展示会名:パリに生きた画家たち
マルケ、ユトリロ、佐伯祐三、荻須高徳が見た風景
場所:ヤマザキマザック美術館
開催期間:2022年10月28日(金)から2023年02月26日(日)
訪問日:2022年11月25日
展示構成:下記の各作者ごとにまとめられている。
作品は国内の美術館等から集められたもの。個人蔵が多い。
アルベール・マルケ(1875-1947) 作品 7点、
モーリス・ユトリロ(1883-1955) 作品 10点
佐伯祐三(1898-1928) 作品 8点
荻須高徳(1901-1986) 作品 27点
入口写真 ここまで撮影可能
1.初めに
ヤマザキマザック美術館で、印象派以後でパリに住みパリの風景を愛して、描いた4人の画家の夫々の魅力を味わって欲しいという展覧会が開かれた。日本人の2人の比較、また組みあわせたフランス人2人の組合わせも面白かったので、鑑賞しに行くことにした。この時期だとエコールドパリの時期で外国人画家がパリに集まっていたが、フランス人2人と日本人2人の組み合わせというのがいい。
展示会では、四人の画家 たちが描 き出すパリ風景を下記のように説明している。
・マルケが窓から見下ろして描いたパノラミックなパリ風景
・パリに生まれ育ったユトリロが描く哀愁漂うパリの下町モンマルトルの風景
・佐伯が短い人生を燃やし尽くすかのように激しい筆触と暗い色彩で描いたパリの街角
・荻須が明快な構成と落ち着いた色調で描き出すパリの街並み
2.それぞれの作家作品
展示作品で、インターネット等で引用できる作品を用いて紹介する。
(1)アルベール・マルケ(1875-1947) 作品 7点
マティスと友人の野獣派の画家。代表例としてマザック美術館HPで紹介されているのが、下記の絵。
<ノートルダム 曇天>
マルケは窓から俯瞰する風景が好きだったようで、展示7点がすべてそういった俯瞰図。そして輪郭のはっきりしない固まりの中間色をドスンドスンと置いていく。こんな感じの絵を描きたいなと思う。この風景を知り尽くし愛しているという感じである。
私が好きなのは、下記の昼と夜のボンヌフ橋の風景。昼ののんびりした空気の街が、夜のライトによってエネルギッシュな町であるというのがわかる。
愛する街を一歩離れて、描こうとしていたのだろ
<ボン・ヌフとサマリテーヌ> <ボン・ヌフ夜景>
(2)モーリス・ユトリロ(1883-1955) 作品 10点
代表例としてマザック美術館HPで紹介されているのが、下記の絵。
<ラパン・アジール>
ユトリロは、マルケと異なりくっきりと輪郭を描く。そして樹々の緑や紅葉、白壁、汚れた白壁もちゃんとした色を再現しようとしている。壁については漆喰を混ぜた絵具まで使って再現しようとしたこともあったようだ。壁の一つの面はだいたい同じ色調で、後の日本人2人のように大きく色を変えたりすることはない。
この人は、エコールドパリの珍しいフランスの人。表現はマルケと異なるが、やはりパリを愛し、それを具体的におしゃれに表現しようとしているのを感じる。
画面の明るさはマルケとあまり変らない。
<サノワの製粉場> <サン=ヴァンサン通りと咲くレール寺院>
この両方の絵画とも、優しい空気が満ちていて、またかろやかな感じがする。
(3)佐伯祐三(1898-1928) 作品 8点
日本の野獣派を代表する画家。ブラマンクとの出会い一気に野獣派となった。ブラマンクの表現に近い野獣派の由来に近い激しいタッチから始まる。
彼の有名な特徴は、壁に貼られているポスター。物凄い勢いでわざと汚らしく見せるかのように描いている。
美術館のHPで紹介されている作品もポスターの作品で、道路と壁が溶け合い、ポスターが暴力的に主張している。色調もフランス人2人に比べてかなり暗い。
<プティ・レストラン>
しかしパリ滞在が長くなるとユトリロの影響も受けて、色調が明るくなっているように感じる。フランスに行ってたった4年間、今後どうなるのかという時に病にて亡くなる。ただここで引用した作品は、それほど明るくはないが・・・
<リュ・デュ・シャトー> <洗濯屋>
佐伯の場合、パリの街を描くというよりもそれを題材にして、自分の想いをキャンバスに叩きつけているということになっているようだ。でももし長生きしていればどんな絵を描いていたか、非常に興味がある。
(4)荻須高徳(1901-1986) 作品 27点
代表例としてマザック美術館HPで紹介されているのが、下記の絵。実は版権の問題があるとのことで、インターネットを見ても、この作品しか引用可能なものはなかったので、これ1枚とする。しかし作品点数としては全体の半分を占めている。
<広告のある家‘パリの屋根の下‘>
実はこの展覧会は、荻須がいかに佐伯の影響から離れ、野獣派やユトリロなどの影響をうけ、日本から来た異邦人からゆっくりとパリの住人になっていく過程を示そうとしていると思う。その意味で、佐伯が見出した壁とポスターの題材を彼なりに自分の色彩レベルで描いた1枚しか、紹介できないのは残念である。
佐伯は前述の様にパリの風景を題材に自分の想いを描いたが、荻須は自分の感じたパリを描いた。それがパリに長くいるにつれ、ユトリロのややすっきりした形状に、ユトリロの色と日本の陶器の渋さを複合したような肌合いを生み出した。その結果、彼はそこで生活する人を描かないけれども、パリの住人の生活を感じさせると言われ、フランスで高く評価された。多分ユトリロなどのパリに住んでいた人が使わなかった陶器の渋さが、周辺の田舎から集まった土臭い人々の雰囲気を感じさせたのではないだろうか。
3.おわりに
前述のように、フランスの人が2人と日本人が2人だった。
フランスの2人は、描き方がぼんやりした輪郭の人とややクールな輪郭の人とで、描き方自体はかなり違ったけれども、全体の色調としては割と似ていて、ずっとフランスに住み、そこの風景や空気をを充分知っているという自信が感じられた。それに対し、日本人2人は同じテーマから建物の壁とポスターという同じテーマからパリを描き出したが、2人とも前者二人よりも暗い色調で、異邦人として描き出すという心理状態が感じられた。そして一人はぶつかるように激しく、もう一人は真面目にありのままに描こうとしていて対象的だった。
つまり4者4様の絵画となって興味深い。ただし、佐伯はパリに行った後 短期間でなくなったため、荻須のような大きな変化の可能性を見ることが出来なかったのは、残念である
。
なおここで紹介した絵画は、下記のURLから引用した。
https://www.nagoya-info.jp/event/detail/682/
https://www.mazak-art.com/pdf/paris_painted_press.pdf
https://www.fashion-press.net/news/93694
マルケ、ユトリロ、佐伯祐三、荻須高徳が見た風景
場所:ヤマザキマザック美術館
開催期間:2022年10月28日(金)から2023年02月26日(日)
訪問日:2022年11月25日
展示構成:下記の各作者ごとにまとめられている。
作品は国内の美術館等から集められたもの。個人蔵が多い。
アルベール・マルケ(1875-1947) 作品 7点、
モーリス・ユトリロ(1883-1955) 作品 10点
佐伯祐三(1898-1928) 作品 8点
荻須高徳(1901-1986) 作品 27点
入口写真 ここまで撮影可能
1.初めに
ヤマザキマザック美術館で、印象派以後でパリに住みパリの風景を愛して、描いた4人の画家の夫々の魅力を味わって欲しいという展覧会が開かれた。日本人の2人の比較、また組みあわせたフランス人2人の組合わせも面白かったので、鑑賞しに行くことにした。この時期だとエコールドパリの時期で外国人画家がパリに集まっていたが、フランス人2人と日本人2人の組み合わせというのがいい。
展示会では、四人の画家 たちが描 き出すパリ風景を下記のように説明している。
・マルケが窓から見下ろして描いたパノラミックなパリ風景
・パリに生まれ育ったユトリロが描く哀愁漂うパリの下町モンマルトルの風景
・佐伯が短い人生を燃やし尽くすかのように激しい筆触と暗い色彩で描いたパリの街角
・荻須が明快な構成と落ち着いた色調で描き出すパリの街並み
2.それぞれの作家作品
展示作品で、インターネット等で引用できる作品を用いて紹介する。
(1)アルベール・マルケ(1875-1947) 作品 7点
マティスと友人の野獣派の画家。代表例としてマザック美術館HPで紹介されているのが、下記の絵。
<ノートルダム 曇天>
マルケは窓から俯瞰する風景が好きだったようで、展示7点がすべてそういった俯瞰図。そして輪郭のはっきりしない固まりの中間色をドスンドスンと置いていく。こんな感じの絵を描きたいなと思う。この風景を知り尽くし愛しているという感じである。
私が好きなのは、下記の昼と夜のボンヌフ橋の風景。昼ののんびりした空気の街が、夜のライトによってエネルギッシュな町であるというのがわかる。
愛する街を一歩離れて、描こうとしていたのだろ
<ボン・ヌフとサマリテーヌ> <ボン・ヌフ夜景>
(2)モーリス・ユトリロ(1883-1955) 作品 10点
代表例としてマザック美術館HPで紹介されているのが、下記の絵。
<ラパン・アジール>
ユトリロは、マルケと異なりくっきりと輪郭を描く。そして樹々の緑や紅葉、白壁、汚れた白壁もちゃんとした色を再現しようとしている。壁については漆喰を混ぜた絵具まで使って再現しようとしたこともあったようだ。壁の一つの面はだいたい同じ色調で、後の日本人2人のように大きく色を変えたりすることはない。
この人は、エコールドパリの珍しいフランスの人。表現はマルケと異なるが、やはりパリを愛し、それを具体的におしゃれに表現しようとしているのを感じる。
画面の明るさはマルケとあまり変らない。
<サノワの製粉場> <サン=ヴァンサン通りと咲くレール寺院>
この両方の絵画とも、優しい空気が満ちていて、またかろやかな感じがする。
(3)佐伯祐三(1898-1928) 作品 8点
日本の野獣派を代表する画家。ブラマンクとの出会い一気に野獣派となった。ブラマンクの表現に近い野獣派の由来に近い激しいタッチから始まる。
彼の有名な特徴は、壁に貼られているポスター。物凄い勢いでわざと汚らしく見せるかのように描いている。
美術館のHPで紹介されている作品もポスターの作品で、道路と壁が溶け合い、ポスターが暴力的に主張している。色調もフランス人2人に比べてかなり暗い。
<プティ・レストラン>
しかしパリ滞在が長くなるとユトリロの影響も受けて、色調が明るくなっているように感じる。フランスに行ってたった4年間、今後どうなるのかという時に病にて亡くなる。ただここで引用した作品は、それほど明るくはないが・・・
<リュ・デュ・シャトー> <洗濯屋>
佐伯の場合、パリの街を描くというよりもそれを題材にして、自分の想いをキャンバスに叩きつけているということになっているようだ。でももし長生きしていればどんな絵を描いていたか、非常に興味がある。
(4)荻須高徳(1901-1986) 作品 27点
代表例としてマザック美術館HPで紹介されているのが、下記の絵。実は版権の問題があるとのことで、インターネットを見ても、この作品しか引用可能なものはなかったので、これ1枚とする。しかし作品点数としては全体の半分を占めている。
<広告のある家‘パリの屋根の下‘>
実はこの展覧会は、荻須がいかに佐伯の影響から離れ、野獣派やユトリロなどの影響をうけ、日本から来た異邦人からゆっくりとパリの住人になっていく過程を示そうとしていると思う。その意味で、佐伯が見出した壁とポスターの題材を彼なりに自分の色彩レベルで描いた1枚しか、紹介できないのは残念である。
佐伯は前述の様にパリの風景を題材に自分の想いを描いたが、荻須は自分の感じたパリを描いた。それがパリに長くいるにつれ、ユトリロのややすっきりした形状に、ユトリロの色と日本の陶器の渋さを複合したような肌合いを生み出した。その結果、彼はそこで生活する人を描かないけれども、パリの住人の生活を感じさせると言われ、フランスで高く評価された。多分ユトリロなどのパリに住んでいた人が使わなかった陶器の渋さが、周辺の田舎から集まった土臭い人々の雰囲気を感じさせたのではないだろうか。
3.おわりに
前述のように、フランスの人が2人と日本人が2人だった。
フランスの2人は、描き方がぼんやりした輪郭の人とややクールな輪郭の人とで、描き方自体はかなり違ったけれども、全体の色調としては割と似ていて、ずっとフランスに住み、そこの風景や空気をを充分知っているという自信が感じられた。それに対し、日本人2人は同じテーマから建物の壁とポスターという同じテーマからパリを描き出したが、2人とも前者二人よりも暗い色調で、異邦人として描き出すという心理状態が感じられた。そして一人はぶつかるように激しく、もう一人は真面目にありのままに描こうとしていて対象的だった。
つまり4者4様の絵画となって興味深い。ただし、佐伯はパリに行った後 短期間でなくなったため、荻須のような大きな変化の可能性を見ることが出来なかったのは、残念である
。
なおここで紹介した絵画は、下記のURLから引用した。
https://www.nagoya-info.jp/event/detail/682/
https://www.mazak-art.com/pdf/paris_painted_press.pdf
https://www.fashion-press.net/news/93694
ヤマザキマザック美術館には行ったことがあります。私が行った時は、ロココの絵画が展示されていました。
今回はパリがテーマなんですね。ユトリロや佐伯祐三の作品は見たことあります。ノートルダム寺院の絵もありますね。私はここに入ったことがあります。
私はきょう、京都に行って、2つの展覧会を見てきました。
マザック美術館は、ロココが通常展示なのです。その隣のエリアが特別展用です。
この美術館はガレのガラス展示でも有名で、私は気分転換にそれを観に行きます。