところで、ペトレンコさん登場。若くってスマート・・かっこいい。これは女性にもてるでしょう。きれいな礼をして、指揮台に立つとスパッと棒を振り序曲が始まった。
非常にまとまりのいいアンサンブル。一流のオケは本当に自然にいい音を出す。そしてペトレンコさんの指揮、ほぼ背筋を伸ばし、立ち姿勢が本当にきれいで品がある。
弦および管が滑らかで、打楽器が楽しくリズムを刻む、オケおよび指揮者の実力を見せる演奏だった。
2.あげひばり
指揮者とともに、三浦さん登場。周りと比較すると少年のよう。
演奏が始まる。非常に澄んだ伸びやかな音。確かに草原の上でひばりが、自在に飛んでいる姿をイメージする。途中の管楽器との対話が面白い。コンミスがとても優しい母親のような顔で、彼を見守っている。それがオケ全体の雰囲気で、非常にきれいな音の宝物を、全体で優しく包んでいるようだった。
3.ピアノ協奏曲
三浦さんが退場後、オケの雰囲気ががらりと変わる。
そして辻井さんが、指揮者とともに登場。より小さく横幅は大きい。ペトレンコさんにくっついて登場する姿は、子供のようだった。インターネットでは見ているが実際は今回が初めて。
そして演奏開始。辻井さん独特の首を振り、間奏では身体を前後に振る演奏法。始まったとたん、なにか今まで聴いていた協奏曲と違うと思った。辻井さんは全盲だから、指揮者がフっとかハっとか、息遣いで意思伝達するそうだが、オケとピアノはとてもぴったりだった。通常はソロは時々指揮を見るのだが、それは無理。練習段階で合わせているのだろうが、私が感じたのは、オケの緊張とまたアンサンブルへの挑戦の楽しみ。そして辻井さんの身体の動き自身が指揮の一部で、特にコンミスがじっと見て状況を把握している。指揮者は彼を見る位置にはないので、彼女から全体への指令が出ているのだろう。
なにか辻井さんとオケが、ジャズのセッションをやっているという感じだった。
演奏はとても素敵で、第一楽章が終わった後、私の配偶者が、「この幸せな時間も、もうそんなにないのね。」とため息をついて言いました。なお、第一楽章の終了時に拍手があったが、私もしました。聴衆の状況を感じることができない彼に、聴衆の気持ちを伝えるべきだと思ったから。
今まで聴いたこの曲の演奏では、ピアニストは美しさを表現しようとしていてそれで気持ちよかったのだけれども、辻井さんの場合には美しさの中にバロックのようながっちりした骨格を感じたこと。それがオケとの協力で、私にとって新しいグリーグのイメージになった。
4.<アンコール ショパン 別れの曲>
これは、ああインターネットやレコードで聴く辻井さんのショパンという感じだった。やはりとても素晴らしい。演奏に引き込まれてしまう。
でも、今回協奏曲の素晴らしい化学反応を聴いたことで、ぜひまたそちらを聴きたいと思った。辻井さん1人の演奏は安定しているが、協奏曲はたぶん失敗のリスクも大きい。でも両者がうまくかみ合えば、とんでもないものが生まれる。
今回一人の演奏とともに協奏曲も聴くことができて幸せと思った。
5.ショスタコーヴィチ 交響曲 第5番
この曲は、有名なテーマの所を局所的にしか聴いていなかったので、こんなにいろんなものを詰め込んだ曲だと思っていなかった。抒情性から行進曲まで いろんな思い入れを組み込むことができる。でも基本的にに20世紀の曲だから大胆なハモリ方もする。
指揮者もオケの各パートもとても面白く、実力を発揮できる楽しみがあるのだろう。私自身はとても勇壮なマーチの部分がやはり耳に残り、とても元気になった。
6.アンコール 略。
今回は、やはり欧州のランクの高いオーケストラの実力のすごさを感じた。そして辻井伸行という、「奇跡の存在」。 これはナマの演奏に出会わなければ、理解できない。
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