てんちゃんのビックリ箱

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映画「哀れなるものたち」 感想 

2024-02-05 17:55:12 | 映画
<鑑賞対象>
哀れなるものたち』(原題:Poor Things)
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:エマ・ストーン,マーク・ラファロ,ウィレム・デフォー,ラミー・ユセフ,ジェロッド・カーマイケル,
   クリストファー・アボット,キャスリン・ハンター,ハンナ・シグラ,ヴィッキー・ペッパーダイン他


<哀れなるものたち ポスター>



鑑賞日:2024年2月1日、
観賞場所:イオン大高シネマ
AIによる概要:
 2023年公開の映画『哀れなるものたち』は、スコットランドの作家アラスター・グレイの同名ゴシック小説を映画化した作品です。監督はヨルゴス・ランティモスで、エマ・ストーンが主演を務めています。
 本作は、胎児の脳を移植され死からよみがえった女性が、未知の世界を知っていく冒険の旅を描いたSFラブコメ映画です。天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)は、妊娠したまま身投げした女性の遺体を見つけ、大掛かりな脳移植の外科手術を施します。主人公のベラ(エマ・ストーン)は、倫理観を逸脱した天才外科医によって蘇った若き女性で、時代の偏見から解き放たれ、平等と解放を知り、驚くべき成長を遂げていきます。
 本作は、2023年・第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金獅子賞を受賞し、第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞ほか計11部門にノミネートされています。
 上映時間:141分
  製作費:3500万ドル (ゴジラ -1.0 の製作費 1500万ドル)  



<以下が 私の感想>

 ラ・ラ・ランドでオスカーを取ったエマ・ストーンが体当たり演技をしている(そのためR18)と大評判の、「哀れなるものたち」を見てきた。

 人間の生理的な基本要求として「食欲」「睡眠欲」「性欲」がある。前2者は生存する為のもので、後1者は種を保存するためのものである。前2者は生れたばかりの状態から存在するが、性欲は肉体がある程度成熟するまでは通常存在しないものと考える。そしてその時間過程で、種々のそれに関わる決まり事(常識;愛や恋などを含む)を身に着ける。
 この3欲は年齢があがると、周辺からの情報によって財欲と名誉欲が追加され5欲となる。この5欲の他にアリストテレスは、人は生れながらに知識欲を持つと言っている。
 この若き魅力的な20歳代の女性の身体を持った胎児の脳(情報が何もない状態、ただし蘇生した時に近くにいるものを親とみなす動物的本能は持っている)を持つ存在は、普通の出生児ではなく最初から性的機能を持っており、愛や恋といった理屈なしに身体的な快感を追求して性的活動をする。
 こういった存在が、高い知識の欲求のもとに、で蘇生させた科学者の所から駆け落ちして離れ、世界を旅し。いろいろな経験を経て知識を高めてゆく。

 映画には、上映時間中だけ気分が高揚させて「見てよかったね。」で後に引かないものから、上映中にメッセージをどんどん投げてきて映画館を出た後にうんうん考えさせるものまである。
 この映画は、上記の両面を持っている。
 すなわち軽いほうは、あっさりと上記AIが示したシチュエーション、性的機能も持った成熟した女性の肉体を持つ最初の知識0のAI脳を持つアンドロイドが、できるだけ過激な環境((性的も含めて)に身を置くことで経験値を高めて行く状況を、豪華な背景や特色ある音楽の中で見せるが、その豪華さに楽しめばよい。
 エマ・ストーンが身体をはって、いろいろ派手なセックスシーンを行うが、感情なしにデータ取得のためのもので、あまり性的興奮は起きない。男たちは彼女を支配下に置きコントロールしたいと思うが果たせず、空回りする。振り回され破滅する男たちを、Poor things(お可哀そうに、お気の毒に)と、男の自虐的な感覚で鼻で笑って、でも俺は違うぞ、いやそうかもと楽しんで席を立てば良い。


<映画の1シーン リスボンの風景>


<映画の1シーン 豪華客船上>



 後を引くほうは、Poor thingsを「哀れなるものたち」と訳したことによって振り回されている。
 ストーリー、ちょっとした対話、背景など、深堀していろいろ考えてしまう。フランケンシュタインなど他の物語との関係、性差別/民族差別/職業の差別/経済と貧富の現実 そしてそれらからの解放と社会主義などと組み合わせ、そこに蠢く哀れなるものたちを、大仰に考えていく。でもそういったアプローチも面白い。終わった後じっくり考えたらいいでしょう。

 私はアトムのようなAI登載ロボット(動きながら考えて自己修正、高度化していく)の最初の知識の付け方をイメージして、いろいろ思考実験した。
 またこの映画の主役が男だった場合に面白いストーリーが成り立つか考えた。
 そういった意味で、この映画はイメージを膨らませる意味で面白い。

 この映画を見に行った時、1人で映画を見に来た女性が多いことに驚いたが、性的な部分が女性に対してはどんなメッセージになるのかわからない。私が書いたことは男の自己満足かもしれない。 


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